黒船が来航しました。
月額980円でKindle本が12万冊以上読み放題のサービス、「Kindle Unlimited」のサービスがついに日本でも開始されたのです。
詳しくはよそのニュースサイトを読んで知ってください。たぶんみんな一斉に同じようなこと書いてるから……。
さて。
問題は「無料で読める本にはどんなラインナップがあるのか」です。見てみましょう。
(全て2016/8/3 時点の情報です)
手塚治虫の不朽の名作! 火の鳥!
細かいことはどうでもいい勧善懲悪仕置人漫画、ブラック・エンジェルズ!
女帝!!
……なるほど。
気持ちはわかります。なんとなく予期していた「たしかにいい漫画だけど、無料配信されるのってそういうのだよね」感。
これが月額制の限界なのか……。
しかし、よく見ると「そんなのも無料なの!?」と驚いてしまう本もけっこうあるんです。
検索機能がアレすぎるだけで、よくよく掘ってみるとなかなかの品揃えだったのです!
たとえば、映画化もされた『デトロイト・メタル・シティ』と、同作者の世紀末ギャグ『KAPPEI』(若杉公徳)が全巻無料。
プロ将棋棋士が命を賭けたゲームに参加させられるエンターテイメント小説『ダークゾーン』(貴志祐介)が上下巻無料。
シュール系4コマ漫画の代表格・『濃縮メロンコリニスタ』(ニャロメロン)も無料。
読んだあとしばらくはそうめんくらいしか喉を通らなくなる1巻完結漫画、『虹ヶ原 ホログラフ』(浅野いにお)も無料。
中毒者続出のゆるい百合ギャグ漫画、『ゆるゆり』(なもり)も無料。
百合つながりでは、ハラハラしながら読める本格百合恋愛漫画、『citrus』(サブロウタ)も5巻まで無料。
百合漫画レーベルである「百合姫コミックス」がやたら充実しているので、百合入門にもオススメです。
SF小説の名作、『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン)も無料。
ちなみに私は読んでないのに名作と言っています。
……という感じで、本を読まずにしったかぶりたい高校生が友達と「読書あるある」を繰り広げるおもしろギャグ漫画『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ)も無料!
アニメ化も決定しているので読んでみてはいかがでしょうか? ちょっと百合っぽい描写もあってニヤニヤできます。
同じ作者(原作)の『ハナコ@ラバトリー』(原作:施川ユウキ 漫画:秋☆枝)も個人的にすごくオススメです。
いろいろな場所のトイレに出現してしまう幽霊のハナコさんと、そこに訪れた人物が繰り広げる密室劇。一話完結で、多彩な舞台設定と練られた結末に唸らされます。全2巻。
ちなみに文学も意外に充実しています。
もはや伝説と化している寓話『星の王子さま』(サン・テグジュペリ)。
読み放題サービスで読んだ星の王子さまが心に残るのかどうかは謎です。
なんと『純粋理性批判』(カント)も読めます。哲学書が読めてしまうとは誤算でした。
内容はめちゃくちゃに難しいです。
尼崎連続変死事件を追う戦慄のノンフィクション『家族喰い』(小野一光)も読める。ちょっと前に話題になったばかりなのにすごいですね。
『夜這いぐるい 義母に、美母に、兄嫁に』(但馬 庸太)も読めます。別の意味の家族喰い。
意外なことにアダルトな内容も充実しており、グラビア写真集のほか「そのものズバリ」が描いてある本までありました。
ラインナップは各自ご確認ください。
そんな中、私が最もオススメする本はこちら。
小説『止まりだしたら走らない』(品田遊)です。
中央線を舞台とした連作短編集。電車に一人で乗っているとき、ふと頭に浮かぶなんでもない思い、気がかりをあますところなく描いた「考えごと小説」。電車に乗りながらさらっと読めて、どこか心に引っかかる作品です。ぜひダウンロードしてみてください。
はい。そうです。この本は私が書きました。すみません。お願いします。
なんの告知もなく自分の本が読み放題になっていたのでビックリしました。もしかして他の作家さんもそうなの…?
ちなみに印税が入る仕組みはちゃんとあるらしいです。よかった~。
それにしてもすごいサービスが始まってしまいました。場合によっては読書のスタイルそのものを変えてしまうような気がします。
これからの出版業界が「Kindle Unlimited」をきっかけにどう変わっていくかも見ものですね。