みなさんご苦労様です。JETです。

6月の話になってしまうのですが、三重県を旅してきました。個人的に、まともに三重県を訪れた経験がなく気になっていたのもあったのですが、大きなきっかけとなったのが、近畿日本鉄道(近鉄)株式会社から、近鉄全線が2日間、3,000円で乗り放題(特急は別料金)になる「近鉄全線2日間フリーきっぷ」を発売するという情報が入ったからです。

 

近鉄の路線図です。拡大していただければわかりやすいかと思いますが、西は神戸三宮、東は三重県一帯から名古屋、北は京都、南は奈良吉野と、近畿・東海エリアをあらかた網羅しているのです。こちらの日本最大の私鉄鉄道網が、なんと3,000円で乗り放題。近畿日本鉄道万歳。興奮するに決まってます。この機会を逃す手はありません。私は、せっかくなので特急を使わず、3,000円きっかりで近鉄を堪能することしました。せっかく入手した権利は行使しまくらないと勿体ありません。

 

燦然と輝く「2日間全線フリー」の文字

 

私は、気合を入れて朝7時に大阪上本町駅に到着しました。昼の11時ごろに最初の目的地である『賢島駅』に到着するスケジュールです。三重県志摩半島、近鉄路線図の最も東南に位置する賢島駅。私は普段から路線図を眺めながら、賢島駅を地球の隅っこのように感じていたのですが、ついに足を踏み入れるチャンスが訪れたのです。このスケール感、伝わっていますか。

本来、「ひのとり」「アーバンライナー」といった特急を利用すれば2時間半ほどで賢島まで到着するところ、今回はフリーきっぷのみを使用し、途中『伊勢中川駅』で鳥羽線に乗り換えますので計4時間弱の乗車時間となります。私は足取りも軽く、近鉄大阪線:伊勢中川行きに乗車しました。いよいよ旅の始まりです。

 

名古屋と賢島の分岐点

さて早速ですが伊勢中川駅です。一旦降りて外観を記念撮影しちゃっていい。何故なら「フリー」だから。ここまで来るのに2時間。結構かかっています。今まで路線図だけでその名を目にしてきた『大和朝倉』『伊賀神戸』といった渋い駅に停車するたびに感慨深いものがありました。

 

“Don’t look back in anger”
I heard you say

伊勢中川駅周辺では「おあしす運動」に取り組まれていました。私だってふと運動に参加したっていい。何故なら「フリー」だから。

 

穴川駅車窓

と、いうわけで伊勢中川駅から鳥羽線に乗り換えて、ゆったりと賢島を目指します。本来、特急「伊勢志摩ライナー」に乗れば1時間少しですが、今回は急行ですのでここからまた1時間40分ほど要します。途中、鳥羽水族館や志摩スペイン村など、魅力的な観光施設が点在していますが、本日は脇目も振らずダイレクトに賢島を目指します。あの夢の路線図の先端へ。

 

湾に出るまでけっこう時間がかかる

電車は山間を通り、いよいよ志摩市に入ります。特急停車駅以外は、本当に地元住民の生活のための駅、という雰囲気です。

 

近畿日本鉄道万歳

時刻は11時過ぎ。朝一番で大阪を出発し、ようやく念願の駅に到達しました。達成感と高揚に包まれ、疲労感はありませんでした。ラッコポケモン『ミジュマル』がお出迎え。真珠や牡蠣の養殖といった水産資源で発展を遂げた三重県をPRするために、2021年からコラボをしているようです。おそらく、鳥羽水族館の目玉であるラッコにもかかっているのだと思われます。

 

広大な路線図の右隅に赤く輝く
「当駅」の文字!達成感があります

 

謎の計算式

 

ふと思ったけど
真珠のポケモンてパルシェンじゃない?

