全力でホールケーキを公平に切り分ける会

 

「ホールケーキを全力でカットしてみたいんです」と言ったら、編集部のお2人が駆けつけてくれた。

今日はケーキを切るんですよね?
楽しみだなー!

見せてやりましょう、我々のケーキカットを

 


「全力」以外になにも知らせていないのに頼もしい2人

 

ちなみに、どういう感じで進めていくんですか?
我々は協力するのか、それとも競い合うのか……

みんなで協力してやっていきます!

「美しく、公平にホールケーキを切り分ける」というのがテーマで、全員が満足するようにケーキを切り分けるのが目標です

OKです、公平にですね!

 

 

 

ケーキカット作戦会議

まずは、話し合いでケーキをどういう風にカットしていくか決めませんか?

たしかに、最初に全員の考えをまとめたいかも

実物のケーキは冷蔵庫でギリギリまで冷やしておきたいので、今は図で説明しますね。

今回、このようなケーキを用意しました!

 

 

ハートのショートケーキこちらを等分にしていきます!

ケーキ、丸じゃないの!?

ハートは切り分けづらいぞ……!

丸じゃないホールケーキも、人生のどこかで現れるはずなので……ここで乗り越えましょう

 

 

参考までに、最初に私が考えてきたカット案を発表しますね

4等分なので、やっぱり十字で切るのがオーソドックスかなと思いました。

ハートを囲むように円を描いて、その円の中心=ハートの中心としています。

 

 

この4分割だと、下半分のほうが大きそうですよね

ほんと!? 上のほうが大きく見えるかも

上と下の大きさが公平かと言われると、いまいち怪しい……

そうなんですよ! なので、面積を数字で出してみました

面積がわかればもう解決じゃん!

 

え? これって?

 

すみません、ハートの面積を求める式を使おうとしたんですけど、ちょっと意味がわからなくて……。
なので、実物大のハートを紙に描いて、それを1cmのマス目状に切って、1㎠が何個あるか数えました

アナログすぎる!!

 

 

マス目を数えた結果、ハートの上半分のほうが面積は大きかったです
※アナログの手作業につき厳密な結果ではないので、温かい目で見守ってください

視覚的には下のほうが大きく見えたのに不思議ですね

公平さを考えると、十字カットはちょっと違うのかな、という結果になりました。
他にどう切るのがベストかみんなで探っていきましょう!

 

 

 

じゃあ、私が思いついたのを発表しようかな

ハートを縦半分に切ると、1つがしずく型になるじゃないですか。
で、そのしずく型縦半分にする

おもしろい! ピースがどれも細長くて、公平な感じがします

でもさ、ここまで細長いと、お皿に盛りつけた時に倒れちゃうんじゃない?

確かに! そのリスクはあるか……

 

 

 

あとは、縦半分にしたあと、縦軸の真ん中ぐらいから曲線の頂点に向かって切る。
葉っぱの葉脈っぽい感じですかね

お~葉脈作戦! 斬新だ

 

 

 

それでいうと、ハートを逆さまにして、逆の葉脈もいいんじゃない?

レオタード描いてません?

なんでだよ、亀仙人が見てる番組じゃないよ

 

 

 

待って、辺の中間地点わかるかも。両指でなぞってぶつかったところが、辺の中間なんじゃない? それがヒントになりそう

左右からスタートして……ほら、ここ!

右手のほうが早い気がする

でも何回やっても、ほら、ここだよ!

 


私たちは油断するとアナログになってしまう

 

 

 

 

いろんなカットパターンが出たので、この中から決めていきましょうか

私はこれかな、レオタード

レオタードじゃなくて逆葉脈ね! それで言ったら恐山さんの葉脈だってレオタードでしょ

それは違う。葉脈はレオタードにはならない

紙逆さまにしたらレオタードだし

あの、レオタードやめて

ほら、ほとんどレオタードじゃん!

そんなレオタードはないよ

 


いつの間にか全力でレオタードを考える会に

 

 

 

ナイフの入れやすさも大事ですよね

だとすると葉脈かな、ナイフが当てやすい角度だと思う

十字切りだと上半分の面積が大きかったので、葉脈の横のカットラインの角度を調整すれば、面積的にも公平になりそうですよね

葉脈はピースの形が4つとも細長くて、ケーキらしさがありますね

たしかに、葉脈いいかも!

いいですね! では、葉脈カットで決定!

 

 

 

 

ところでずっと気になってたんだけど、ホワイトボードに書いてある「フルーツの偏り問題」っていうのは……?

あ! そういえば……!
あの、ケーキを予約する時に、見本の写真で見たんですけど、

 

 

ケーキの左下にまとまってクリームのバラ飾りがあって、空いたスペースにフルーツがこんもり乗ってたんですよね

え! ちょっと、なに!?

ここにきて新情報!?

ちなみにフルーツは5、6種類がランダムに乗ってる感じでした

 

その偏り、かなり重要じゃない!? 先に言ってよ!

すみません、進行をめちゃくちゃ間違えました

まあまあ、こればっかりは実物見ないと決められないから

すみません!! フルーツとクリームは臨機応変に対応していきましょう……!

