「ある番組の記録」 (弁当丸)

 

 

 

 

 

数年前、ゴールデンタイムのお茶の間を沸かせ続けた
伝説的TV番組「フクザツなデルモたち」をご存知だろうか?
モデルが自らの欲望をさらけ出し、優勝者には金一封。
ある晩、突然終わりを告げたこの番組の関係者とのコンタクトに成功したので、
残っているフィルムを交えつつ、話を進めたい。

 

 

 

 
パーッパッパッ パッパッパーパーパ ホワッ

 

 

   mayuhige

 

 

はいどうも。こんばんは。
マユヒゲオ(以下、M)です。
フクデル(フクザツなデルモたち)の時間がやってきましたよ、と。
それではサクサクすすめましょうね。

 

 

一番目の方~。

 

 

ok

 

 

M:地底からやってきた伊集院華子(以下、I)さんです~。

 

 

I:ごんぬづわー。伊集院どす。地底の戦闘民族集落からやってきますた。

 

 

M:今日やってきた目的は?

 

 

I:賞金で、人間をたくさん捕まえる檻を作るだよ。

 

 

M:なーるほどですねー。じゃあ、アピールしてもらいましょ!

 

 

アッピールターイム!!!

 

 

ok2

 

 

 

M:お。なんですかその構えは。

 

 

I:威嚇の構えだよ。この構えの良し悪しで位が決まるだ。

 

 

M:大したことないようで、大してますねー。ありがとうございましたー。

 

 

 

 

では、次の方~。

 

 

 

 

M:長野県のTHE シティ(以下、C)さんです~。

C:はじめまして。長野の天然娘、THE シティです!本日はヨロシクね!

M:元気がハツラツしてますね。今日は何で?

 

 

C:ワタシ、こう見えて頭に人が住んでるんです。

M:よくわからないので、ここで・・・

 

 

アッピールターム!!!

 

 

 

 

 

 

M:あらら。ほんとに、人が住んでますね。
  サッカーとかしてますが、観えますかカメラさん?

 

 

C:みんな、ワタシの子供みたいなものなんです。でも・・・

 

 

 

 

          めくれた壁面               おちる人

 

 


C:最近は、肌荒れや、公共事業の手抜きで、みんなが困っているのが分かるの。
   だから、賞金で住みよい頭を作りたいんです!

 

 

M:若いのに、立派ですねー。あとで楽屋に来なさい。ね。おじさんが助けてあげるから。

 

 

<CM>

 

 

ワンワン。
ん?なんですか、この白い犬は。
ワンワン。
うるさいですね!
キャイーン。
どうした。
あ。お父さん。変な犬がまとわりついてくるんです。
そんな犬無視して、ディスコに行くぞ。
はい。お父さん。

ワオ~ン。

 

 

「現実を、見つめよう。」

 

 

AC~

 

 

<CM明け>

 

 

三番目の方は、なんと、あの超有名モデル!

 

 

 

 

 

M:アンモナイト・ガール(以下、A)でーす。

A:ちゃお。片足立ち空気椅子でおなじみのアンモよ。

 

 

M:アンモちゃんは、既にモデルとして世界的に有名だけど、まだ賞金が欲しいの?

 

 

A:ええ。皆も知ってのとおり、ワタシは慈善・・・whjrgっ

 

 

M:あれ?

 

 

 

 

 

 

A:(ううう・・・どっか行けぇどっか行けぇ・・・)

 

 

M:アンモ・・・ちゃん?

 

 

A:チッ!(乗り物の部分が)自我を取り戻し始めたわ!アディオス!

 

 

ダダダッ
M:優勝候補が棄権してしまったので、次を含めて三名での決戦になりますな。

 

 

 

 

それじゃあ、最後の方~!

 

 

 

 

 

 

 

 

K:どうも、かぐや姫です。よろしくお願いしますぅ。

 

 

M:俺が紹介する前に、勝手に話さないでくれるかな。

 

 

K:ご、ごめんなさいぃ。

 

 

M:お前さんは、どうして来たのかな?

 

 

K:地元の友達に、絶対、向いてる、と言われ、まして・・・。

 

 

M:お前さんが?っふふん( B・U・S・U め )。それでは。

 

 

 

 

アピールターイッム!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

M:あ・・・あ・・・・あ・・・

 

 

ピーーーーーーーー

 

 

—————————————————————————————–

 

 

フィルムはここで終わっている。
あの日以降、マユヒゲオはTVの仕事をやめ、モデルへの道を歩み始めた。
トレードマークだった、つながっているマユとヒゲを切り落とし、
誰にも顔を見られないように、大きなかぶりものをするようになった。

 

 

彼はこう語る。

 

 

「あの時代は、皆が浮かれていた。泡の中を泳ぐような、掴みどころの無い日々だった。
 でも、俺はあの番組の最後に、美というものの核心に触れた気がしたんだ。
 幻のような出来事だったが、瞬間的な煌めきは未だ、我が胸の中にある。
 それを皆に伝えるのが、残りの人生の仕事だと。
 そう思えたから、今、俺はここにいる。」

 

 

モデルとして活躍しているマユヒゲオさん

 

 

記者:もう心残りは無いのですか?

 

 

マユ:唯一の心残りは、あの晩の4人、そして俺の5人で競ったら、
   誰が一番人気になったのかな、ということさ。。

 

 

(弁当丸)