うわー!ドーモー!ファミコンと同い年、リックェです。
僕の好きなゲームメーカーのひとつ、それが株式会社アートディンク。
86年設立の老舗で、有名どころでは A列車で行こう、ルナティックドーン、アクアノートの休日、太陽のしっぽ、Neo ATLAS、などなどシミュレーション多めの渋いラインナップが魅力です。
さて、そのアートディンクのゲームで外せないのが、カルネージハートシリーズ(以下、カルネジ)。ざくっというと無人の戦闘ロボを組み立てて戦わせるシミューレションゲームですね。
で、これがまあ奥が深い! で、間口が狭い!
第1作は95年のPSソフト「カルネージハート」。以降6作品がでています。
今、プレイするなら、2010年発売のPSP「カルネージハートエクサ」をオススメします。
それではカルネジの魅力を語らせてください!
ロボゲーのよさはセットアップだ
突然ですが、ロボゲーのよさってなんでしょうか?
アーマードコア、
フロントミッション、
ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット….
共通して言えるのは、ロボットのセットアップが楽しいってことですね。カルネジも、自分で作ったロボットを敵と戦わせるタイプの正統派なロボゲーです。そして、カルネジの醍醐味もやっぱりセットアップ。
ボディは防御重視のこれ!武器はかっこいいライフルの一択!とパーツをガションガション選んで自分好みのロボットを作ること。楽しいですよね。
もちろん、カルネジのセットアップも楽しいですよ!でもカルネジのセットアップはひと味ちがうんです。それは、ロボットの思考も組み立てるのところ。ロボゲー数あれど思考のセットアップまでできるゲームはカルネジを除いて他にありますまい。
思考のセットアップって何?
カルネジのロボは自律型。なのでプレイヤーがロボを操縦したり、選択肢を選んで操作することは基本的にはないゲームです。要は戦闘始まったらロボットがプログラムにそって全自動で動くってこと。このプログラムは戦闘前にプレイヤーがロボットの思考としてあらかじめ組み込んでおくんです。
カルネジでは、このプログラムこそがセットアップの肝。比喩でも何でもなくてプログラムなしではどんな高機能なロボでもただの鉄の箱。戦闘終了まで棒立ちです。どんなに恐ろしい武器をもっても、ロボットを操りたかったらプログラムから離れて生きていくことはできないのよ!
「プログラミングなんて難しそう…」
安心してください!本当のプログラミングのようにコードを書いたりする必要はなくて、「70m前進」とか「敵に弾を発射」とか書かれたチップを並べていくだけの親切設計です。
条件分岐もできます。たとえば残弾数チップを条件判断に使って残弾あるなら射撃、ないなら殴るみたいな、クレバーなロボに仕立てていきます。
こうやって、状況に応じて、弾を避け、追撃をし、味方機に指示を出せる、全自動の戦闘ロボに、ちょっとずつ改造していくってわけですよ。どう?ワクワクするでしょ?
カンタンなわけではない
チップをおくだけなら赤子の手を末代までひねるようなイージーゲームですよ。そう思って手始めに、ロボを右から敵の背後に回りこんで、マシンガンを撃ちこむようにセットアップ。
初陣を華々しく勝利で飾ろうぞ。
消滅。
虚空に全弾撃ち尽くしたあげく、右に走り出して壁にひっかかってたからね。ねえ、コレすげえ難しいよ…。カルネジは、いつだって手厳しい洗礼を多くのビギナーに浴びせてきたのです。
パネルを置くだけになったからといって、プログラム自体がカンタンになったわけはないのです。それでコントローラー投げた人もいっぱいいた。消えない十字架背負った人もいた。
それでもチップを置くことがすごい発明だと思う
はっきりいって玄人好みだし、満足にロボが動かせるまで試行錯誤が必要でゲームです。それまでは、何度も負けるというか、そもそもまともに戦闘にならない。おい!避けろ避けろ!(壁を)
じゃあクソゲーなのかっていうと、絶対そんなことはなくて、アートディンクの人達はていねいに考えたんだと思うんですよ。プログラムしたロボを対戦させるってアイデアは( IBMのRobocodeとか )あったけど、これはマジにコーディング(キーボード打ってのプログラミング)なのでプログラマーしかできない高難易度の「ペログリゲロシャブ超絶玄人好み」の遊びだったんですよね。
Robocode。コーディングして最強のロボを目指す。
このカルネジのチップを置くことで思考を組むっていう仕組みは、この「ペログリ超絶玄人好み」を「玄人好み」の域まで落とし込んだ発明だと思うんです。だって、これマジのプログラミングをするなら、もうゲームとは呼べないじゃないですか。
呼べないけど「思考を組み込み戦うロボゲー」ってうコンセプトなら、そういうペログリな開発案も通っちゃう可能性もあったと思うんですよ。だってもともとそれくらい玄人好みのコンセプトだし。そこを振り切らなかったことがすごいと思うんですよね。さすがアートディンク!
可能性感じてアガる
長くなっちゃったけど、最後にもう1エピソードだけ!!
ロボゲーにかぎらないけど、多くのゲームで、最強装備の組み合わせってある程度決まってきちゃうじゃないですか。たとえば、同じくロボゲーにフロントミッションってシリーズがあるんですが、自由なセットアップが売りのはずが、後半、激化していく戦闘に合わせてセットアップしていくと使えるパーツは自ずと収束してしまう。好きなのにそれだけが残念で残念で。
カエルみたいなやつか冷蔵庫みたいなやつに収束する
その点カルネジはいいのよ。個々の装備のステータスよりセットアップ至上主義だから進化の余地がある。どんなやり方だって勝てる道はきっとある。だって、やりこんだ人のセットアップって本当にマニアックなんですよ?
マニアック過ぎて何言ってるかわからないと思うので、話半分で聞いてもらえればいいんですが、
レーダー使えない環境で味方機の視野と自機の距離から「三角測量」して敵の位置をわりだすとか、ジャンプの時間と「重力加速度」からジャンプ着地を予測して射撃とか、手製の物理演算エンジン組み込んでたりするんですよ。エゲつないほど遊びつくしてる。
そこまでせんでも勝てるのに一種の美学ですよ。開発者の想定を上回ってくる遊び方。自分にはそんな高度なことできないけど、やり込みの深さから可能性の広さ感じて高揚(アガ)りませんか?
以上、カルネージハートの紹介でした。
僕もひさしぶりにやろうっと。ありがとうアートディンク!