はい、強く祈れば興味深いものが現れるカーテンを用意しましたからね。

 せっかく用意したのでね、皆様祈ってくださいね。祈りが足りないと変なものが出てくるかもしれませんからね。

 はい。大きな声で、せーの

 

「「「「興味深いものが見た〜い!!!!」」」」

 

 

 ヌッ

 

「おい」

 

「見ろよ……興味深いものを……」

 

「昔のアメリカのエロ本の広告を……!! 見ろよ!!」

 

 そう言うとカーテンから現れた男は持っていた古めかしい本を机の上に置いた。依然銃口はこちらを向いているが、その手は震えていた。

 たしかに昔のアメリカのエロ本だ。たしかにこれは興味深い。『PHOTO』というのが雑誌名だろう。1964年の8月号であることもわかる。
 1964年、調べてみたところ東京オリンピックの年だ。平成生まれだからあまりピンとこない。このエロ本が売られていたアメリカは当時ベトナム戦争の真っ最中。

 

『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ』とサイズを比較するとこんな感じ。文庫本よりはデカくて地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズよりは小さい。

 

 裏表紙には早速広告が載っている。おそらくお腹をひっこめて体型をいい感じに見せるコルセット的なものだと思う。チンチンのところどうなってるんだこれ。脱ぐのすごい大変そう。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P4~5より

 目次だ。エッチなので一部俺がモザイクをかけている。何が隠されているのかは各自想像してほしい。ジョン・レノンもそう言っていた。

「My Door Is Always Open」がエロいと思う。「Let’s Do It Again」もエロい。この記事では紹介しないけど。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P39より

 ちなみにギリギリ見せてよさそうなレベルでこんな感じの写真が載っている。セクシーだ。見習いたい。他のページの写真は普通におっぱい丸出しだからオモコロブロスでは見せられない。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P2~3より

 表紙を開いたところの広告。いきなりすごいな。右の悲しそうなおじさんに目が吸い寄せられる。頭皮ケアの薬の広告っぽい。なんて悲しそうなおじさんだ。俺も禿げ始めたらこんな顔になると思う。「GROWING OR GOING?」ってコピー良いな。

 左の本はなんだかよくわからないが、性とか愛とかの本……らしい……。調べたら今でもAmazonにあった。Kindle版もある。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P11より

 アメリカ海軍御用達のでっかいナイフの広告。エロ本に載ってるというのがまた味わい深いな。60年代当時の「男性性〜!」って感じがする。エロ本読んでてこれが出てきたら「おっ、アメリカ海軍御用達のナイフじゃん。買おうかな」となるだろうか。案外なるかもしれない。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P25より

 セックスのハウツー本だ!!『THE MODERN SEX MANUAL』すごいタイトル。「Don’t Be Old Fashioned LATEST SEX」すごい売り文句だ。「時代遅れの古臭いセックスをするな」といったところか。オールドファッションって言葉をミスド以外で初めて聞いた。何が書いてあるのかめちゃめちゃ気になる。60年代の最新セックスってどんなだ。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P51より

 レア小銭一覧カタログの広告だ。「何年代のどの硬貨がレアだよ。めっちゃ高く売れるかもね!」という小銭のレア度がわかるカタログを1ドルで売り捌くビジネス、かなり頭がいい。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P63より

 ダイナフレックスメソッドなる方法でムキムキボディを手に入れようという広告。1日10分、重りもバーベルもエクササイズもなし! というのがすごい。そんなわけあるか。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P71より

 スケスケメガネの広告。なんか目の錯覚で手の下に骨が見えるようになるもの……らしい。面白い……。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P77より

 マジの銃の広告かよさすがアメリカだなと思ったけど、よく読んだらモデルガンの広告だった。なんだか安心した。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P81より

 催眠術!! 催眠術の広告ってどうしても怪しいデザインになるんだろうな。あやしくすればするほど催眠術っぽくなるけど、その分胡散臭くなっちゃうから大変そう。

 

 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P109より

 歯のホワイトニングの広告。ホワイトニング前の歯のシミのつき方がちょっと怖い。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P122より

 銃型のライターと銃型のタバコケース、可愛い……。不良少年にバカうけしそう。いや、雑誌の年齢層的にはおじさんがターゲットか。

 


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P130より

 もう一発催眠術の広告。「俺に一晩くれ! 簡単に催眠術をかける方法を教えてやる!」良すぎるキャッチコピーだ。右の自信満々おじさんも良いし、左の絵も良い。

 

 60年代アメリカのエロ本の広告、興味深いぜ……。
 現代でも昔でも、アメリカでも日本でも、エロ本の広告ってあんまり雰囲気変わらないな〜という発見があった。怪しさ満点で眺めているだけでワクワクする。

 それにしてもこの本


 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P113より

 お腹引っ込めベルトの広告が

 
 Tempest Publications, Inc.『PHOTO 1964 Oct.』P123より

 めちゃめちゃ多いな。髪とか腹とか、おっさんの悩み事も今も昔も全然変わってないんだろう。

 

 ありがとう、興味深かったよ。

「なら、いい」

「じゃあ帰るから」

「またね」