「ドラえもんの指」中間報告

折り返し付近まできましたので、読み進めていくうちにわかってきたことを一旦まとめましょう。
わかってきたこと①

当たり前のことを難しく言っているだけっぽさもあるんですが、でも一番大事なことなので説明させてください。
要は、
・指が出ている方がドラえもんにとって持ちやすい・使いやすい形状だと、指出の傾向にある
・反対に、指が出ていなくても良い・指が出ていない方がむしろ都合が良い形状だと、指不出の傾向にある
ということです。
指が出やすい形状としては、

引き金をひく必要のある「銃」型や、ボタンを押して噴霧する必要のある「スプレー」型が代表的です。
形状に着目するとある程度持ち物をジャンル分けできるので、調査がはかどりそうです。
しかし、「銃」型なら絶対に指が出るかというとそうでもありません。

(『ドラえもん 第2巻』(小学館・てんとう虫コミックス)p.178より引用)
たとえばこちらのシーン。
焦ってポケットの中を探す⇒やっと銃が見つかる、といった「まだ引き金に指をかけていない」瞬間の状況だと、指は出ない傾向にあります。
確かに、直前まで焦って探していたのに、いざ取り出した瞬間すでに指が引き金にかかっていると、やや違和感が生まれてしまう気がします。
僕的には非常に納得できる所作です。
(それにしても、テンポの良さにいちいち驚愕する…)
では反対に、指が出にくい形状というのはあるのでしょうか?
そもそも「指が出ない方が普通」なので規則性を見出すのは難しいですが、たとえば、

道具の形状が複雑だったり、複合的な道具をいっぺんに出す時など、指よりもペタリハンドを使って持った方が持ちやすそうという場合は指が出ない傾向があります。
「それって、持ちやすいからじゃなくて、その方が描きやすいからなのでは?」
はい。
正直、「ドラえもんにとって持ちやすい」からなのか、「作者にとって描きやすい(≒読者にとって見やすい)」からなのかは、何とも言えません。
今回のドラ指調査は、「ドラえもんにとって」or「作者/読者にとって」を厳密に整理しようとするとかなり複雑怪奇になってしまうので、皆さんも一旦あまり気にしすぎず軽やかに考えてもらった方が良さそうです。
ちなみに、ここでいう「形状」とは、モノの形だけではなく、サイズ、重量、そして操作・使用方法などもひっくるめて呼んでいます。
たとえばどこでもドアでいうと、
・縦に長い長方形のかたち
・ドラえもんの背丈よりはるかに大きいサイズ
・ドアとしてのしっかりした重さ
・立てかけて、ドアノブを触って開けるという使用方法
これらが「形状」です。
形状は指の出る出ないに影響しますが、形状以外の要素、たとえば「どこにでも一瞬でワープできる」といった機能・効果はまず関係ありません。
(機能・効果こそが本来の『ドラえもん』の醍醐味なのに)
これも当たり前なんですが、でもこういう基本を押さえるのは大事です。
―――多分。
わかってきたこと②

先ほどは形状と指出の関係性を紹介しましたが、常にそうとは限らないということです。
具体例をご覧いただきましょう。

たとえば「薬瓶」型の形状である道具は、かなり高い確率で指が出ているのですが、

指が出ていないこともたまにあります。
ちなみに通読して初めて気づいたんですが、『ドラえもん』のひみつ道具って「飲む薬品」がやたら多いです。
よく考えると、未来世界の謎アイテムを内服するのってちょっと怖い気もしますが、

のび太はいつも躊躇なくガボガボ飲んでてすごい。
まあでも、ドラえもんが出してくれる道具なんだから、大丈夫か……

本当に大丈夫か!?
指の話に戻ると、形状どころか同じ持ち物なのに指出と指不出が併存するケースもありました。

特に顕著なのが「どら焼き」です。
20巻までに登場したどら焼きのうち、指出が4回・指不出が6回。
パッキリ割れています。
他にも書ききれないくらい様々なケースがありましたが、総じて言えるのは「この形状・この持ち物なら必ず指出となる」といったガチガチの因果関係はないということです。
「作者にとって」で考えたら、そこまで厳密に切り分けているわけではないということでしょう。これは当然といえば当然のことです。
「1話の中で指が出たり出なかったりする」場合もあったり、「1話の中で何度も何度も指を出し続けている」場合もあったりします。
集計のブレを軽減するために、今回の調査では「指出が1話の中に1コマでもあれば1カウント」というルールにしましょう。
1つの持ち物に対して、1話内で1回でも指が出ていたら1回。2回以上出していても同じ話なら1回。
ということで「必ず」ではないものの、「こういう形状なら指出がち」という一定の規則性はあります。
特に
・「薬瓶」型
・「カメラ」型
・「ライト」型
あたりは、かなり指出の傾向が強そうです。

指関係なく、そもそも『ドラえもん』は「同じ形状の道具」がかなり多い気がします。
カメラとか、薬とか、ペンとか。
一気読みすると「またカメラかよ!」というのが非常に多い。
SF作品の道具として使い勝手の良い形状みたいなのがあるんでしょうか?
わかってきたこと③

一部のシーンでは、マンガ上で指不出だが「向き」的に描かれていないだけで実際は指が出ている、という可能性も考えられます。
(実際って何?)

