読者の皆さんはほとんどが生まれてこのかた三次元の住人だと思う。俺もそうだ。三次元、三次元は皆も知っているように立体の世界だ。

 立体の世界は良い。特に奥行きがあるのが良い。

 

 

 

 例えばこのサメのフィギュア、これは非常に精巧に出来ている。特に立体的である点が優れている。実際のサメも立体的な三次元存在だし、その点をこのフィギュアは忠実に再現している。

 

 だがしかしみなさんにお見せしているこれは写真。写真は二次元だ。

 俺がいかに

 

「このサメのフィギュアは立体的で素晴らしい」

 

 と叫べど、その立体っぷりがみなさんに完璧に伝わることはないだろう。

 

 ちくしょう、なんとかこの立体っぷりを、3Dっぷりをみなさんに伝えたいよ。でも3Dカメラなんて持ってないし……どうすれば……どうすれば……

 

 

 

 悩める俺の元にこんなものが届いた。俺が注文したからだ。Amazonで580円くらいだった。

 

「…CREATE YOUR OWN 3D MOVIE!」

 

 と書いてある。なんと力強いメッセージか。

 

「汝自身の3D映像を作れ!」

 

 という意味だろう。これは俺の力になってくれるかもしれない。俺は夢中でパッケージを開けた。

 

 

 

 中にはこんなものが入っていた。小さな鏡を何枚も組み合わせた器具だ。潜望鏡のオモチャを思い出す構造だ。

 

 

 

 

 裏はこうなっている。穴が空いており、クリップがついている。穴が空いておりクリップがついているものの使い道は決まっている。

 

 

 

 

 これをクリップでスマートフォンのカメラに固定するのだ。

 よくある、スマホのカメラのレンズにクリップでつけるなんちゃって特殊レンズの一種だ。

 そう、これはスマホのカメラを強引に3Dステレオカメラにする器具だ。しかし本当にこんな冗談みたいな器具で3Dカメラになるのだろうか。俺は悪い人に騙されているのではないか。

 

 

 

 

 試しにさっきのサメのフィギュアを撮影してみた。その画像がこれだ。なんかぼんやりしているし本当に大丈夫だろうか。本当に立体視できるのか。俺は悪い人に騙されているのではないか。

 

 

 

 

 これはスマホ用3Dゴーグル。スマホを使ってVRや3Dコンテンツを見るやつで、安いものでは1000円くらいでその辺に売ってる。今更だがこの記事を楽しむために必要なので今用意して欲しい。

 

 

 早速これでさっきのサメのフィギュアの写真を見てみた。目の前3センチくらいのところでサメのフィギュアを見せられているような感じがする。近すぎる。正直わかりにくい。

 

 なるほどそういうことか、近すぎるとダメなのか。現実でも目の前3センチのところにあるものは立体視しにくい。俺は器具を持って外へ出た。外は立体物で溢れているからだ。

 

 

 

 

 これは狛犬の像を例の器具を用いて良い感じの距離で撮影したものだ。狛犬は立体的だから被写体にしてみたのだ。

 言いたいことはわかる、なんかぼやけてるし本当に大丈夫かよって写真だ。

 これを先ほどの3Dゴーグルで見る。

 

 ……すごい、立体だ。立体だぞ。3D写真が取れた。お手持ちの3Dゴーグルでこの写真をみて欲しい、立体だから。

 

 ここでふと、パッケージに書かれた言葉を思い出した。

 

 

「…CREATE YOUR OWN 3D MOVIE!」

 

「汝自身の3D映像を作れ」

 

 

 そうだ、映像だ。映像を撮影してこそ真価を発揮するに違いない。

 

 そういうわけで3D映えしそうなものを撮影して動画を作ってみた。全てスマホとこの器具で撮影したものだ。これといった内容のない動画だが、3Dゴーグルで見てその立体感を楽しんで欲しい。

 

 

 

 

 

 

 意外とちゃんと使えることがわかってもらえたと思う。

 

「質はどうでも良いからとにかく3D映像が撮りたい撮りたい撮りた~~~い!!」

 

 そんな人にオススメな商品だと言える。買おう。そして、あらゆるものの立体感を見せびらかそう。

 

 

 

 

※ハトの撮影はハトに餌やって良いところで行いました。餌はハトが全部食べました。