日本が誇るトップアーティストの一人である。

1998年7月にメジャーデビューして以来、リリースされた数々の楽曲は多くの人々を魅了し、今なおその勢いは衰えを知らない。

近年においてもテレビ番組や映画の主題歌などを手掛け、デビュー27周年を迎えた本年も新曲がリリースされている。

これからも様々な楽曲が誕生し、我々を魅了し続けてくれるに違いない。

 

さて、そんなaikoの代表曲の中に、花火という楽曲がある。

1999年8月にリリースされたこの曲は、サークルK(現・ファミリーマート)「冷やし中華/ひんやり夏ラーメン」のCMソング、テレビ朝日系列「激マジ!!~ティーンのホンネ~」のエンディング、2003年放送のテレビアニメ「まっすぐにいこう。」のエンディングとして起用されている。

また、リリースから21年が経った2019年の第70回NHK紅白歌合戦にaikoが出場したときにも披露されており、今なお世代を超えて親しまれている。

 

そんな花火のサビの歌詞をご覧いただきたい。

夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろして

こんなに好きなんです 仕方ないんです

夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろして

涙を落として火を消した

aiko『花火』 作詞作曲:AIKO

もはや花火の歌詞中でもっとも知られていると言っても過言ではないこの一節。

 

「星座にぶら下がるだなんて、現実にできやしないじゃないか」

などというロマンの欠片も無い外野の言い分は無視しておいて、僕はこの歌詞がけっこう好きなんです。

切ない恋愛模様を歌った曲ではありますが、花火を見下ろすため星座にぶら下がるという行動にかわいらしさを感じて、切ないところ申し訳ないんですが、なんだかホッコリするんですよね。

 

歌の中でぶら下がっていた星座については、代表的な夏の星座でありaikoの誕生星座でもあるさそり座とする説があります。aikoが出演したラジオ番組にてそのように語ったそうなのですが、音源などの明確なソースは残っていないらしいです。

 

たしかに、さそり座はかなりぶら下がりやすそうな形状をしているので、しっくりくる説ではありますよね。

 

でもね、考えてみてください。

 

さそり

 

世界最大と言われるダイオウサソリでも最大で体長20cmほどと言われており、人間のサイズと比較するとまあ小さいです。ぶら下がるとして、さそりの尾のしなりに片手が収まるかどうかも怪しい。

まして、安定してぶら下がり続けることなんてほぼ不可能で、仮にaikoの握力や体幹が高水準だとしても涙を落としてる余裕なんてありません。火を消す前に力尽きたaikoが花火になっちゃう。

 

そう思うと、aikoはかなり過酷な状況の中で花火を見下ろしていたのではないかと考えられます。

僕はね、aikoにはもっと快適な環境で花火を見下ろしてもらいたいんです。

 

もっと良い物件(星座)
あると思うんです。

 

 

 

「星座は大きいんだから、どんな星座でもぶら下がれるだけの大きさはあるでしょ?」ですって?

こっちはそんなフィクションの話をしてないんですよ。現実の話をしてるんです。

 

いいですか?

星座っていうのは写真なんです。

 

もう一度言いますね?

星座っていうのは写真なんです。

 

被写体の大きさは関係なく、拡大したり縮小したりして、被写体を良い感じのサイズにおさめて写し出す。星座のシステムはまさに写真そのものなんですよ!

つまり写真でしかない星座は、実際のスケールとかけ離れたサイズ感で夜空に描き出されているわけです。

aikoが星座にぶら下がるということは、写真の拡大縮小比によって星座上のaikoのサイズも変わるということ。

 

こうだと思っていたものが

 

実際にはこうだということです。

どう考えても快適なわけがないでしょう?

 

何度だって言います。aikoには快適に花火を見下ろしてもらいたいんですよ!!

モチーフとなったモノや神話を読み解いて、実際にaikoが快適に花火を見下ろせるかどうかを親身になって考え提案する。

それが粋(いき)ってもんでしょうよ!!

 

というわけで、全天88星座の中からaikoに提案したい花火を快適に見下ろせる星座を独断と偏見で選んで発表したいと思います。チャンネルはこのまま!

