ありがちな意見だが言わせてもらう。
インターネットのよくわからん面白性癖コンペティションもうやめませんか?
文学・映画・漫画・劇…すべてにおいて権威のようなものがある。外的な目線なしに何かを消費することはほぼ不可能といっていい。何かを消費すれば、何かしらの価値観の中に巻き込まれてしまう。
例えばタルコフスキーの映画を鑑賞した場合であれば映画通のように振る舞えるが、これが「STAND BY ME ドラえもん」だった場合は「こいつ阿呆の完全体だぞ」とグレート・モス扱いされる。
どっちの映画が優れているとか世間で評価されているかなんて関係なく、単純にあなたが観たいものを観ただけであっても、それとは無関係に一種の権威主義に絡めとられてしまう。そんなものは無視すればいいのだけど。
あれを見てたらクールで、それを見てたら糞ダサダボハゼ。確かにそういうものがある。
でも、いってしまえばでもこれは仕方ない。別に推奨する気持ちもないけれど、どうしたって避けられない。こういうものはそれこそ平安時代にだって存在していたと思う。
だた性癖だけは違った。
そこには権威や序列はあっただろうか?
性癖に教科書もなければ、指導者もいない。オリコンチャートも本屋大賞もない。もちろんAVのアワードみたいのはあるが、それはただのファン投票の最大公約数でしかない。
性癖とは人生の中で、まったくの自分の力だけで見つけ出して磨きあげたものだ。
そこにはあなたの経験が、トラウマが、歓喜や暗い情念が、へばりついて切り離すことのできない絶対的な価値観が、宇宙で唯一自分の中にだけ存在している。他のだれがなんと言おうと変わらない、呪いにも近い何かが、ある。
そんなもの他にあるか?
言い切ってもいいが、そんなもん他にない絶対。
だから性癖について我々が語るとき、その言葉は真に人の心を打つ。発せられる言葉のひとつひとつは瑞々しい喜びに溢れ、胸が張り裂けそうな悲哀に満ちている。そうして語り合った我々の孤独な魂と魂はブラザー&シスターとなる。広大な宇宙の中で最も美しい火花を散らす。
だからマジでやめてくれよユニーク性癖コンペティションは。
だれが言い出したのかわかんないけど、インターネット上でユニークな変態であればあるほど偉いっていうゴミゲボカスウンチブリブリの風潮。
またどこかで誰かがこんな事を言ってるに違いない。
「膝裏のへこんだところに冷凍ピラフ盛り付けて人肌で解凍して食べたいんだが笑」
嘘つくんじゃないよ。
おい!!!!!!!!!!!!!!!
ビタイチそんなこと思ってねえくせに!!!!!!!!!
ファッション感覚だよこんなの。コム・デ・ギャルソンじゃないのよ性癖は。川久保玲が才能を見つけ出したりしないのよ。
あなたの性癖がユニークであることは、あなたがユニークであることの証明にはならない。
だからもう虚勢を張るのはやめにしよう。あるがままに。そう、あるがままに…。
ビートルズの「Let It Be」はこんな内容のことを歌っていたらしいです。