漫画『HUNTER×HUNTER』では、ハンター試験というハンターの資格を得るための試験があります。これにイルミというキャラクターが、ギタラクルという偽名を使って登録していました。
試験が進むにつれ明らかになっていく、受験者同士の人間模様。
交錯する思惑。
そんな物語に魅了されながらも、私は全然違うところを気にしていました。
「ギタラクルって名前、やっぱりイルミ本人が考えたのかな」
イルミは、表情を出さないクールな暗殺者です。一見無機質にも見える彼が、ギタラクルみたいなゴツゴツした名前を付けるなんて。
内に秘めたセンス。
自分の子供が生まれた場合も、その感じで命名するのだろうか。
どんどん興味がそちらに向き、気が付くと私はコミックスを閉じて、イルミがハンター試験に登録する際の名前候補を考えていました。
ばかもん。
最初はきっと、「イル美」とかだったんでしょう。
普段は男性のイルミが、女性の名前で参加するというのはいい案です。
ただ、本名と近すぎる。
イルミには、弟のキルアを監視するという目的があります。
これではすぐに怪しまれてしまいます。
次は、「ハンマー・イル」「丹波イル蔵」と、もう少しカモフラージュを施します。
周りの文字数が増えたことで、イルミの原型が目立たなくなりました。
さらに、イルミの華奢な印象を打ち消すために、「ハンマー」や「丹波」といった強そうな音を使う技法まで編み出しています。
この時点で、ガタイのいい男に変装する構想が何となく見えてきます。
しかし、残った「イル」の部分がヒントとなり、「あいつはイルミなんじゃないか」と勘づかれはしないだろうか。
不安になったイルミは、元の名前を完全に消すことを決意します。
結果…。
・我々流 修(ガガナガレ シュウ)
・ゼラゼラ=シェード=カステル
・ギタラクル
みたいな3択になったんだと思います。
そしてその中で、口に出してみて一番言いやすかった「ギタラクル」が採用になったというわけです。会議室のホワイトボードの前で「ギタラクル」を赤丸で囲む彼の姿が思い浮かびます。
それにしても、ギタラクルという名前は絶妙です。
ゴツゴツとしつつ、不気味で、底知れない印象を与えてきます。
最初の濁音、「ギ」の使い方がキーになっている気がします。
じゃあ何でそんなに濁音の使い方が上手なんでしょうか。
どっかでそういうセミナーとかに通ってるのか?
強そうに見せる濁音講座のNHKラジオでもあるのか?
それとも英才教育でも受けたか?
英才教育という単語が出て、私はハッと気が付きました。
そういえば、イルミの実家って誰がいたっけ。
祖父:ゼノ=ゾルディック
父:シルバ=ゾルディック
濁音をセンスよく使うお手本が身近にいる家系でした。
納得。