 

なお、僕は星座のことをなんも知らんので、こちらの全天星座百科をはじめ、インターネットなどの情報から得た知識を元に優良物件を考察していきます。
詳しい人、どうかツッコまないでくださいね。

 

 

そもそも

星座とは、夜空に浮かぶ無数の星々を線で繋いで何らかの物や人などに見立てて覚えやすいようにグループ化したもので、その起源は約5000年前のメソポタミア地方までさかのぼるそうです。

古代の人々は星々の位置を頼りに季節の移り変わりを知り、道標や時間の目安としても活用していたといいます。

公転運動といって、地球は太陽の周りを約1年かけて1周し、それによって日照時間が変わったりして季節が変化します。地動説が証明されたのは18世紀とのことで古代の人々が公転運動を知る由もなかったわけですが、なんかあの星座が見える頃は暖かいなあとか勘付いたりする人はいたんでしょうね。

つまり、古代人の暮らしの知恵というのが星座の起源なんですね。

 

その後、天文学者や航海士をはじめ多くの人々によって星座が発見・制定され、世界各地で好き勝手に新たな星座が増えていきしっちゃかめっちゃかとなっていましたが、色々あって1928年に国際天文学連合(IAU)によって88の星座に整理され、世界共通の基準として現在でも使用されることとなりました。

の4つの季節の星座に加え、南半球で見られる南天の星座と、88の星座は5つの区分に分けられました。

 

 

夏の星座のオススメ

さて、aikoがぶら下がっていたのは夏の星座ということでしたが、夏の星座はさそり座以外にもいろいろあり、個人的にさらに大まかにジャンル分けした表がこちらです。

ちなみに夏の星座にはありませんが、ジャンル:図形の星座もいくつかあります。例えば、秋の星座でさんかく座という、ギリシャ文字のΔ(デルタ)が由来の星座なんてのがありますね。

 

夏の星座の中でさそり座を凌ぐ優良物件はりゅう座ではないでしょうか。

 


藤井 旭『全天星座百科』43ページより引用

りゅう座の正体は諸説ありますが、一説によると神話に登場する火を吹く竜で、大神ゼウスとその妃ヘラの結婚祝いに神々から贈られた黄金のリンゴの木を守護していました。

最終的にうっかり居眠りをしてリンゴを取られるという失態を犯すのですが、長い間リンゴの木を守った褒美にゼウスが星座にしてくれたそうです。

また、漫画ドラゴンボールに登場する神龍をはじめ、さまざまな媒体で竜は巨大に描かれがちです。ぶら下がるどころか普通にまたがることができ、快適に夜空の旅をしながら花火を見下ろすことができるでしょう。

ただし竜の飛行スピードはかなりのもので風圧がすごいですから、振り落とされないように気を付ける必要があります。

とはいえ、夏には多くの花火大会が開催されており、りゅう座を押さえることができれば花火を見下ろすに事欠くことはないでしょう。

 

夏の星座ではりゅう座が圧倒的な優良物件でした。しかし、地域によっては夏以外の季節にも花火が打ち上がっています。夏の風物詩とされている花火はもはや夏だけのものではないのです。

 

 

春の星座のオススメ


藤井 旭『全天星座百科』237ページより引用

続いてオススメの物件は、春の星座からケンタウルス座です。

神話に登場する半人半馬の怪人ケンタウロス族は山の洞穴にすむ乱暴で野蛮な種族とされていますが、不良高校の中にも良い奴はいるもんで、星座となったケンタウルス族の青年フォローはひょんなことからギリシャ神話の英雄ヘルクレスと親しくなり、自分の洞穴に招いて酒を振舞ってくれた気の良いヤツです。

フォローは屈強なケンタウロス族ですから、aikoがまたがっても力強く夜空を駆けてくれることでしょうし、振舞ってくれたお酒を飲みながら花火を見下ろすこともできます。

見下ろす花火は、北海道で開催されている洞爺湖ロングラン花火大会などがオススメですね。

4月から10月にかけて花火を打ち上げておりますので、春にはケンタウルス座にまたがり、別の季節には違った星座から見下ろすのもまた乙なものです。

ちなみに、夏の星座として知られているいて座は英雄に教育を施していた賢者ケイローンですが、ケイローンもケンタウロス族です。フォローのようにお酒を振舞ってくれることはないかもしれませんが、りゅう座が押さえられなかった場合は候補に挙がる好物件なので、覚えておきましょう。

 

 

呪われていたヘルクレス


藤井 旭『全天星座百科』45ページより引用

ちょっとここでワケアリ物件をご紹介します。先ほど触れた英雄ヘルクレスですが、彼もまた夏の星座ヘルクレス座として登場します。りゅう座やいて座を押さえられなかった場合、妥協してヘルクレス座を選ぶ人もいるかもしれません。

英雄ですから屈強に鍛え上げているのは間違いなく、ぶら下がるには申し分ないのですが、ある事情から逆さまの姿で星座にされているので、必然的に股間にぶら下がることになります。かろうじて脚の方にぶら下がっても、股間とお顔がこんにちはします。

