子どもはYouTubeが大好き!

 

YouTubeといえば世界最大の動画サイト。子どもも当然その存在を知っていて、テレビ以上に夢中になっているという話はよく聞きます。

 

では、現代の子どもはいったいYouTubeでどんな動画を見ているのでしょうか?

大人として生きているとあまり知る機会のないこの疑問を解消するため、現役子育て中の人間に話を伺いました。

 

 

 

疑問に答える人

原宿 小学1年生の娘がいる。

かんち 小学4年生と1年生の息子がいる。

 

 

※本来は副社長の永田にも参加してもらう予定でしたが「YouTube見せてません。うちの子は博士になるので……」と言われたので欠席です。

 

 

――原宿さんの娘さんは今年小学1年生になったばかりですよね。

そう。それで幼稚園の送り迎えがなくなったのが本当に嬉しい。

送り迎え、大変ですよね。

終わったのは嬉しいけど、一方で妙に寂しいんだよな。この苦痛がもう訪れないんだと思うと、人生に穴が開いたみたいで……。苦痛もまたかけがえのない人生の一部だったのかもしれない。

何の話?

 

――かんちさんの家は男の子2人ですね。

 

僕の家にも小学1年の男子と、あと4年生の長男がいます。

 

――お子さんはYouTube、見てますか?

 

見てる。

見てる。

 

――やっぱり見てるんですね。

 

朝早くに起きて、テレビで勝手にYouTube見てる。

もう勝手につけるレベルなんだ。

 

――どういう動画見てるんですか?

 

うちの子はゲーム実況動画が好きで、特に「ROBLOX(ロブロックス)」っていう子ども向けのメタバースみたいなのの実況に夢中なんです。

見せる内容に制限はかけないの?

僕からは特に何も言ってないですね。あ、でもホラーゲーム実況で、実況者が音割れさせて「ギャーーーーー!!!」とか叫んでるやつは「うるせ~!」って言って消させちゃいます。

 

もっと落ち着いた配信者のを見ろ……!!

「こんなのより、兄者弟者を見ろ」と。

 

――そこまで指定してくる親、嫌だな。

 

あとは……アレ……アレもよく見てる……。宇宙船のやつ……。
宇宙船?

ほらあの、人狼のやつ……。

あー、なんだっけあれ。赤いやつ。イン……インポスター?

それ! でもゲーム名じゃないですよね?

 

――『Among Us』?

 

Among Us: Crewmate Edition - Switch(【同梱物】オリジナル壁紙セット(全6種/DLコード)、MIRA HQ ホログラムアクセスカード(全12種/ランダム封入)、インポスターステッカーシール、3Dレンチキュラーケース、THE SKELDのマップ、各種DLCプロダクトコード 封入)

 

それだ!

 

――思い出すプロセスに加齢を感じる。

 

息子はよく『Among Us』のキャラの落書きもしてます。

 

――「まま すきだよ」って書いてあって微笑ましい。

 

自分でゲームを遊んだりはしないの?

しないです。観る専門で。『マイクラ』も去年までは一緒にやってたけど、今はもう実況を観てるだけになっちゃった。

うちの子もゲーム実況は観るけど、不思議とやりたがったりはしないんだよね。サッカーの試合は観るけど選手になりたいわけじゃない、みたいな感じなのかもしれない。

この前、実況者がやってたホラーゲームを僕が買って、プレイしてるところを息子が横で見守ってたんだけど、僕は下手くそだからめちゃめちゃ死ぬんですよ。そしたら怖いわイライラするわで、子どもがマジで泣き始めちゃって。「なんでそこで死ぬの!!!」って怒られながら。

テンポのいい実況に慣れてると、素人のプレイは見るに堪えなくなっちゃうのかな。

「なんで泣いてる子どもに怒られながら怖い思いしないといけないんだよ!」と、情けなくなっちゃいました。

出てくる感情が多い事件だ。

 

――原宿さんの、小1のお子さんもYouTubeは見てるんですよね?

 

えー……その前に大事なことを言いますが……

 

妻は、反対しております。

奥さんが反対しているけど見せている……?

