皆さんご苦労様です。JETです。

先日は近鉄電車が2日間3,000円で乗り放題になる夢の切符「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で大阪上本町から出発し、近鉄鳥羽線の終着駅である賢島駅でターンして伊勢神宮を歩く、という記事を書きましたが、今回はその続編です。

 

自由の翼

とにかく「近畿日本鉄道、万歳!」「近畿日本鉄道に栄光あれ」との賞賛、勝ち鬨、アンセムを頭の中で流しながら読んでもらえたら少しでも私の興奮が伝わるかと存じます。

2日目の朝、さっそく目指すは『パルケエスパーニャ』です。

 

情熱の国・スペインを体験できるテーマパーク(公式より)

パルケエスパーニャとは、リゾート施設「志摩スペイン村」内に属する、西日本でも10本の指には入ると目される、目しても良いのではないのだろうか、誰も怒ることはまずないだろう、西日本なら。といった規模のテーマパークです。旅自体は6月でしたが、梅雨の合間を縫って天気は快晴。パルケ決めんなら今しかないっしょと、前日に引き続きフリーきっぷで近鉄鳥羽線に飛び乗りました。

 

鵜方駅内。謎の2体と写真が撮れる

 

パルケエスパーニャ(志摩スペイン村)の最寄り駅は近鉄鳥羽線の「鵜方(うがた)」になります。通常であればここから路線バスないしはタクシーに乗り換えるところですが、なんとしても私は3,000円のフリーきっぷ以外に移動費を支出したくなく、天気も良かったこともあり徒歩で鵜方駅からパルケに向かうと決めました。地図上で確認すれば、県道に沿って歩いて5.2km。行けるでしょう。

 

鵜方駅前ロータリー。ここから5.2km歩くんですがすでに「ようこそ」

 

ひたすら歩きます。当然の如く、パル目(パルケエスパーニャ目的)で野面を下げてとぼとぼ歩いている人間、というか「人間」そのものがほぼ周りにいません。容赦なく照りつける太陽。徒歩で目指す想定で県道が整備されていないようで、右肩の数十センチ横をトラックやバスがびゅんびゅん通る。大きめのリュックサックを背負っていたのでナチュラルに死の危険を抱きました。熱中症のおそれもありますし、この記事を読んだ読者の皆様は鵜方から徒歩でパルケエスパーニャを目指すのは控えてください。先に書いてしまいますが、帰り道はバスに乗りました。なるべく死を避けたいから。

 

パルケエスパーニャまで伸びる「パ〜ルロ〜ド」。倒れれば死あるのみ

頭がぼうっとしつつも1時間ほど歩いてようやくパルケエスパーニャに到着。勇ましいドン・キホーテとサンチョパンサの銅像、広場にうっすら鳴り響くジプシー・キングスの『ボラーレ』。

普通は車で来るから「正門の画像」ってあんまりないと思う

 

ガチドンキ、ガチサンチョ、ガチロシナンテ

そして入園するやいなや出迎えてくれた、総合インフォメーションセンター看板の馴染みのない面々。夢みたい。私は膝から崩れ落ちそうになるのをぐっと堪えながら、園内を回ってみることにしました。平日、成人男性1名。待ってろパルケ。

 

やあ。君たちは一体?

 

正面の大広場でショーが始まりました。インフォメーションセンター看板に君臨していた彼らではなく、素顔の俳優さんたちによる宝探しショーです。お客さんは修学旅行中と見受けられる小学生のちびっ子たちがほとんどでしたが、一部の熱量の高い”マグニフィコ・パルキスタ”とみられる方々が、キャラクターのカチューシャ(ディズニーランドでいうところのミッキー耳のような)を装着し、最前列で演者さんに声援を送っておられました。どこの世界にも本物は存在します。

夢と希望のショー

 

散々歩いてお昼も過ぎて、空腹を満たすべくお店を探しました。せっかくだからパエリア食うたろか、と勇んだのですが、そもそも定休日だったり、2人前からの提供だったりとパエリアを気軽に食べられるお店が見つからず。パエリアって単身で黙々と食べるものじゃないんだ。牛丼みたいに。確かに松屋でパエリアってないもんね。と肩を落としながらなんとか見つけたカフェで照り焼きチキンのコッペパンを購入。噛み締めて食べました。甘辛くっておいしいね。

 

マヨネーズと照り焼きソースって、鶏肉と合いますね

 

設定資料集?

 

この辺りで改めて、「あんまり成人男性が平日に1名で訪れる場所じゃないな」と感じ始めます。分かりきっていたことでしたが、炎天の下、ちびっ子たちに囲まれて「場を乱してはならない」との意識に駆られ出しました。ジェットコースター『ピレネー』にも乗りたいけれど、ちびっこ、ちびっこ、じじい、ちびっこの布陣はなかなか申し訳ないものがあります。所在なく木陰で佇んでいると、陽気な音楽が近づいてきました。パレードが始まった模様です。

 

圧巻のパレード

遮るものや人がほぼなく、被り付きでパレードを堪能できました。こんなイレギュラーな私にもエンターテイメントを提供してくれるなんて。パルケエスパーニャ万歳、ひいては運営元の近畿日本鉄道万歳、グラシアス、ビバスペイン、と高らかに叫び、お土産のマグネットを買いパルケを後にしました。先述しましたが帰りはバスです。片道450円で命を守れるならば安い。

お土産のパルケ・マグネット。気温も測れる

 