 

 

 

カットの練習をしてみよう

みんなにケーキカットのコツを頭に入れてもらい、実際にナイフを使った練習をしてみた。

 

 

恐山さんは、今までホールケーキをカットした経験がないとのことだ。
しかも、今回使うのは、なじみのないケーキ専用のナイフ。練習用の食パンでしっかりと感覚をつかんでもらいたい。

 

 

日本刀で袈裟斬りしたみたいになった。すごい。

 

 

今日イチの笑顔が飛び出す恐山さん

 

 

堅い耳がついている食パンはナイフを何往復も動かすので、カットの軌道がずれやすい。ケーキを切るよりも何倍も難しく感じた。

なので、逆に言えば、柔らかいケーキは案外すんなり切れると思う。

だから、大丈夫! 練習で不安が倍増してそうだけど、大丈夫! 気持ちあげてこ!

 

 

 

いざ、ケーキカット本番へ

では、ケーキの箱あけますよ~!

 

 

あららら!おいおいおい!

うわーフルーツが輝いてる!

 

 

いや場外にもフルーツいない!? どうすんのこれ!

 

 

 

公平くんの誕生日?

あ、それは「公平にケーキを切り分けたい」という願いを込めて、チョコプレートをつけてもらいました

たぶんお店の人はフェアネスのことだと思ってないですよ

 

 


ケーキと対面して、喜びと戸惑いが交差する2人

 

 

さあさあ、生クリームが溶けないようスピード勝負になってくるので、どんどんやっていきましょう!

 

下に添えてあるフルーツは潔く全部どけたほうがいいと思う!

いいですね!
上に乗ってるフルーツはどうしますか? 右側にかなり偏ってる……!

それも全部どかしますか

でも汚くなっちゃわない!?

美しさをとるか、公平さをとるか

いや、こういうのは勢いが大事。

じゃあ、フルーツをどける作業はみくのしんさんに

 

ずるー!!! こんなん一番やりたくねえって!

みくのしんさんは料理上手で食材をつかむのも上手そうなので、お願いします!

そうなの!? まあ、やるけどさあ!

 

 

そしたら、下のフルーツと上に乗ってるフルーツ、チョコプレートを別皿に移動して……。
上のイチゴゾーンはいったんこのままステイでいきます

 

 

めちゃくちゃ緊張する!!

トング使いがうまい!

 

 

あれ、上のイチゴはうまくスライドすれば、左右均等になるんじゃないですか?

オッケー! イチゴも移動します!

 

 

すごい、別のケーキみたいですよ

ケーキの上をこんなに大移動したの初めてだよ

すべては公平の為に……!

 

 

バラ絞りのクリーム片側にまとまってますね……

バラ4個で分けるのにちょうどいいけど、さすがにクリームは移動できないか

いや、それじゃ公平じゃない

たしかに!

クリームもトングですくって、つるんと移動しよう。

じゃあ、それはかとみさんにやってもらうか

わたしが!?

 


「公平」は時に試練となって私たちに襲いかかる

そうそうそう! 外側に移動して……うまい!

 

 

フィールドが整った! 今のところ完璧じゃない!?

最高! 会議どおり葉脈カットでいきましょう!

 

 

――ナイフは斜めに入れて、

 

 

――下に押しつぶさないように気をつけながら、

 

 

――ナイフを引いた時に、切る!

 

 

わ、美しい!!

すごい、お店でカットしたみたいですよ!

あとは、どけておいたフルーツを振り分ければ終わり!?

 

 

ケーキに触ると事故りそうだから、フルーツはお皿の上で添える形にしよう

 

 

メロンは1人に1つあります。
あとのフルーツは、ほとんど頭数が足りてないです!

ここで足りないフルーツを細かく切るのは違う気がする

公平になるよう、フルーツをうまく分けていきましょう!

 

 

スピーディーな判断が求められたが、私たちの心はもう結束していた。

フルーツの甘味と酸味・サイズ・色合い・レア度を加味して、的確な振り分けができたと思う。

 

 

 

 

美しく、公平なケーキカット

 

4つのケーキを並べたら、あまりに美しくて息を飲んだ。

ひとつと同じものはないのに、間違いなく公平に切り分けられていた。

ハート型で、フルーツどっさりで、あの難解なホールケーキが、魅力的なピースたちに生まれ変わった。

ずっと眺めていたいと思った。

 

 

……見とれている場合じゃない。

ケーキは鮮度が命だ。さあ食べよう! 

 

 

 

「せーの!」で指さして食べたいケーキを決める。きれいに分かれた!

 

 

 


いただきます!

 

!!!!!!!!

 

 

おいしい!!!

 

 

 

 

 

 

 

はじめは、手探りだった。

 

 

 

時には衝突し、誤解もあったけれど、

 

 

 

いつしか私たちの気持ちは、ひとつになっていた。

 

 

 

血のにじむような練習にも、誰ひとり挫けなかった。

 

 

 

全員がまっすぐ前を向いていた。

 

 

 

公平なケーキカットだけを目指して。

 

 

 

私たちは全力を出しきった。

 

 

 

美しく、公平にケーキを切り分けた。

 

そして、分かったことがある。

 

 

 

全力でホールケーキに挑んだこの時間こそが、かけがえのないものだったんだ。

 

 

 

 

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