まあ……。

 

――歯切れが悪い。

 

妻としては、最初からYouTubeを見せるベースで育てちゃうと、見れないときに悲しくなっちゃうからわざわざ見せない。いずれ見るようになるんだし、というスタンスですね。

 

――なるほど。

 

でもまあ僕はそこまでYouTubeを問題視していなくて、宿題が早く終わったときとかに「じゃあちょっとだけ見ようか」的な感じで。

「お父さんはYouTubeを見せてくれる、お母さんは見せてくれない」。夫婦で方針が違うというのは危険ですね。

その差は娘も感知しているみたいで、母親の前ではYouTubeの話題を出さないんだよね。

 

――YouTubeを見せる権利を自分が握ることで、娘からポイントを稼ぎたいという気持ちが……

 

いい顔したいって気持ちもあるのかもしれない。

あるんかい。

でもYouTubeを見ること自体は悪いことじゃないと思ってる。教えてない漢字とかどんどん読めるようになってるし、いろんな知識をどんどん覚えるし。

どんな知識を?

ネット怪談とか、SCPのゆっくり解説とか。

 

――よくいるネットオタクの知識じゃないですか。

 

たぶんまだ怪談というものを理解はしてないんだけど、6歳なりに「こういう怖いバケモノがいるから気をつけた方がいい」みたいなことを教えてくれるんだよね。

6歳でそれはすごいなあ。

「青鬼」も見てる。

 

青鬼

青鬼って15年くらいずっとウケててすごい。

 

最近は、雨穴の動画もめっちゃ観てる。

6歳で雨穴観てんの!?

『変な家』の本も読んで、アンケートハガキも書いてた。

将来、名の知れたホラー作家になるかもしれないですね。

 

――意外と子どもってホラー見るんですね。

 

確かに、うちの子も「ヤバいSCP 7選!」みたいな動画はめっちゃ観てます。

今やSCPは、子どもの基礎教養なのかもしれない。

 

これ何?

うちの子が使ってるタブレットですね。これでゲーム実況とかめっちゃ見てる。

 

――どんなの見てるんですか?

 

『ちろぴの』『しいちゃんねる』『おらふくん』『やんちch』『NoOnE【のーわん】』『オレちゃんズ!!』……

 

――1コもわからない。

 

こんなに知らないもん? 世代間の断絶がすごいな。

子どもが勝手にチャンネル登録するんですよ。僕はもっと教育に良いのが見せたくて「動画でわかる宇宙のしくみ」とか「おもしろ科学実験」みたいなの登録してるんだけど、全く見ない。

わかる。そういう大人が喜ぶようなチャンネルは一切見ない。

 

――子どもって「学ばせよう」みたいな親の意図を敏感に察知しますからね。

 

俺が子どもの時もそうだったし、子どもが親の都合よく生きることは絶対にないと割り切ったほうがいいのかも。

 

 

みんなの子どもが見ているYouTubeチャンネル

 

――ここからはSNSのアンケートで集めた「子どもが見てるYouTube」情報を見ていきたいと思います。

 

 

――多かったのは「子どもがおもちゃでおままごとをしている動画」ですね。

 

あー、あるね。アンパンマンの人形を使って裏声で喋ってるやつとか。

子どもが遊んでる様子を子どもが見て満足してるって、よく考えるとすごい世界。

ゲーム実況もだけど、”遊び”のアウトソーシングの時代が実際来てるよね。

それが2歳や3歳から始まるなんてヤバい。

 

――「何が面白いのかわからないが、アニメ以上に子どもは集中して見てくれるので家事が捗り助かる」という声が多かったです。

 

それは本当にそう。静かになってくれるから、つい見せちゃうって人は多そうだよなあ。

何でこんなに惹きつけられるのか。絶対プロの作った動画のほうが面白いと思うけど、洗練されてないのが逆にいいのかなあ。

家族でYouTubeやってるチャンネルもあるけど、確かに「その辺にいそう!」という身近な感じはするよね。

ああいうの、なんか雰囲気が怖いときがあって自分は苦手です。

途中からママが一切出てこなくなったチャンネルもあったしな。

 

――幼児に人気があるのは、テレ東の『シナぷしゅ』みたいです。

これはちゃんと人気あるよね。昔の『ウゴウゴルーガ』や『ポンキッキーズ』的な位置なのかな。

こういうのが好きだと安心できていいですよね。うちの子が小さい時は、自動車がクラッシュする動画ばっかり見てて心配だったんです。チェーンで繋がった2台の車が鉄柱を追い抜いて、チェーンが引っかかってバラバラになる動画を、それはもう貪るように見ていて……。

4年くらい前、会社のYouTubeアカウントにログインしたままかんちくんの子どもがその動画を見まくって、履歴が「チェーンで破壊される車」だらけになっていたことがあった。

3日で100本くらい見てましたからね。

 

――実際そういう動画って人気あるみたいで「車がいろんなものを踏み潰すASMR動画を夢中で見ています」という声は多かったです。

 

サムネイルからもう面白すぎる。

こんなものを見て育ったら、将来とんでもないフェチになりそう。

 

すごい、こんな面白すぎるのには勝てないな。

上のところに「面白アニメーション」って書いてあるのが怖い。

 

――あとは「踏み切り」の動画も人気があるみたいで、けっこうな人が名前を挙げてました。

踏み切り……?

