マンガやドラマで、こういう人を見たことがないだろうか。
ナイフを舐める人だ。
例えば、不気味な殺し屋なんかがナイフを舐めているイメージがある。
私はテレビでナイフ舐めを見かけると、2つの不安を抱いてしまう。
まず「何をされるか分からない狂気」に対する不安。
その次に「ベロが切れちゃわないか心配」という不安だ。
実はナイフを舐めている本人も、心の奥底ではベロの心配をしているかもしれない。
私だったらバレないように刃の背ばかり舐めると思う。
だから、この刃の部分をアメにしたいと思った。
狂気はそのままに、アメなら舐めても安全だしおいしいし、良いことづくめだろう。
というわけで、今回はアメのナイフを作ってみたい。
これからナイフ舐めの予定がある人などの参考になれば嬉しい。
舐めても安心! アメのナイフを作ってみよう
①ナイフを分解して刃の部分を取り出す
もちろん本物のナイフは危険なので、おもちゃのナイフを用意しよう。
②シリコン液を作る
食品用のシリコンを用意する。説明書どおりにA液とB液を混ぜ合わせ、シリコン液を作っていく。
A液とB液は1:1の分量で合わせる。ムラにならないよう2分間しっかりかき混ぜよう。
③シリコンで刃の型を取る
容器の中央にナイフの刃を置き、上から混ぜ合わせたシリコン液を静かに注ぐ。
このまま常温で放置して固める。
14時間後、容器からシリコンを外す。
さらにカッターを使ってシリコンからナイフの刃を慎重に取り出す。
ここでケガをしたら元も子もないので十分に気をつけよう。
刃の型が完成!
④アメを作る
型に流す飴を作る。今回は喉にやさしい龍角散のど飴を配合してみたい。
人間ある程度の年齢を重ねると、せっかく食べるなら少しでも健康に良さそうなものを……というマインドを抑えられない。
小鍋に水15g、砂糖40g、レンジで溶かした龍角散のど飴を入れ、火にかける。
この時、鍋の中をかき混ぜると砂糖が結晶化してしまうので、なるべく触らないようにする。
大きな気泡が立ってとろみが出たら、火から下ろす。
⑤アメを刃の型に流して固める
良かれと思って入れた龍角散のど飴が原因なのか、ぜんぜん刃物じゃない色合いになった。
でも、もうあとの祭りだ。見て見ぬふりをする。
常温で30分以上置いてアメを固める。
型からアメを取り出したら完成!
アメは表面がベトベトして扱いにくいので、舐める直前にナイフのグリップと合体しよう。
ナイフ舐めを実践してみよう
改めてナイフ舐めをしてもらいたい旨を山下ラジ男に伝え、カラオケ屋に来てもらった。
何の疑いもなく来てくれたので、お願いしてみるもんだなと思った。
ちなみになぜカラオケ屋なのかというと、歌の途中でナイフを舐めてもらうことで、のど飴の効果が最大限に生かされると思ったからだ。
保冷バッグに入れて持参したタッパーから取り出したのは、丹精こめて作ったアメのナイフ。おいしく出来てるといいな。
殺し屋をイメージして、手持ちの中で一番ガラの悪そうなシャツに着替えてもらった。
アメのナイフを持ってもらえば準備万端だ。
デンモクで好きな曲を入れてもらった。なぜか採点モードだった。
倫理観とかがめちゃくちゃな殺し屋が、歌のうまさを気にしてると思うとちょっと親しみが湧く。
選曲は爆風スランプの「Runner」。
がなり声をマネした本格的な歌いっぷりだ。
でも一曲歌いきるまでに喉がつぶれそうな予感がする。
あと、意外とナイフを持ったままカラオケしても違和感がない。
サビを歌いきって、間奏に入るのタイミングでいよいよ始まる。
……よし、今だ!
ペロリ……
ペロッ……レロッ……
怖い! けど見ていられる。危なっかしくなくて、すごく安心感がある。
殺し屋いわく「けっこう甘いけどハーブの香りがしてうまい」とのことだ。
無事に一曲歌いきった。めちゃくちゃよかった。
聞き手としても間奏にナイフ舐めがあると思わず目を奪われるので、手持ち無沙汰が解消されるという発見もあった。
「ちゃんと出来てた? ナイフ舐め」
ちゃんと出来てた。それに普段より発声もよかった気がする。龍角散のど飴の成分が効いたのだろうか。
2曲目は座った状態でバラードをしっとり歌う。
あっそろそろ間奏に入る……!?
――その瞬間、顔つきが変わった。
ペロ!
ペロ~~リ……!
この人、ナイフ舐めが上達している。
ナイフ舐めにも明らかに上手い下手がある。
1日1本ナイフ舐めをしたら、世界一の(雰囲気の)殺し屋になれるかもしれない。
ひとつ注意点があるとすれば、縦に舐めると一気に千歳飴になるので気をつけてほしい。
2曲目も気持ちよく歌いきって終了!
奥ゆかしい嫌味みたいな採点が出たけど、殺し屋はニコニコして楽しそうだ。
寒天で作ったナイフも試してみよう
アメで出来たナイフは舐めるのにちょうどいいが、どうしても色味に納得がいかなかった。
ナイフのような銀色を再現したい。
というわけで、試行錯誤して寒天を使って銀色に近づけたナイフも作ってみた。歌の最中でもちゅるっと爽やかな喉ごしを楽しめるはずだ。
殺し屋に寒天のナイフを渡してみた。
寒天の刃は硬さがなくて自立できないので、グリップを上にして持ってもらう。
それでは歌っていただきましょう!
アメではナイフの色味が出ないし、寒天だとナイフの硬さを出すのが難しい。
ナイフ舐めっていうのは奥が深い。
「あ! すごいこと発見したかも!」
突然ひらめいた様子で殺し屋がトマトジュースを手にした。
「ほら、これ! ナイフに滴る血みたいじゃない!?」
急にこわいことを言い出さないでほしい。
「ひひ、血の味が甘いぜ……(ペロリ)」
誰も殺さないし自分もケガしない。
安全に殺し屋をまっとうしている。
頼んでよかったなと心から思った。
「もしかしたらなんだけど、これ……」
頭が冴えわたる殺し屋のひらめきをもう止めることはできない。
ナイフ飲みだ。私はこれほど安全なナイフ飲みを見たことがない。
怖い。もう安全すぎて恐ろしくなってきた。
もはや殺し屋というか大道芸人みたいになってきたが、寒天のナイフは「きしめんみたいな食感でつるっといけて良かった」とのことだ。
苦労して作った甲斐があった。
いかがだろうか。殺し屋によるナイフ舐め等を安心安全に楽しんでいただけただろうか。私はすごく満足だ。
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