女性はどうか分からないが男はみんな学校のトイレで悪ふざけをしていた、と思う。
僕は男子トイレでワープって技をよくやっていた。
小便器におしっこ中、肛門に力を入れておしっこを強制中断して、隣の小便器に移動する(もちろん小学生なのでケツ丸出しでピヨピヨ歩きで)そして、おしっこを再開。また、おしっこを止めて隣の小便器へ……という技がワープ。
今考えたら別にワープでもなんでもないんだけど。
おしっこの残量の逆算が案外難しく、全ての小便器でワープが成功することはコンプって言っていた。スプラトゥーンのインクのアイデアはここから来てるみたいですよ。
一番好きだった技はエックス攻撃。
これは二人じゃないと出来ないコンビネーション技で、一つの小便器に向かっておしっこをして、空中でクロスさせXの字を描(えが)くという技。
「じゃあ最初は俺が上ね!」
とか言って、友人とポジションを決めておしっこをするんだけど、最終的にはクロスさせるとかは無視して、互いのおしっこをぶつけ合っていた。これが腹ちぎれるくらい面白かった。
今考えたらこれも別に攻撃でもなんでもない。
二人技の進化版として、友人がおしっこしている後ろに立ち、友人の両足の間からおしっこをするダブルってのもやっていた。
ジョジョの3部でアヴドゥルが「男の友情と言えば連れションだろ?」みたいな事をポルナレフに言っていたので、トイレで男子の友情が育まれていたっていうのは全国的な現象だと思うんですよ。
で、そんな遊びは小学校で卒業したのだけど、最近久しぶりにエックス攻撃をやる機会がありまして。
居酒屋の帰り道、終電を逃したので同じ帰り道の梶くんと歩きながら帰っていたのだけど、帰り道の雑談が意外と盛り上がっちゃってね。
「公園に行ってもうちょっと話していこうよ!」
ってなっちゃって。
コンビニで缶チューハイを買って公園のベンチに座って改めて話していたんですよ。将来の事とかの普段はしないようなアツい話をね。
なんか、その時の感じが
『ああ……なんか友情!』
って感じですごい嬉しかったのを覚えている。
そしたら会話の途中で急に梶くんが立ち上がって、立ちションを始めちゃって。
お酒を飲んでて膀胱パンパンだったってのもあるし、近くにトイレもなかったし、落ちていた透明のバケツ的なモノにしていたのでまあ法的にはギリセーフですよね。
え?アウト?じゃあ、これは15年前の話ってことにします。
で、それ見た僕はなんか当時を思い出しちゃって
「ちょっと梶くん!エックス攻撃やろうよ!」
と聞いてみたんです。
すると梶くんから
「ああ、アレね!」
と、軽く笑いながら答えが返って来て。
梶くんとは大人になってから知り合いだったので
『ああ!やっぱりエックス攻撃って俺らの世代の共通言語だったんだ』
って思って妙に嬉しかったんだよね。
で、ゲラゲラ笑いながら2人でXを描(えが)いていたのだけど、当時と違うのはバケツの中身。
なんかもの凄くおしっこが泡立っていて
『あっ!?もしかしてこれって……“糖”出てる!?』
って、おしっこの泡立ちから自身の老いを感じてね。
小学生当時、澄んでいたのは心だけでなくおしっこもだったのか……
って、ちょっとディープになったという話。
あの泡立ちはなかなか消えなかったなぁ……