ディズニーランドのテーマは、徹底され過ぎている。パーク内から外の景色が見えない様に設計されていることに始まり、その空間の一貫性はセリフの1つ1つ、トラブル時までも、全てが洗練されている。
 
USJも凄かった。入場してすぐにパーク内から高速道路が見え、外の世界が見えた事に一瞬ガッカリするが、これはいわゆる借景というやつで、「ここは映画の撮影スタジオだ」と主張しているものだと知って感嘆した。
 
ハリー・ポッターのエリアもよく出来ていて、賢者の石しか見たこと無い私でも街並みにワクワクした。ホワイトデーが近かったので、部下たちのお土産に大きなカエルのチョコを買った。原作にも出てきた、拳より大きいくらいのカエル型のチョコレートだ。1匹1000円もした。
 
チョコレートはものすごく不評だった。Twitterで「上司からのホワイトデーがコレ」みたいなツイートをされ、僕の記事の100倍くらいバズってて買わなければよかったと思った。
 
 
ただ1つ、レジで会計を済ませていた際に「開けた時にぴょんぴょんと逃げて行ってしまうので、気を付けて開けてくださいね」と言われたのは嬉しかった。世界観が徹底されている空間は素敵だと思った。
 
 
 
 
 
 
 
そして最近、日光江戸村に行く機会があった。
 
ここは江戸のテーマパーク、世界観は徹底されているのだろうか。タイムスリップしたような本気の江戸を、体験できるのだろうか。
 
期待して看板に近づくと、「EDO WONDERLAND」と書いてあったので、ものすごく不安になった。
 
 
駐車場に入ると、笠を被った係員が誘導してくれたが、ちょうど交代の時間だったのか、係員は笠を被ったまま自転車で去っていった。
 
 
 
江戸で、自転車だと。
 
 
 
いや、まだ入場前だ、でも何故だろう、モヤモヤする。
 
違和感を抱きながら入場すると、入口にいた町人が
 
 
 
 
「こんなに暑いのによく来たでござるな!」
 
 
 
 
と歓迎してくれた。
 
 
 
 
わからない。
 
ここは、どういう江戸なのか。
 
 
 
「マジの江戸」「江戸スタジオ」「江戸が現代にあったとしたら」「楽しい江戸」……考えてもわからない。ここのテーマは何だ。
 
 
 
パーク内を散策すると、街は映画のセットのようで、細かく作られていて素敵だった。
 
”にゃんまげ”という妙に頭身の高いキャラクターが街を歩いていて、「マジの江戸ではない」と主張しているようだった。
 
忍者が走って来て、ハケる前に「足痛え」って言ってた。
 
いきなり「怪しい奴だな!」と言われ、縄で手首を縛られた。
 
決闘を申し込まれ、スポンジの刀みたいなので戦った。
 
着物のお姉さんが、扇子から水を発射していた。
 
記念に写真を撮っていたら、親切そうなお侍さんが「あの辺りがインスタ映えするでござるよ」と教えてくれた。

 

 

 

ふと、

「EDO WONDERLAND」の看板を思い出し、違和感が氷解する。

 

そうか、あれがテーマだったのか。

 

 

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