 

――世界各国の「踏み切りの信号」が飛んだり跳ねたりするアニメのチャンネルです。

 

やっぱりYouTubeって見せない方がいいかも。

ここに需要を見出した投稿者って何者なの?

 

――かなり細かい部分にこだわった動画が意外とウケているみたいで、こんな報告もありました。

 

甥っ子ですが、ひたすらトミカを開封して、専用の収納ケースにしまっていくだけの動画を延々と見続けています。
同じチャンネルの同じ形式の動画でも本人の中で良し悪しがあるようで、動画によってはすぐに関連動画のサムネイルを指差して遷移を要求してきます。大人の自分から見ると何が違うかわからないです。(3歳)

よくわからないけど、細部に気持ちよさが出るんだろうな。

遊ぶでもなく「ケースにしまう」ところが気になるんだ。

トップオタクになれる素質の片鱗を感じる。

 

タイタニックの沈没過程の解説動画。タイタニック号が好きというより沈没する場面が好きらしいです。その他には戦艦大和の沈没についての動画など。破壊衝動?(7歳)

「沈没が好き」っていうのもすごいな。

 

おりがみの動画 今の折り紙の進化、マジでスゴイです。娘が誕生日に薔薇のブーケくれた(6歳)

すげえ! 今折り紙ってここまできてるんだ。子どもには難しくない?

早くから好きなことがはっきりしてる子は、こういうYouTubeを見てどんどん特定分野の才能を伸ばしていくんだろうな。

「作れないからお父さんこれ作って」って言われたらダルすぎてキレちゃう。

 

秋田県男鹿市のなまはげの動画ばかり観ている(4歳)

子どもの方からなまはげ迎えに行くんだ。

泣けよ。

 

ナマコが排便する動画(14歳)

ナマコが排便する動画!?

気になる。どういうのですか?

 

……

……

 

 

 

これは最高。

 

 

――もうちょっと大きくなってくると「混血のカレコレ」「テイコウペンギン」「フェルミ研究所」のようなマンガ動画系も人気があるみたいです。

あー「混血のカレコレ」はうちの子もたまに見てるんだけど、けっこうエッチな感じのサムネが多いのが親としては気になるんだよな~!

 

本当だ、子どもには刺激が強いですね。

でも内容は割と王道の漫画なんだよ。話が普通ならサムネをエロくするなと言いたい。

 

――子ども心に背徳感があるからこっそり見る感じなのかもしれないですね。「10歳の弟がそういうサムネのエッチな動画やVtuberの切り抜き、スライムのASMR動画をコソコソ見ているので、私が履歴を消してあげています」というのもありました。

 

視聴履歴で起こった悲劇がたくさんあるんだろうな……。

Vtuberとかも、もう小学生が見てるんだね。「すとぷり」みたいに顔出ししないグループも人気あるもんな。

 

――「弟が自分の動画を見ている」という人もいました。

 

私がVTuber活動をしていることを家族全員知っており、ポケモンやモンハンなど弟が好きなゲームをやると配信やアーカイブを観ていることがあります。成人済みの姉がキャピキャピのロリ声で配信してる点は特に気にならないそうです。(10歳)

新しい時代の家庭円満だ。

 

――ゆっくり動画もかなり人気があるようですが「日本語のイントネーションや文節の区切りがゆっくりの影響なのか不安定になってきている」という声も。

「ゆっくり」が日本語を変え始めてる!? これはすごい話。

合成音声みたいな喋り方の子どもがこれから増えていくってこと?

「今日は 小学校に 行くんだぜ」

そうなっちゃうなら見せたくないな。

 

 

――そういえば「オモコロチャンネルを見てる」という声もいくつかありました。

やめろ。

いいですね、どんどん見せてください。

 

オモコロチャンネルでは子どもは「引っ越し挨拶王」が好きらしく、何度もリピートしています。しらす軍艦将が出てくるとお腹を抱えて笑い転げていて、いいんだけどちょっと不安です。(8歳)

ほう……

 

 

これで笑ってる8歳ってすごい。

その才能に全力で投資してあげてください。

 


 

YouTubeには想像以上に広い「子どもの世界」が広がっていることがわかりました。

便利であるだけでなく心配なことも多いですが、大人が責任をもって見守っていきたいですね!