飲み会アートをリアルタイムで鑑賞したい

 

飲み会アートは偶然の産物だ。出会える機会は限られている。

じゃあ飲み会のような状況と材料を用意すれば、じっくりリアルタイムでアートが生まれる瞬間を見られるのではないだろうか。

 

 

※外出自粛開始前の時期に撮影しています

そこでライター仲間の神田氏(手前)、山下ラジ男氏(奥)に声をかけた。

ひとまず下準備として、彼らには1杯100円でめちゃくちゃ酔えるハイボールをたくさん飲んでもらった。

 

 

 

酔って気持ちよくなったところで、映画「ランボー 最後の戦場」を見せる。

ランボーといえば、強くてマッチョで銃火器をつかって敵をめちゃくちゃにやっつけてくれるタフガイだ。

ほろ酔いの2人にめちゃくちゃな戦場を見せつけることで、心身ともにめちゃくちゃになってもらい、豪快なアートを生み出していただきたい。

 

 

テーブルの上に折り紙を置き、準備完了

 

 

映画が始まった。

2人には今回の趣旨として「ランボーに意識を集中しながら折り紙を適当にいじってほしい」と伝えた。 

「なんでそんなことを……?」という質問が返ってきたが、それは無視したい。

 

 

 

 

ランボーを見てうれしそうな山下ラジ男氏。

あっという間に折り紙を縦長に変形させた。

 

 

スクリーンに映るランボーの状況はというと、ジャングルでひっそり暮らしているようだった。小屋のなかで工具を触ったり、なにか作業をしている。

今のところ期待するような派手なシーンはない。

 

 

どうぶつの森みたいな暮らしをするランボーに飽き始めたようだ。

あきらかに折り紙のほうに意識が傾いている。

 

 

 

ランボーのどうぶつの森に動きがあった。悪そうなやつらが登場し、不穏な空気が漂い始めた。

一方、神田氏の作品の進捗はどうだろうか。

 

 

 

折り紙を丸めて細長い棒にしている。 これはどういう感情の表れなのだろうか。

 

 

 

ランボーは緊迫したシーンにさしかかる。息子がやばい。

ここで2人の手元に注目してほしい。折り紙をまるで武器のように握っている。息子のピンチに直面して、2人の心にランボーが宿ったのだ。

 

 

 

ランボーどうぶつの森パートではほとんど手が止まっていたが、いよいよ戦いが始まりそうになると、神田氏の動きも活発になり2枚目の折り紙へ突入。 

 

 

 

ランボーがめちゃくちゃに機関砲を連射して、敵部隊をめちゃくちゃにしているシーン。なんと神田ランボーも参戦している。トコトントン、トコトントン。

私は感動して胸がいっぱいになった。ライブ感がすごい。

もっと見たい。もっと大胆に、心のままにアートを生み出してもらいたい!

 

 

 

 

インド映画「バーフバリ」を見ながら、ねんどをこねてみる

 

つづいての上映は「バーフバリ 王の凱旋」。

 

 

youtu.be

バーフバリといえば、インド映画史上歴代最高興収を達成、日本でもロングランヒットを記録した話題作である。
勧善懲悪のもとムキムキマッチョの主人公が悪いやつらをめちゃくちゃに倒しまくるという内容だ。

 

 

今度はカラーねんどをこねてもらおう。折り紙以上に自由度が高いので楽しみだ。

 

 

 

バーフバリが荒ぶるゾウの頭に大量のカレー粉(?)をかけるシーン。説明が難しいが、そういうシーンがある。

2人ともカレー粉にインスパイアされたのだろうか。黄色いねんどを持っている。

 

 

 

序盤からバーフバリの圧倒的なパワーを見せつけられた山下ラジ男氏はスクリーンに夢中だ。ねんどを伸ばす手が止まらず、手延べうどんのようになっている。

 

 

興奮も手延べも止まらない

 

 

一方、神田氏の作品はこんな感じになっていた。

不規則に積み上げたねんどの曲線がアーティスティックである。

まるで筋肉隆々のバーフバリのボディを思わせるような……そうか、これは最強の王を模した偶像なのかもしれない。

 

 

神田氏の表情は位置的によく確認できないが、きっと恍惚の表情を浮かべているに違いない。彼もまたバーフバリの神がかったパワーに魅せられているのだ。

 

 

 

それを、

 

 

ペシャンコにしたからびっくりしちゃった。

形にとらわれない、そういう自由さがある。 

 

 

 

山下ラジ男氏はどうだろうか。手延べうどんのパートが終わり、転がすパートに突入していた。

細長くのばしたり、丸めたり、形をきれいに整えている。

無意識ながら器用っぷりが作品にきっちり表れていて面白い。

 

 

 

これなんか特に完成度が高い。それにしてもこの配色と形、どこかで見たようなマークだ。

 

 

 

ペプシ……! 飲んでいるコーラから影響を受けてペプシのマークを作ったのか。

彼は胃袋だけでなく意識内にもコーラを取り入れていた。天才かもしれない。

 

 

 

中盤にさしかかり、ねんどから手が離れた。

あまりにバーフバリが面白いため、スクリーンに100%意識が奪われている。

 

 

 

神田氏もねんどから手を離し始めた。

 

 

ねんどをこねるどころか脱力状態だ。まるでバーフバリと戦ったあとの敵である。

 

バーフバリは2時間半ぶっ続けの「世界衝撃映像100連発」みたいなものなので、見ているだけで体力を消耗するのだ。視聴者にもパワーを求められる。
 

 

 

そしたら寝ちゃった

 

 

 

バーフバリを見ながらねんどをこねて寝ちゃった。

 

バーフバリとねんどを同時プレイすると、人はショートしてしまうらしい。

無意識でアートを作り出すには、多少の意識の余裕が必要なようだ。

 

 

 

 

今回つくった作品を見てみよう

 

ぐっすり寝たので復活した山下ラジ男氏。

「このポーズはベジータのピースサインです」とのこと。

 

山下ラジ男氏の作品を振り返ってみよう。

材料をすべて使いきっていないところが良い。普段から工作をしているだけあって材料の使い方が計画的だ。

どれも意味が伝わりやすく、伸ばす、丸める、平たくする、巻き上げるなどテクニックも光っている。

手先が器用な彼らしさが出ているのではないだろうか。

 

 

 

「神田君のベジータのピースサインも見せてほしい」と言ったらやってくれた。「俺もやるんですか?」と戸惑いながらも、とてもよくできていると思う。

 

神田氏の作品を振り返ってみたい。

独特な形のものが多い。ねんどを握った指の形をそのまま残しているようだ。

感覚をそのまま作品に落としこんでいるので、自然物のような雰囲気がある。このまま海底に沈んでそうな。

 

 

無意識でアートを作りあげる様子は見ていてとても楽しかった。

映画の状況によって感情が動き、手が止まったり動きだす瞬間は目が離せなかったし、彼らの意識の在処を想像するのもおもしろい。

完成した作品もそれぞれの個性がはっきりと浮き出ていたと思う。

 

今日の感想を本人たちに聞いてみた。

趣旨はよく理解していなかったが、楽しんでくれたようだ。

映画が盛り上がってきて夢中になると、手を動かすのが難しかったとのこと。

 

 

そんなことを言い合いながら反省会をしていたところ、気がつくと私もねんどをこねていた。そしてお寿司のようなものが出来た。

 

 

 

 私の無意識化には地球の大トロにぎりがあるらしい

 

 

 

地球の大トロにぎりが……