先日、ももいろクローバーZから有安杏果が卒業した。これから話すことは2011年の話である。アイドルといかに短時間で中身のある話をするかの参考にしてくれたまえ。
ももクロが表紙を飾ったムック本が発売ということで、秋葉原のとある書店でサイン入りの本を直接メンバーから手渡ししてもらえる『手渡し会』というイベントが行われた。こちらは書店に並んだ先着1000名が参加出来るイベント。
当時、ももクロは完全に売れかけているアツい時期であったので「こりゃ始発で並んでも取れそうにねェな…」と思い、整理券配布日前日の深夜3時に自転車で書店に向かった。
既に書店の周りには行列が出来ており「大丈夫か?」と思ったが、朝11時には順番が回ってきて無事252番をゲットした。この時点で働いていたカフェの出勤時間はとうに過ぎている。
こういう時の対処法として『気にしない』というのがある。オススメだ。
で、お渡し会当日。
このお渡し会はくじ引きでどのメンバーからサイン本を受け取るかが決まるというルール。俺の脳内スーパーコンピューターでメンバーとの会話をシミュレートする…
『夏菜子ちゃんだったらこの話、しおりんだったらコレでしょ…一番話したいのは杏果かな〜』
くじを引き、そのままブースに案内されると目の前にいたのはももクロの小さな巨人こと杏果であった。
俺はシミュレーション通りにスムーズに伝える。
「杏果!ネット動画のバンジージャンプのヤツ!あれ、最高だった!ボロボロ泣いちゃった!めちゃくちゃ心打たれた!君たちが大好きです!」
しかし、スーパーコンピューターだと思っていた俺の脳。どうやら興奮状態に於いては16ビットしかスピードの出ない『ぴゅう太』並みっていうじゃないですか。憧れの人を前にして俺のぴゅう太は起動しない。「ようこそ」の文字も出てこない。すると杏果の方から声をかけてくれた。
「それ(俺のセーターの柄を指差して)なんのセーターですか〜?」
ウッ…見かねてあっちから助け舟を出してくれた…しかし、これにより俺のぴゅう太は起動したのだ!
「あっこれ〜!?いいっしょ〜!一目惚れで買っちゃたんだけどさー、犬の柄なんだよねー。なんかデンマークのブランドだって。かわいいよね!あ!杏果ちゃん!バンジーのヤツ、めっちゃ良かったよー!」
な〜んて言葉全然出てこない!俺のぴゅう太は主電源が抜けてた様だ。
なんとかバックアップから出てきた言葉は
「アッ…イヌデス…」
の4文字であった。サイン本を受け取りそそくさと出口に向かった。
俺は深夜3時から並んでこの4文字を伝えたかったのか?違うだろ!おい!もっと伝えるべきことがあっただろう!4文字だとしてももっといい組み合わせがあるだろ!?(「漆喰(しっくい)」とか「バスレク」「ココやし」とか)俺!なに「イヌデス」って!
次、会えたらもっといい4文字を伝えたいと思ったね。