駅構内は右も左もミジュマル。ポケモンがいかに国内の観光産業に寄与しているかがわかります。任天堂万歳

 

真珠店が並びます

 

喫茶店と真珠店の二刀流

 

洗濯洗剤「ブルーダイヤ」の
「金銀パールプレゼント♫」のCMって
いつ終わったんだろう

 

駅舎を出ると、真珠店がずらっと並んでいます。鳥羽・志摩が真珠の養殖で栄えたことは先ほど記しましたが、東海地域有数のリゾート地でもあって、今よりも日本の景気が良かったころはおじさんたちが海の見えるホテルに泊まり、ゴルフやって伊勢海老焼いて女性に真珠を買い与えてガハハと豪遊していたのだろうと想像に難くありません。おじさんに体力と財力のあった日本を取り戻したいですね。何を言っているのでしょうか。

 

2つ並ぶ遊覧船乗り場

「賢島に来る」が目的だったのでさてどうしようかな、とうろついていると、遊覧船乗り場に辿り着きました。しかも並んで2つ。様子を伺っていると、チケット売り場のおじさんが「もうすぐ船が出ますよ」と声をかけてくれました。尋ねると、片方が大型遊覧船「エスペランサ」で巡る『賢島エスパーニャクルーズ』で、おじさんのほうは小型船で英虞湾の隅々まで入り込める『英虞湾島めぐり』でした。こちらのほうが地味ですけど、同じ料金で時間をかけて細かいところまで見られるからおトクですよ。との勧めがあり、なるべく損をしたくない私はおじさんの勧めに乗っかり、遊覧船への乗船を決めました。

私を含め乗客は7、8人程度。午後から天気が崩れる予報でしたので、陽が出ているギリギリの時間帯で乗船でき運が良かったです。船頭さんのT&CサーフクラブのTシャツがよく似合っていました。海の男が着るT&Cがここまで様になるとは。

 

我々の乗る遊覧船

 

エスペランサ号はクルーズ中、
島の真珠販売所に停まりお土産が買えるようです

船頭さんの軽快なアナウンスと共に、船はゆっくりと英虞湾を回ります。だいぶ規模は小さくなったようですが、真珠や牡蠣、海苔の養殖棚や、伊勢鳥羽志摩に莫大な財産をもたらした世界のミキモト真珠の養殖場、島唯一の居住区などが紹介されました。まさか朝イチで家を出た時には海上に放り出されているとは思いませんでしたが、潮風が心地よいです。

 

船窓から覗く世界のミキモト養殖場

 

賢島近辺の宿はほとんどリゾートホテルで高額なのですが、
こちらの石山荘さんは民宿でリーズナブルとの船頭さん情報

 

英虞湾に浮かぶ男

 

かつて立派な一本松が生えていたのですが、
残念ながら台風によって流されてしまい
「侘び」だけが残った小島

遊覧船のあとは腹ごしらえです。伊勢方面にもどる電車のスケジュール上、あまり吟味している余裕がなく、ひとまず駅近のこちら「翔」さんへ。せっかくなので郷土料理である『伊勢うどん』『てこね寿司』のセットを注文。

 

賢島駅横スグ「翔」さん

ケンミンショーで予習していた通り、伊勢うどんは歯応えがなくふにゃふにゃとしているのですがそれがかえってタレと絡んでクセになるおいしさ。てこね寿司はカツオの刺身をヅケにして、酢飯に散らしたもの。茗荷がアクセントになっておいしかったです。

 

伊勢うどんとてこね寿司の定食

 

「サミ定」は7年前を最後に提供なし

店外に貼られていた「賢島サミット定食」が気になり店員さんに詳細を聞いてみたのですが、「サミットが終わってからは提供していない」とのことでした。ちなみに、G7伊勢志摩サミットは2016年開催です。

 

近鉄9000系万歳

さて近鉄に再乗車し、Uターンして伊勢市駅を目指します。次の目的地は『伊勢神宮』です。いくら乗ってもふところが痛まない。なぜなら私は「フリー」だから。

 

裏の立派なJR伊勢市駅にくらべ、
若干控えめな近鉄伊勢市駅駅舎

伊勢市駅につきました。伊勢神宮は「外宮」「内宮」にわかれていて、それぞれで御朱印が頂けます。まずは駅からほど近い「外宮」へ。平日かつ小雨がしとしと降っていることもあり、参拝客はさほど多くなく厳かな空気を全身満遍なく浴びることができました。

 

人間がいなくて素晴らしい

 

「土宮(つちのみや)」正面

 

正宮「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」
中での撮影は禁止

外宮の御朱印を無事頂いたのちに内宮を目指すのですが、地図によると内宮まではけっこう距離があり、「内宮まで3.9km」の碑がバッチリ建っています。マイカーで来たならマイカーで、あるいはタクシー、ないしはバスで目指す距離感かとは思いますが、こちらはフリー切符の3,000円以外交通費にびた一文払いたくない気概で来ておりますので、雨も降ってはおりますが「歩」を選択しました。