あっという間に鵜方駅まで戻りまして、続いての目的地は近鉄鳥羽駅、『鳥羽水族館』です。休んでいる暇はありません。フリーきっぷで何度目かもうわからない近鉄鳥羽線へ乗車。30分強ほどかかりました。

 

前回の賢島駅に引き続き、またもミジュマル!一番好きな水ポケモンです

 

鳥羽駅周辺は市場もありとても栄えていて、夏の日差しがよく似合う素晴らしい景観でした。今回は訪れませんでしたが、世界の御木本真珠のお膝元『ミキモト真珠島』へのアクセスもできます。スケジュールの兼ね合いでパルケを駆け抜けざるを得なかったのが残念ですが、2日間のフリーきっぷがあれば鳥羽線だけでまるまる遊び尽くせます。

 

青空に輝く「T」

 

鳥羽水族館は珍しく「順路のない水族館」との触れ込みで、どの水槽から回っても自由。これ以上自由を与えられても持て余してしまいそうですが、ともかく私は無類の水族館好きで、学生の頃から巨大な水槽の前で無為な時間を過ごすのに幸せを感じる人間でして、「自由」と「魚介」を与えられればあとは特になにも必要がありません。そんな私にとって鳥羽水族館はまさに天国のような場所でした。

 

スナメリがしなってる水族館は信用できる

 

胴体のコアを狙えば倒せそうなタカアシガニ

 

 

特筆すべきは、こちらのラッコの餌やりでしょうか。鳥羽水族館の目玉のひとつで、飼育員さんがスナップを利かせて投げてアクリル板に貼り着いたイカの切り身を、泳いで向かってきたラッコが水中から飛び出してキャッチするのです。私は何度か繰り返される一連の息の合った流れを眺めていて「地球にこんな可愛い生き物って存在するのか」と感動にうちひちしがられました。以前、名古屋港水族館で見たシャチやアクアマリンふくしまで見たエトピリカも相当感動しましたが、匹敵する愛くるしさに我を忘れて20分ほど水槽でラッコの自由な振る舞いを見守りました。鳥羽水族館万歳。

 

なんてかしこいんだろう。絶対に真似できない

 

アシカのショーもばっちり楽しんでいると、あっという間に閉館時間となってしまいました。最後の目的地は「近鉄松阪駅」、ずばり松阪牛を焼き、食うぜ、というのがゴールです。事前に、三重県出身のフォロワーの方より「近鉄松阪駅の近くに、コンベアに乗せられた牛肉が回転している”回転焼肉”の店が存在する」との耳寄り情報を入手していました。魚介類を回していいんだったら畜産物だって問題ないでしょう。しかも松阪牛。これは絶対に行くべきでしょう。

 

公式より。肉が回っていやがる

 

近鉄松阪駅駅舎。裏はJR松阪駅。小津安二郎のゆかりの地でもあるようです

 

近鉄松阪駅に着きました。夕方になっていました。回転焼肉『一升びん』さんは駅から徒歩15分ほど。この日の食事はパルケで食べたコッペパン1ヶのみ。まるまる1日歩き続けた私はもう体力の限界に近づいていますが、最後の力を振り絞りゴールへと足を伸ばしました。もうひと踏ん張りで、回転する肉を焼いて食える。このために腹を空かせてきたんだ。

 

お肉が待っている

 

堂々とそびえるオレンジの看板。でかい。ここも歩いて訪れるタイプの飲食店ではない。限りない空腹。欲望だけで動く獣に成り果てながらも、ドアを開けました。

店員さん「すみません、コンベアが故障中でして、通常の座敷になりますがよろしいでしょうか」

コンベアが、動いていませんでした。

残念ながら「通常焼肉」あるいは「停止焼肉」のみの提供中でした。

しかし、食べられるのはまごうことなき「松阪牛」です。ここまではるばる来て引き返すわけもなく、私はお座敷の席でぽつねんと焼肉を食べることにしました。今考えれば、大人なのだから「確認」や「リスクヘッジ」などをすべきだったかもしれませんが、そんなことが出来ているようなら私だって車とかマンションとか持ってます。

 

火の神「アグニ」

 

網の上で炎を纏った松阪牛のホルモン。まるで踊っているようです。回転してしまっていると表現しても差し支えないでしょう。それからロース。倒れるほど美味しかったです。座布団と尻が融けてひとつに混ざるくらい、身体感覚が失われていくのを感じました。そうか、これが回転焼肉か。芯まで揺らぎながら私は「松阪牛万歳」と喝采をあげ、命を落としました。

 

西陽に照らされる上ロース

 

息を吹き返すと、私は「フリーきっぷ」に残された権利の猶予を駆使し、三重県に訪れた時と逆のルートをなぞって大阪上本町に帰還しました。行きの電車では「知らない駅名、楽しい嬉しい」状態だったのですが、帰りは「これマジで家着くのか?」と不安になったため、帰り道は特急を利用したほうがよいかもしれません。ともかく、3,000円とバス代450円で私は近畿日本鉄道を満喫したのでした。近畿日本鉄道、万歳!!

 

最後まで満喫しました。近畿日本鉄道に栄光あれ

 

〜お知らせ〜

前回の記事でも最後にお伝えしたとおり、『近鉄2日間全線フリーきっぷ』が現在発売中です。(利用は9月30日まで)

詳細:

https://www.kintetsu.co.jp/senden/Railway/Ticket/kintetsu2days/

近鉄に乗りまくるもよし、今回紹介したスポットを目指すもよし。本当におすすめですので是非お買い求めください。