 


藤井 旭『全天星座百科』45ページより引用

ヘルクレスはゼウスの浮気で生まれた子どもであり、生まれながらヘラに呪われていました。ゼウスってのは性に対してはマジでどうしようもないカスなので、目についたちょっと良いかもと思った相手とすぐに浮気をします。その浮気相手や子どもに対してヘラが嫉妬しまくった結果、呪いという形でハチャメチャな嫌がらせをするのです。

特にヘルクレスに対しては赤子のうちから毒蛇を送り込んだりするなど容赦のない嫌がらせをしていました。大人になってもヘラの呪いがついてまわり、星座となった今でも逆さまにされている始末。こう聞くとヘルクレスに対して同情する気持ちはあるのですが、それと股間にぶら下がることとはまったく別の問題です。

星座が頑丈であれば気にしないという方も中にはいらっしゃるんですが、個人的にはあまりオススメしません。股間ってきったねえですから。

 

秋の星座は映え、冬の星座はロマンス

続いては、秋の星座からペガスス座、冬の星座からいっかくじゅう座を推したいと思います。

 


藤井 旭『全天星座百科』102ページより引用

ペガススとは、ギリシャ神話に登場する翼の生えた馬のことです。天馬とも呼ばれたりします。

ペガスス座は、勇士ペルセウスが妖怪メドゥサの首を切り落として退治したとき、ほとばしる血が岩に染みてそこからヒヒーンといなないて飛び出してきた天馬だとされています。ちょっと突拍子もなさすぎる展開ですが、そうらしいです。

その後、ペルセウスとともにお化けくじらティアマトを退治してアンドロメダ姫を救ったり、ベレロフォーンという勇敢な若者とともに怪物キメーラと退治したりと少年マンガみたいな冒険を繰り広げていました。最後には調子に乗ったベレロフォーンがペガススにまたがって天界に乗り込もうとしたところを、ゼウスの放ったアブに脇腹を刺されて驚いたことでベレロフォーンを地上に振り落としてそのまま天に駆けのぼって星座になったそうです。

秋の星座ということですが、調べてみると秋にはけっこう花火大会があります。ウォーカープラスの全国花火カレンダー2025によると、10月開催予定の花火大会は全国で54件もあるなど、秋でも花火を見下ろせる機会は多そうですね。

あと秋に見られる花火といえば、大学の文化祭で上がる打ち上げ花火でしょう。秋に開催されることの多い大学の文化祭では、文化祭の最後を飾るために花火を打ち上げることがあります。学生たちは騒がしいかもしれませんが、花火のために見物に来る客は少ないので、けっこう穴場かもしれませんよ。

ついでに翼の生えた馬に乗っているということでインスタ映えがエグいことでしょう。

ただし9月の花火をペガススに乗って見下ろすとなると、まだアブが活動している時期かもしれません。驚いたペガススに振り落とされないようお気を付けください。

 


藤井 旭『全天星座百科』170ページより引用

対していっかくじゅうとは、一角獣つまりユニコーンのことです。額に1本の角を持つ、伝説上の生き物です。

こちらは特に神話に登場しているわけではなく、ただの空想上の生き物です。ツチノコみたいなもんですね。

ツチノコは幸運を呼び寄せる存在として描かれたりすることもあるそうですが、一角獣も手に入れると大きな幸運が舞い込んでくると信じられていたそうです。実際には存在しませんから、誰にも見つけることさえできませんでした。

誰にも見つけられなかった一角獣ですから、夜空で誰にも目立つことなくひっそりと花火を見下ろすことができそうですね。

冬の星座ということで、冬の花火はクリスマスや大晦日のカウントダウンにあわせて打ち上げられることも少なくありません。一角獣に乗って見下ろす花火はロマンティックなムードを演出してくれることでしょう。ぜひ、パートナーと一緒に甘い一夜をお過ごしください。

 

 

南半球の星座は規格外

北半球のお話ばかりしてきましたが、南半球でしか見られない星座もあります。

その中でも花火を見下ろすのに良い物件は、テーブルさん座です。


藤井 旭『全天星座百科』256 264ページより引用

テーブルさんというのは、南アフリカのケープタウンのすぐ後ろにある、頂上がテーブルのように平たい山のことです。

 


藤井 旭『全天星座百科』256ページより引用

これまでに紹介してきたどの物件よりも規格外に巨大な星座です。もはやぶら下がるとかまたがるとかじゃなくブルーシートを広げてゆったりと腰を据えて花火を見下ろして楽しむことができそうですね。