 

雨の中、北へ歩くことを選択

 

碑の裏側には「御木本道路」の文字。
ミキモト万歳

外宮〜内宮間の道路は案外普通のバイパスで、お土産屋さんもほとんどありませんでした。時間と健康を持て余している方以外はバスに乗るのをおすすめします。道中目を引いたのは、兜のような形をしたモニュメント。御木本製薬50周年を記念して建てられたもの。御木本さんは真珠産業から転じて、医薬品やコスメなどの生産にも着手していたようです。ミキモト万歳

 

ミキモトモニュメント

ようやく内宮に到着、疲労困憊です。内宮の参道は、食べ歩きができるお店やお土産屋が豊富な「おかげ横丁」があり風情もある良き観光スポットになっています。意地を張って歩いてしまった結果、着いた時間が夕方ごろで急いで参拝しないといけなかったのでお店をじっくりめぐれなかったのが後悔です。皆様はぜひバスやタクシーを利用してお越しください。

 

内宮への参道

 

おかげ横丁。
どこかで休んでうどん一杯食べたい

 

激シブ郵便局

 

山口誓子俳句館・徳力富吉郎版画館

おかげ横丁でおすすめなのが「山口誓子俳句館・徳力富吉郎版画館」です。伊勢にゆかりのある2人の作品が展示されているのですが、特に山口誓子俳句館の、歳時記コーナーや代表作の展示の演出が凝っていて、ゆったり1人で観て回るのに最適でした。毎月俳句の賞レースも開いているようですので腕試しもできます。しかも入場無料。

 

左が伊勢神宮外宮御朱印、右が橿原神宮御朱印

 

右が伊勢神宮内宮御朱印、左が伏見稲荷大社御朱印

外宮・内宮の御朱印がこちら。見開きで捺してもらえばよかったのですが御朱印帳のスペースをけちって無関係な奈良県・柏原神宮、京都・伏見稲荷大社のものと一緒に。柏原神宮もだいぶシンプルな御朱印ですが、神宮系はこういったデザインが主流なのでしょうか。詳しい方教えて頂けますと幸いです。

 

人間がいなくて素晴らしい

 

正宮「皇大神宮(こうたいじんぐう)」

内宮の参拝を終えて、翻って再び伊勢市駅方面に歩きます。帰りは途中にある「五十鈴川駅」を目指して近鉄を利用することにしました。なぜなら私は「フリー」の権限を持つ者だから。ただ、五十鈴川駅までも存外遠く、軽く涙を流しながらとぼとぼと歩きました。

 

五十鈴川駅の妙に威圧感のある灰色の門

五十鈴川駅の明かりが見えてきました。かなり歩き疲れました。近畿日本鉄道万歳。

伊勢市駅に戻り、勘で選んだ近くの居酒屋で飲むことに。20時過ぎに着いたのですが、ベロベロに酔っているおじさん2人組が。伊勢神宮の最寄りでよくベロベロになれたものと思いますが、片方のおじさんが矢継ぎ早にしゃっくりしながら「鳥羽水族館の水槽のデカさは半端じゃない。他の水族館で満足できなくなる」と喚いており、ベロベロになりながらも賞賛できるほどすごい水族館て何。ていうか、ベロベロになって水族館の話する?

 

かつおの刺身。太平洋側の夏はかつおがうまい

 

伊勢志摩名物
「さめたれ(サメの切身を干して炙ったもの)」と
ご当地サイダー「桑名スマックゴールド」の焼酎割り。
三重県万歳

そうだ、明日は鳥羽水族館に行ってみよう。もう一度近鉄鳥羽線に乗って。何故なら私は「フリー」だから。期待を昂らせながら、伊勢市駅裏のビジネスホテルで一泊しました。

次回『パルケエスパーニャ万歳、鳥羽水族館万歳、松阪牛万歳、近畿日本鉄道万歳』編にご期待ください。

 

〜お知らせ〜

 

近畿日本鉄道様より、2023年8月8日〜2023年9月28日の間、『近鉄全線2日間フリーきっぷ』が再販売されることとなりました。(有効期間は2023年9月1日〜9月30日まで)皆さんも是非、丸2日近鉄電車に乗りまくり「近畿日本鉄道万歳」と叫んでみてください。

↓詳細は、近畿日本鉄道HPをご参照ください

https://www.kintetsu.co.jp/senden/Railway/Ticket/kintetsu2days/