不思議な力が使えない。
寿命も長いわけではない。
そんなエルフがいて欲しいと思います。

 

ファンタジーものの映画や小説で登場するエルフたちは大抵、不思議な力を使います。
不思議な力というのは、魔法に近い感じです。
でも、炎や雷みたいに直接的にダメージを与えてくるものではありません。
もっとこう、封印とか呪詛とか結界とか、相手の動きを制限する力です。

 

彼らは、森の奥深くに住んでいます。集落の真ん中ら辺に泉があることもあるでしょう。
耳が長く、人間の野蛮さを憎んでいます。
物語の主人公みたいな奴がエルフの里を訪れて、長老(絶対長老システムだよな)に何で人間を憎んでいるのか聞くんです。
そうすると長老は300年だか500年だかの昔の記憶を辿り、人間との確執の原因を語り始めます。
「ワシがまだ若かった頃」とか言って。
リアルタイムで生きてるんです。
こうすることで「ワシは長老。530歳じゃよ」とか一々年齢を伝えなくても、私たちはエルフの長寿を確認できます。

 

でも、本当に不思議な力が使えて、長生きもするエルフたちばっかりなんでしょうか。
私は疑問です。

 

なぜならですよ!
私たちが会うことのできるのは、物語に絡む事情のあるエルフだけだからです。
魔族を封印できたり、大昔に端を発するストーリーの背景を教えてくれたりね。
でもそんなことが可能なのは!一部の優秀なエルフ、上澄みエルフだけかもしれないんです。

 

分かりやすく人間に落とし込みましょう。
例えば、未開の惑星に着いた宇宙飛行士たちを見て、宇宙人はどう思うでしょうか?
「人間という種族は、こんなにも知的好奇心に溢れ行動力があり、簡単な宇宙船の修理くらいは自分らでやってしまうのか」となるでしょう。

 

いやいやいや!
それは人類の中でもトップクラスの能力を持つ精鋭ですから!
人類の上澄みですから!
全員がそうだと思われても困りますよ。
参考にするサンプルが偏ってます。

 

ね?
これと同じことが、エルフにも言えると思うんです。

 

ボンクラのエルフは、物語に登場しません。
させても意味がないので。
出てきてもせいぜい、「エルフの里の生活感」を出すために泉の水を飲んでたり、よく分からない花飾りを編んでたりするくらいです。

 

彼らも、一通りの結界くらいは張れるのでしょうか。
数百年も生きるのでしょうか。

 

私はそんなの嫌です。
不思議な力なんて使えずにうろうろして欲しいし、寿命も60年くらいで終わって欲しい。
だってだって、エルフってだけで特別な能力を持ってたり何百年も健康でいられるなんて、そんな、あんまりじゃないか!

 

わー!!!!

 

 

 

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