テーブルさん座の見頃は12月から2月で、北半球と違って南半球では夏となるそうです。そんな中で見下ろすことのできる花火はオーストラリアのシドニー・ハーバーで大晦日に開催される花火大会です。世界的にも有名で大規模な花火大会ですので、ご家族で見下ろしに行きたいところです。

 


藤井 旭『全天星座百科』262ページより引用

逆に規格外に小さい星座として、南半球でみられるはえ座というのもありますね。

 


藤井 旭『全天星座百科』262ページより引用

これは全然ぶら下がれないです。握り潰してしまいますからね。

南半球ではテーブルさん座があるおかげで他の星座から見下ろそうという発想にも至りません。

 

 

分割されてしまった星座

今では廃止されてしまったのですが、かつてはアルゴ座という船の星座がありました。

ギリシャ神話に登場する大帆船アルゴー号を由来とするこの星座は、紀元後2世紀にアレクサンドリアで活躍していた天文学者プトレマイオスによって制定された48個の星座のうちの一つです。

アルゴ座以外の47星座は88星座の中にも残っており、プトレマイオスの48星座は制定後1500年にわたって使用され、現代の88星座の基礎となりました。

アルゴ座はどうなったのかというと、あまりに大きすぎたので歴史の過程で4つの星座に分割されることとなりました。

 


藤井 旭『全天星座百科』181ページより引用

今では船底をあらわすりゅうこつ座、船尾をあらわすとも座、帆をあらわすほ座、羅針盤をあらわすらしんばん座の4つに分かれています。

冬の星座であるアルゴ座ですが、分割されたことで船としての機能を失ったので物件としてそれほどオススメではありません。いっかくじゅう座を押さえられなかった場合はりゅうこつ座やとも座ならばそれなりの安定感があることでしょう。

 

 

最強の星座 登場

さて、花火を見下ろすのにオススメの星座をいくつかご紹介させていただきました。

aikoが夏の星座よりも快適に花火を見下ろせる星座はいろいろありましたが、実は最後にもう一つ紹介したい星座があります。

 


藤井 旭『全天星座百科』268ページより引用

秋の星座から、ちょうこくしつ座となります。

 


藤井 旭『全天星座百科』268ページより引用

彫刻室ということでもはや個室です。雨風をしのぐことができ、振り落とされたりするような心配もなく、周囲が騒がしくなる心配もありません。

彫刻で作られたオブジェとかが置いてあって少し不気味な雰囲気かもしれませんが、この快適さは一度知ってしまうともう他の星座に戻れなくなるほど快適に花火を見下ろすことができることでしょう。THE・最強の星座です。

 

ちなみに、ちょうこくしつ座の設定者であるラカイユという天文学者はそんなわけがなさすぎる星座を制定している印象で、

 


藤井 旭『全天星座百科』256ページより引用

例えばこちらの星座ですが、これが、

 


藤井 旭『全天星座百科』256ページより引用

こうなってがか座です。画家の使う道具というわけですね。星座の形状も難解だし画家は不在です。

ラカイユには何が見えていたのかわかりませんが、界隈ではわかりにくい星座を制定することでも知られています。

ちょうこくしつ座についてもなぜ彫刻室となったのかはよくわかりません。別に他の部屋でもよかっただろうに……

ラカイユは天文学者になる前は測量の仕事をしていたそうなので、何か本人や測量士にしかわからないような記号のようなものがあったのかもしれません。我々が知るところではないですが。

しかし、ちょうこくしつ座という超優良物件を作ってくれたことには感謝しかありません。ありがとう、ラカイユ!

 

さあて最強の星座も決まったことだし、これでaikoにおすすめの星座を提案できるぞ!

さっそくaikoに伝えに行こう!

 

   

いてもたってもいられず、僕は走り出した。

aiko、よろこんでくれるかな……

 

あとちょっと

あの角を曲がるともうすぐのはず

 

これで快適に花火を見下ろせるんだよ!

待っててね……!!

 

 

 

キキーーーッ!!!

 

バンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、僕は星座になった。

あのとき、交差点の手前で立ち止まっていたら、こうはならなかったのかもしれない。

悲惨な交通事故は、歩行者の違反や油断によっても引き起こされているのだということを、身をもって知ることとなった。

星座になった僕にはもう、それを誰かに伝えることさえもできない。

 

けれど、僕は悲しくない。

だってこうして、いつでも快適に花火を見下ろせるようになったのだから。

 

うふふふふ

 

うふふふふふふふふふふふふふふふ