昨年大ヒットした『ベイビー・ドライバー』のディスクレンタルが解禁されてもうしばらくになります。
劇場で見逃したという方ももうレンタルではご覧になりましたか?
主人公はシャイで内気な少年ベイビー。その見た目からは意外なことに本業は「逃がし屋」。強盗チームのドライバーです。音楽を聴くことで天才的な運転テクニックを開花させることが出来るという設定。
車キュルキュルキュル!映像ちゃきちゃきちゃき!色恋沙汰ドキドキドキ!!
――息で紹介すればざっとこんな感じ。
圧巻のカーアクションとヒロインとの恋模様に胸躍るエンターテイメントです。
です。
です……
です……が……!
ご覧になった方は分かってくれると思いますが「後半のぶっ飛び具合、どういうこと?!」となりませんでした?
エドガー・ライトのことを知らないと、この暴れっぷりには中々付き合いきれないでしょう。ちゃぶ台返しかよ……みたいな破天荒ぶり。でも過去の作品を見ている僕らからすると納得です。むしろ当然です。
「エドガー・ライトなんだから仕方ないよね~うんうん」という一言に尽きます。むしろよく終盤まで我慢したよね、と何故か母親のような気持ちにすら。
さて、そんなわけで今回はエドガー・ライト監督の過去作品をざっと紹介していきます。
①『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010)
邦題からしていかにもなB級感。日本の配給がふざけてるだけじゃないの? そう思って原題を確認すると ”Scott Pilgrim vs. the World” でした。はい。あまり大差ないです。
あらすじをwikipediaで確認するとこんな感じ。
舞台はカナダのトロント。売れないバンド”セックス・ボブオム”のベーシスト、22歳のスコット・ピルグリムは、中国系の女子高校生ナイブスと付き合いはじめた。だがある日、ニューヨークから引っ越してきたラモーナという女の子にひと目ぼれし、彼女とも付き合うことになる。その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの邪悪な元カレ、マシュー・パテルと戦うことになる。パテルを倒したスコットはラモーナから、自分と付き合うためには7人の邪悪な元カレ軍団と戦わなければならないと告げられる。(wikipediaより引用)
??!!
「その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの邪悪な元カレ、マシュー・パテルと戦うことになる」って?
「その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの邪悪な元カレ、マシュー・パテルと戦うことになる」のかよ!!
「パテルを倒したスコットは」っていやいや。邪悪な元カレ、マシューを倒すのかよ!
そんでもって「7人の邪悪な元カレ軍団と戦わなければならない」のかよ!
いや「7人の邪悪な元カレ軍団」ってなに?!
ちなみにフィルマークスで『ベイビー・ドライバー』の視聴済みが約3万件に対して、この映画の視聴済みは約4500件。
②『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)
知る人ぞ知る映画といった感じですね。実は日本では劇場未公開作品。フィルマークスの視聴済みは約1万5000件。邪悪な元カレ軍団よりは知名度あるみたいですね。
ざっくり言うと怖くないゾンビ映画。
クイーンの「Don’t Stop Me Now」にあわせてゾンビをぶっ叩くシーンとかあって最高です。いや文字で書くとカンタンですけど、クイーンの音楽に合わせてテンポよくゾンビ叩こうって思いつくことあります?
あと補足するとこのシーン、ゾンビ退治の毛ほども役に立ちません。ほぼ焼け石に水状態。超絶ナンセンスです。
時折シリアスで痺れる場面もありますが、それはそれで見入ってしまう映画。
③『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
オッサン5人がハシゴして酒を飲むだけの映画です。
いや実際はそんなことないんですけど、周りにエイリアンが紛れていて……なんてゴタゴタがあったりしますが、やっぱり終始酒を飲んでいます。
中年がちょっとだけ格好良くビールを喉に流し込んでいる映画。それだけです。
さらっと書きましたが、エイリアン騒ぎがあります。でも本当にこれくらいの感覚でエイリアンがカットインしてきますからこれから初めて見る人は気を付けてくださいね。
④『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』
さっきから邦題がふざけていますが、まあこれだけのもの見せられたら配給もふざけたくなっちゃうのかもしれない。
超絶敏腕な刑事が有能過ぎて田舎町に左遷されてしまいその先で……というお話。
どのあたりがぶっ飛んでいるかこればっかりは重大なネタバレになってしまうので書けないんですけれど、とにかくハイな映画です。
主人公のエンジェルが深夜に飲酒運転で逮捕した相手が翌朝警察の格好をして現れる、とかベタなようでベタじゃない、ちょっとベタな冒頭から話が展開していきます。
「遅刻遅刻~、ちょっと!どこ見て歩いてんのよ!」
「ああ~!お前はあんときの!!」
みたいな感じ。
どれもぶっ飛んでいておもしろい
上に挙げた作品はどれも音楽や映像は本当に『ベイビー・ドライバー』よろしくスタイリッシュなんですけど、スタイリッシュの無駄遣いみたいな箇所も多くて痺れます。
ベイビー・ドライバーは洒落たスタイリッシュな映画ですけど、エドガー・ライト監督にはこうした過去があったんですね。高校デビューみたいな感じかな? 映画は格好いいですが、なんかかわいいですね。
昨年末あたりからは『ベイビー・ドライバー』の続編の噂も。これからもこのかわいいオッサン(今年の4月で44歳!)を見守っていきたいですね。