「ドラえもんの指」調査結果

45巻、読み終わりました。

 

 

 

ここ、ビル風がすごそう。

 

異空間ワープ?

 

せっかくの機会なので、縦一列に積んでみると、

 

 

 

摩天楼。

途中からふせんの色が変わっていて、歴史のささやかな変遷を感じます。

 

さて、頭の中は完全にドラえもんワールド全開です。

困った時にホイホイ道具が出てこない実際の生活の方が、なんだか嘘っぽく感じる。

何日間かに分けて読んだので、合間の就寝でも「夢の中でドラえもんが…」となるかと思いきや、全然「途中からふせんを貼り忘れている」という残酷で現実的な悪夢で目が覚めました。

 

 

読みながら、リストも作っておきました。

指出・指不出あわせて1,000件超えのリストが爆誕しました。

このリストを元に、指出がちな持ち物の傾向を考えました。

 

繰り返しますが、

 

この形状、この持ち物なら必ず指が出るというものではありません。

「指出って言ってるけどこのコマだと指出てないよ!」とかもいくらでもありますので、あくまで傾向相関どうやらパターン様相probably大体感とお考えください。

 

傾向①:ペタリハンドより指の方が明らかに便利な持ち物

これはカッチカチの堅い傾向です。

皆さんも一番イメージしやすい指出かもしれません。

 

たとえば「ダイヤル」型の持ち物。

複数のモード・段階がある道具の「つまみ」を回す時に、指が2本出てきて器用につまみをひねっています。

 

同じく「スイッチ」型。

特にスイッチがたくさんある道具を操作する時には指が出がちでした。

確かに納得の指出です。

 

ペタリハンドでスイッチを押そうとしたら、

 

ぐしゃってなっちゃいますからね。

 

引き金をひく必要のある「銃」型や、ボタンを押して噴霧する必要のある「スプレー」型も同様です。

 

いくらペタリハンドが何でも自在にくっつくといっても、複数あるスイッチの1つを押す時・引き金を引く時などは、指が出ている方が便利なのは明らかです。

「何でもくっつく」という常軌を逸したスーパー技術を惜しみなく搭載しながらも、それにすら固執せず必要なら指も出る設計にしたドラえもん技術者チームの矜持を感じます。

 

このように機械の設計として指が出ることの合理性を想像していくと、

 

ドラえもんの指の出方が、

 

カショッ!!と機械的に出てくる音を想像してしまいます。

(一眼レフのフラッシュみたいに)

 

そして別に人間の指に似せる必要もないのだとすれば、例えば、

 

スマホでスクリーンショットを撮りたい時にも

 

カショッ!!生命の理に反した出方にしても良いのでしょうか?

 

しかしそういうシーンはなかったので、ドラえもんの生き物っぽさの裏には絶妙な設計思想があるのかもしれません。

 

傾向②:方向を制御する必要のある持ち物

傾向①と似ているんだけどちょっと違う指の出方が発生する傾向もありました。

 

先ほど、指が出る方が明らかに便利な道具例として、引き金をひく必要のある「銃」型や、ボタンを押して噴霧する必要のある「スプレー」型を紹介しました。

どちらもスイッチ操作によって何かをどこかに射出するタイプの道具ですので、「射出系」と括っておきましょう。

ビッグライトを始めとする「ライト」型も、同じく射出系に属する道具です。

 

コミックスを読み進めていくと、射出系の道具にはスイッチと関係のない特殊な指の出方をする傾向が見えてきました。

 

いずれの場合も、引き金やスイッチに関係のない、ただ持つための指出をしていることがわかるでしょうか?

必ずこうなるというわけでは勿論ありませんが、射出系の道具はなぜか使用していない時にも指が出がちなんです。

(特にコミックス中盤以降からこの傾向あり)

 

よく考えると、射出系の道具を持つ時って2種類の指の出方がありますよね。

射出スイッチを押すための指と、射出方向を制御するための指

射出の制御といっても、大まかな制御は腕や手首でやって、ミリ単位のより繊細な制御を指でやるイメージ。

 

射出系は道具と対象の距離が離れがちなので、ほんの少しでも方向がズレただけで

 

とんでもないことになりますし。

たしかにこれは、ペタリハンドよりも指の方が細かい方向制御ができるので理に適っているといえそうです。

 

使用していない時の落下・暴発リスクなどまで考えると、制御指は基本的に常時出る仕様なのかもしれません。

 

つまり、ドラえもんが射出系道具を取り扱う時は、スイッチ指は射出の時以外は格納されていて、制御指はオートで常時自動で出る

という設計になっているのではないでしょうか?

 

マジ?

ドラえもんの設計、すごすぎない??

