

という訳でみなさん、今日は来て頂きありがとうございます。最近の娯楽の多さと速さにビビってしまって…1回立ち止まる為に、子供の時の娯楽がなさすぎて途中しかない漫画すら貪るように読んでた時の話を交換しあいたいなと思いまして。
話し合って、最終どうするんですか?
人に話すことで曖昧な思い出に輪郭ができると思うので、それを心のあったかい所にしまいます。そうすると今後娯楽の濁流に飲まれても大丈夫になると思うので。
分かりました。

まず僕の実家に途中だけあった巻なんですけど、幽遊白書の15巻です。僕幽遊白書は20年間くらいこの15巻しか読んだことなくて…この巻だけを何度も読んでましたね。
20年はすごいですね。どういう巻なんですか?
それが…内容的には「仙水の洞窟に向かうまで」の巻です。すごく途中の巻なんですよね。戸愚呂弟は倒した後だし、仙水にはたどり着いてない。
間すぎる。

(幽☆遊☆白書15巻より引用)
途中戸愚呂兄が過去を語るんですが、弟に砕かれたって言ってて、でも読んでる時点では戸愚呂弟はもう出てきてないので、「弟?何があったんだろう」とずっと思っていました。めちゃくちゃ途中の巻なんですが、そういう前後を想像するのはとても楽しくて、わくわくした記憶が残っています。大人になってからちゃんと全巻読んだんですけど、弟、めちゃくちゃ重要キャラでした。
分からないからこそ、前後を想像するって子供だからできたかもしれませんね。今ならすぐ全巻買ったり調べたりしてしまう。

続いて僕の実家に途中だけあった巻を紹介したいんですけど、サラリーマン金太郎の9巻です。僕はまだこの9巻しか読んだことがなくて、前後を全く知りません。
どういう巻ですか?

(サラリーマン金太郎9巻より引用)
それが…最初から広大な砂漠にいて雄大な自然を感じたりしてるんですよね。なぜここにいるかは今も知りません。
サラリーマンじゃなさすぎる。

(サラリーマン金太郎9巻より引用)
それで…その後急に毒サソリに刺されて…かと思えば急に砂漠に和服の美女が表れてまぐわったりしています。

(サラリーマン金太郎がすごすぎて絶句…)
考えると、途中の巻だけ読むって読書体験として相当強烈かもしれませんね。分からない状態で、分からないことが起こる。でも娯楽が少ないからそれでも何度でも読む。めちゃくちゃ脳に効く気がします。

(サラリーマン金太郎9巻より引用)
後この、ギラという単位をずっと覚えています。
子供の時に覚えた作品の中の通貨、ずっと覚えがち
前後を読むとこの強烈な、「なぜこんなことが起きている?という衝撃」が失われると思うと、ずっと前後を読まない状態も良いという気がしてきました。

僕の実家に途中だけあった巻はあたしンちの5巻です。これは先日帰省してたので、実家にあった当時の現物をそのまま持ってきました。

実家にあった途中の巻たち
実家ってこういう中途半端な巻だけ溜まってる棚のエリアある。
あたしンちみたいな形式の漫画だと、途中だけでもまだ入りやすい気はしますね。
そうなんです。これも何度も読んだんですが、あたしンちって実際の生活からの地続きの話が多いので今の生活とも結構リンクしてる話が合って

(あたしンち5巻より引用)
家族全員が電化製品を使ったせいでブレーカーが落ち、電気を同時に使うのに神経質になるという回なんですが、それを灯火管制と表現しています。このワードが強烈で、それ以後1人暮らしして、ブレーカーが落ちないか気にする度に、「灯火管制…」と思っています。多分、一生思います。
子供の時に何度も読んだからこそ残って、その後ずっと思い続けるっていいですよね。1回生活の中で反復して思い出すワードになっちゃうと、本当に一生忘れない。
※灯火管制 戦争中に夜間の灯火を制限する措置

僕の実家に途中だけあった巻は、星のカービィ デデデでプププなものがたりの2巻ですね。あったんじゃなくて、僕が2巻から買ったんですけど。ずっとこの2巻を読んでました。
子供の時って途中から漫画買えてしまいますよね。不思議。

(星のカービィ デデデでプププな物語2巻より引用)
このカービィがカインに入って、バーニングでデデデを打ち上げる、というギャグが好きで好きで、本当にずっと笑ってました。
子供ってもっとうんちとかおしっこで笑うと思うんですけど、これだったんですね。
僕はデデデの打ち上げでしたね。

それで…後年になってからまた続きを買ったんですが、4巻で…3巻を飛ばして買ったんです。
実家にあった途中だけの巻を生み出す側の人間だったんだ。
そしたら、2巻まではレギュラーキャラとして出てたチービィというキャラが4巻では全然でなくなってて…

この間で消えてるんです。チービィが…。一応設定的にはデイジーという敵キャラが帽子をかぶってチービィになっていたというのがあるんですが、それにしてもめちゃくちゃレギュラーキャラだったのに全然でなくなって…

この疑問をずっと抱いていますね。
途中の巻だけ読んでるが故の、珍しい悩み、もはや美しい気すらしてきます。

すいません、主催者権限でもう一冊実家に途中だけあって何度も読んだ漫画を紹介させてください。拳神 海渡勇次郎伝の1巻です。1巻なんですが、全体としてはボクシング漫画だけど1巻ではアラスカで狩りをずっとしてるので、途中とさせてください。
これは初めて聞く漫画ですね。
この漫画なんですが、とにかく寒さの表現がすごくて、漫画って基本的に温度のダメージって軽んじられてるじゃないですか。寒さも暑さも。でも…

(拳神 海渡勇次郎伝1巻より引用)
さっきまで話してたキャラが冬の海に落ちて一瞬で亡くなったりするんで、寒さってマジなんだ、と子供の時にこれを読んで学んで、ずっと寒さというのを心底恐れています。今もまだ…。
実家に途中だけある漫画って、昔の劇画だったりも多いので、そうなると絵の力がすごくて一生心に残るかもしれないですね…。
サラリーマン金太郎とかもそうだけど、子供の時点で大人向けの絵柄のものを読むことになるので、人によっては人生単位で影響を与えられるかもしれない…実家に途中だけあった漫画に…。
以上です。これまで本当に自分の中にしかなかった話を人に話すと照れ臭さもありつつも、うれしいですね。共通点があったり、全然知らない感覚もあったりで…。
こうして…

こうして僕たちは、実家に途中だけあった巻の話をし、それを胸にしまいました。
毎日、新しい娯楽がある今だからこそ…
全然娯楽がなくて、実家に途中だけあった巻すら何度も読み返した
あの時のことを一度思い返してはどうでしょうか。


けん
岡田悠
オモコロ編集部
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