バブル崩壊後、多額の不良債権を抱えた銀行は生き残りを賭け、金の代わりに「チンゲ」を融資し始めた。これはそんな激動の時代に翻弄された一人の銀行員ならぬ陰毛員の物語である…
「チン沢くん、我が陰毛中央銀行・毛阪西支店が、今期の営業目標100億本にあと5億本と迫っているのは知っていますね?」
「存じております。現在全力をあげて、融毛先を精査しているところでありまして…」
「チン沢くん、今期の目標額にあと5億本と迫れたのは、融毛課長の君の働きが大きいと思っています。だからこそあと一息、君のチン毛を貸してもらいたい。今期の営業目標を達成すれば、我が毛阪西支店は名実ともに関西のトップ店舗になります。そうなれば毛員たちの査剃にも大きく響く。だからこそ何としてもあと5億本を融毛せねばならない。違いますか?」
「その通りです、薄野支店長」
「そこで、です。西毛阪粗チンルという会社が、ちょうど5億本の融毛を求めているそうです。チン沢課長、会って話を詰めてきてはもらえませんか?」
「西毛阪粗チンル…」
「陰毛中央銀行のチン沢と申します。支店長の薄野から、ご融毛の話をいただいたと…」
「おう、その件か。まぁどうしてもって言うんなら借りてやってもええけどな。他の銀行さんとの付き合いもあるさかい、それなりの誠意ってもんを見せてくれんとなぁ」
「そうですね。しかし当行はまだ御社の財毛状態も把握しておりませんので、ひとまず前向きに検討させていただく形でよろしいでしょうか?」
「あぁン!? 検討だぁ? アホなこと言うな! どうしても融毛させて欲しい言うたんはそっちやろが! つべこべ言わんと、とっととチンゲ5億本持ってこいや! お前みたいなカタブツ見てると、股間がスースーしてしゃあないわ!」
(股間がスースー…? 妙な表現だな…)
「お前のとこなんかに借りんでもなぁ、こっちはチンゲなんて有り余っとるんじゃ! 剛毛すぎてむしろうかと思っとるぐらいじゃ!」
「はぁ~、かゆいかゆい。ボーボーすぎて股間がかゆいわぁ~」
(あの生え際…さては…)
「チン沢くん! なぜ西毛阪粗チンルへの融毛を決めてこなかったのですか!」
「あの会社、とても有毛企業とは思えません」
「私の見立てでは、東毛社長にはパイパンの疑いがあります。もう少し調べさせてください」
「その必要はありません! 先ほど東毛社長と直接話して、5億本の融毛を進めることにしました。チン沢くん、今すぐ先方から関係書類を受け取り、明日の朝までに稟毛書を提出してください」
「明日の朝…? ちょっと待ってください、さすがに明日の朝というのは…」
「もう時間がありません! この融毛を決めなければ、我が支店は営業毛標を達成できないんです。私が全責任を持ちます!今すぐ融毛を実行してください!」
「……………」
「…わかりました。支店長がそこまでおっしゃられるのなら…。今から5億本を西毛阪粗チンルに融毛しましょう」
ショリ………ショリショリショリ………
ショリショリショリ……
ショリショリ…ショリ…
ショリ…ショリ…
その日、チン沢はすべての陰毛を剃り落とし、チンゲ5億本を用意した。