 

傾向③:質感の特徴を出したい持ち物

ここまではどちらかというと「ドラえもんの設計」という作品内の話でしたが、ここからは「マンガそのもの」の話になります。

まず、持ち物の質感に特徴を出したい時、指が出やすい傾向がありました。

 

特に顕著だったのが「写真」です。

形状としては「紙」型に属しますが、「紙」型全体では指出る出ないの割合が半々程度のところ、写真はほぼ全てが指出

写真は紙の中でも厚みや紙質に特徴があるので、指が出ることで質感が表れやすいのかもしれません。

 

「薬瓶」型も、他の形状に比べるとかなり指出の割合が高いです。

こちらも同様に、程良い厚みがありつつ片手で持てる質感が、「指が出る」ことで表れているような感じがします。

 

ここで僕が言っている「質感」とは、単に硬いとか厚いというものではなく、「見た目よりも意外と〇〇」です。

写真は、マンガ上の見た目は普通の紙ですが、意外と厚みがあり持った時のパリッと感があります。

瓶は、マンガ上の見た目よりも意外と奥行きがありしっかり感があります。

 

パン屋のレビューみたいになっていますが。

 

コミックスには、ごくまれに妙に陰影の凝ったコマがあったりします。

確かに、独特の質感を見た目で出すにはこういう描き方もアリ。

しかしこんな雰囲気が続くと、『ドラえもん』がハードボイルドな劇画っぽくなってしまうかもしれない。

 

見た目だけで質感を出そうとすると、どうしてもリアルっぽくなってしまう。

リアルさを抑えつつ持ち物の質感を説明するために指が出ている、ということかもしれませんね。

 

傾向④:目立たせたい持ち物

「この持ち物、物語の展開上大事なので目立たせたい!」という時の指出が見受けられました。

 

たとえば、食べ物(どら焼き含む)受話器など、一部の形状は明らかに指が出ない傾向にあったのですが、

 

受話器そのものがひみつ道具として出るケース(図右)や、ひみつ道具の稼働に必要な食べ物(図左)の場合は、指が出る傾向にあります。

『ドラえもん』のストーリー展開の軸は、やはりひみつ道具。

「この道具を使って今から話が転がっていくよ~」という目立たせサインとして指が出ているように見えます。

 

ちなみにこのダイコンは、「ある物体」「それと近い物体」変換するひみつ道具である「物体変換銃」の素材として登場します。

「近い」の例として炭素→ダイヤモンド」といういかにもそれっぽいケースが挙げられていたんですが…

 

「ラジコン」を生成するなら「ダイコン」が近い!という、ダジャレ未満の流れでダイコンが登場します。

成分とか関係ないならなんでもアリじゃん……

 

何だこれ!!!!

ダイコンからダイが抜けて、代わりにラジが注入されている!!

 

僕、これ欲しいです!!!

めちゃくちゃ遊べそうな道具だ。

 

 

===

以上より、

 

ドラえもんにとって、作者にとって、それぞれ理由があって指が出ているという傾向を僕は見出しました。

どれか1つの理由な時もあれば、複数理由の合わせ技で出る指も多々あります。

(別の規則性もまだいくつか見えかけてるんですが、とんでもない分量になりかける前に打ち止めます)

 

まとめを見ると「まあ、そんな感じだよね」って思うかもしれません。

それに実際のところ、あくまで傾向であって常にこのルールに即しているわけでもないです。

 

「え?それなら実質・・・

 

テキトーと同じでは?」

 

 

 

いいえ、違います。

 

藤子・F・不二雄先生は、指のことをちゃんと考えて描いたり描かなかったりしてます。してました。

流石にいつもずっと指のことを気にかけてるわけではないと思いますが、でも一貫したを感じるんです。

僕にはわかるんだ。

 


(これ絶妙!!! もう少し薄い本なら指あったろうな)

コミックス後半につれて作者と指感覚がどんどん一致してきて、メモ上で興奮していました。

 

(『ドラえもん 第2巻』(小学館・てんとう虫コミックス)p.178より引用)

マンガの1話、1ページ、1コマを描く時に気にすべきことは、きっと星の数ほどあります。

世界観、ストーリー、キャラ造形、表情、キャラ同士の関係性、感情の揺れ、身体の使い方、色合い、背景、メカニック、セリフ、効果音、その他たくさん。

 

ただでさえ発狂しそうな作業を大量にこなしながら、ドラえもんの指が今この瞬間出るのかどうかについてまで「込めて」いる。

それが『ドラえもん』に宿る凄味の、1つの源泉なのかもしれません。

 

小学館|てんとう虫コミックス『ドラえもん』シリーズ より引用

ドラえもんってすごい。

『ドラえもん』ってすごい。

マンガってすごい。

 

皆さんも機会があれば、いつもと少し違う角度を気にしながら、マンガの奥深さを堪能してみてはいかがでしょうか?

 

それでは、次回は『スネ夫が自慢するのはゲームとラジコンどっちが多いのか?』でお会いしましょう。

 

(おしまい)