「本」型や「マント」型のように、両手で拡げて持つ形状のモノがわかりやすいかと思います。

僕たちがこういうモノを持つ時は、親指が内側に隠れるような持ち方をします。
つまりドラえもんも、コマに表れないだけで内側に指が隠れている可能性があるということです。
また、亜種として「貫通系」というのもあります。

特に「棒」型の形状に見られる現象で、ドラえもんの手を持ち物が「貫通」しているコマです。
絵の後ろ側でペタリハンドでくっつけている可能性も否定できませんが、図左のように完全に貫通しているコマもあります。
ペンを握るときに手に穴が開く仕様とは考えづらく、これは僕たちでいうところの「握っている」状態に近いと思われます。
つまりドラえもんも一旦指を出してから握り込んでいて、コマ上では握り込みの絵が省略されているのではないでしょうか。
これもやはり、コマに表れないだけで指があることを前提とした所作の可能性があるということです。

ちなみに、「棒」型の指出もちょいちょいあります。

『ドラえもん』には「拡げ」や「貫通」のように、実際には指が出てそうだがコマ上は描かれていないという現象が多発しています。
難しいところですが、これらのコマを指出に含めるのは違和感があるので、今回の調査ではコマ上で指が描かれていなければ一律で指不出扱いとしましょう。
わかってきたこと④

これまではドラえもんが何かを持っている時について考えましたが、非常にレアなケースとして何も持っていないのに指が出ている「不持指」があります。

何かを指し示したり、合図をしたりなどマンガ上の表現でよく見られるものですが、ドラえもんがやっていると「特殊」な感じがしますね。
実際、ドラえもんが何かを指し示す場面そのものは非常に多いですが、指が出ることはほとんどありません。
また、激レアな不持指の場面には他に際立った特徴もないので、不持指については何らかの傾向があるわけではなく「突発的」なものと考えるのが良さそうです。
ただ……

ドラミちゃんの不持指が妙に多いのが気になります。
20巻までで集計すると、ドラえもんの不持指6回に対して、ドラミちゃんは2回。
ドラミちゃんの登場回はだいたい10話でコミックス1巻分にも満たないので、登場頻度の圧倒的な差を加味すれば、ドラミちゃんの不持指は異常な多さといえるかもしれません。

特に図左のピースをしているドラミちゃんは、コミックス初登場の1コマ目です。
普通に読んでいると気にも留めなかったでしょうが、指に注目して『ドラえもん』を読んでいると、最初からいきなりピースしているドラミちゃんにはかなり衝撃を受けました。
「ドラえもんはピースなんてやらせてもらえないのに、なんで……!」という謎の気持ちに。
兄妹の性能差を暗に示しているのかもしれません。
===

ということで、20巻まで読んでおおまかな傾向は掴めた気がします。
また、読み進めるうちにドラ指調査の攻略法も若干見えてきました。

『ドラえもん』の1話内の流れは、だいたいいつも上記のようになっています。
この「②」から「③」に進む時にドラえもんが退場することがそこそこの割合であります。

ドラえもんの退場に際しては、かなりわかりやすいサインコマが出がちです。
このコマが出れば、以降しばらくはのび太の単独行動が続くので、大幅にドラ指調査の時間を短縮できます。
(『ドラえもん』は、ドラえもんがいないシーンはそこそこありますがのび太はほぼずっと出続けています。のび太に関する調査だったらと思うとゾッとする…)
こうした効率化をコツコツ積み上げて、ドラえもんの指に特化した読書術が徐々に身についていきます。
反対に、

道具が出るサインがきたらめちゃめちゃ身構えます。
次のコマから確実に指の確認作業に集中する必要があるので、変なスイッチが入るようになりました。

読み進めているうちに、ドラえもんの指ばかり見すぎて「ドラえもんって指出てるのが普通なのでは?」と錯覚し始めました。
調査前は「珍しい指」だと信じて疑わなかったのに。
もうあの頃の瑞々しい指感覚に戻ることはできません。
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では、残る25巻を読んでいきましょう。




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