ブロス編集部です。

オモコロで活躍しているライターの中には、インターネットの枠を飛び越えて書籍を発売している人たちもいます。

「本を出した人なら、きっといい本を知っているに違いない」という曖昧な動機で、彼らに「最近読んで良かった本」を聞いてみました。

気になったらチェックしてみてください!読んだことがあったら、その都度「読んだことある!」と声に出してみてください。

 

岡田悠が最近読んで良かった本

汚れた手をそこで拭かない (文春文庫 あ 90-2)

汚れた手をそこで吹かない(芦沢央)

【オススメ人:岡田悠】


すごい嫌な短編小説が5作収録された本。嫌さが癖になります。

小学校のプールの水を出しっぱなしにしちゃって誤魔化そうとする教師や、成功した自分を見せつけるため元不倫相手に金を貸してしまった料理研究家。あくまで日常の延長線上の、小さな見栄や怠慢から始まったトラブルだったはずが、気づけば戻ってこられない深みまで引きずり込まれてしまっている。大きな事件やドラマが起きないからこそ、「自分にもいつ同じような災難が降りかかってもおかしくない」という恐怖を覚えます。

特に好きな章は、アパートの隣人が熱中症で亡くなってしまう「忘却」。実は隣人宛ての電気代の督促状が主人公の家に誤配されていて、認知症気味の妻がそれを渡し忘れていたから電気を止められたのかも……というヒリヒリした罪悪感の走るストーリーなのですが、最後にもう一段階ギアを上げた嫌さが待ってます。嫌になりたい時におすすめ。

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加味條が最近読んで良かった本

名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件(白井智之)

【オススメ人:加味條】


ミステリーといえば、雪に閉ざされた山荘や、絶海の孤島の屋敷で連続殺人が起きるイメージを抱くかもしれません。

しかし現在では、いかに斬新で魅力的な舞台・状況設定で事件を起こすかをミステリー作家は競い合っており、「敵の大軍に囲まれた戦国時代の城で起こる殺人事件」を扱った『黒牢城』や、「×××(自主規制)に囲まれた屋敷で起こる連続殺人」を描く『屍人荘の殺人』など、奇想の光る作品が次々と生まれています。

ここで紹介したい『名探偵のいけにえ』も、奇抜な舞台設定に驚かされる作品です。

「人民寺院事件」をご存知でしょうか? 1978年、南米ガイアナの地で、900名を超えるカルト宗教・人民寺院の教徒たちが集団自殺を遂げた、実際にあった恐ろしい事件です。

本作はフィクションであるとしながら、明らかにこれをモチーフにした教団”人民教会”の施設が舞台になっているのです。

日本人の探偵である主人公は、あるきっかけで人民教会が運営する共同体・ジョーデンタウンへ赴き、そこで起こる連続殺人に巻き込まれます。次々起こる奇怪な事件の真相に、探偵はたどり着けるのか? 人民教会はいかにして破滅へ向かっていくのか? そしてタイトル『名探偵のいけにえ』の意味とは……? 二転三転する物語に、最後まで目が離せません。

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城戸が最近読んで良かった本

映像文化論の教科書 運動としての映画、映像としてのスポーツ

映像文化論の教科書(鬼丸正明)

【オススメ人:城戸】


私は映画が好きで、映像論を扱った本をよく読むんですが、中でもこれは分かりやすくて面白いです

生まれたときから映像に触れ、無意識にその文法を理解している私たちは、テレビでオリンピックを観戦するとき、「いま見ているのはスポーツそのものではなく、それを写した映像なのだ」という至極当然の事実を、簡単に忘れ去ってしまいます。クローズアップやスローモーションなど、すっかり慣れ親しんだ映像表現に改めて目を向け、映像を“運動”として再び捉え直すための手引きをしてくれる、まさに教科書です。

他の本にも言えることだと思うんですが、無意識に理解していたことが改めて定義されるのって気持ちが良いんですよね。偉そうに語りながら私はまだ読み切っていないので、一緒に読了しましょう。ちなみに小説は10年に1冊読むかどうかってところです。

 

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梨が最近読んで良かった本

ニッポン制服百年史: 女学生服がポップカルチャーになった!(森伸之 / 内田静枝)

【オススメ人:梨】


ここ最近読んだ本の中で一番面白かったです。

一言でいえば「結局、なんで女の子の制服ってセーラー服とブレザーなんだっけ?」という「『女学生服』史」みたいなものを論じた本。

大正時代の「洋装への転換」から始まり、戦前はセーラー服が憧れの対象となり、戦後は紡績技術の発展と手を結び、80年代ごろから各学校(あるいは生徒)が制服のデザイン性を競いはじめ……という、文化史と服飾史と民族史が入り乱れた文章は非常に読み応えがありました。

藤井みほな先生や江口寿史先生の美麗な挿絵や、もはや国会図書館まで行かないと見れないような制服写真がたくさん挟まれていて視覚的に楽しいのも良いです。

個人的なおすすめは、「この本を最後まで読んだあと、女子中学生向け文庫の表紙を10年ぐらい前から今までソートして片っ端から見る」こと。

ブルーライト文芸は白と青の落ち着いたセーラー服、ドタバタ恋愛ものは色と布の数が多めの茶系ブレザー、潮流としては韓国の制服を参考にしたデザイン制服がここ最近すごく増えていて……みたいな、明らかな流行(憧れの対象)の変化やジャンルごとの売り出し方の違いが見えてきて面白かったです。

 

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かまどが最近読んで良かった本

すべての、白いものたちの (河出文庫)

すべての、白いものたちの(ハン・ガン)

【オススメ人:かまど】

拙著にて「みくのしんが枕草子を読む」というパートを書いたのですが、そのときに読んだ「春はあけぼの」が面白すぎたので、「枕草子と似たような形式の本ってないのかな〜」と探していました。

清少納言が季節の情景を列挙していたように、一つのテーマに属するものを集め、書き並べていく類集的なスタイルの作品が読みたかったんです。

そんなときに見つけたのが、この「すべての、白いものたちの」です。タイトルの通り、いろんな「白いもの」について書かれた作品で、産着、雪、塩、ろうそく、寒い日の息などなど、とにかく「白いもの」について書いているのですが……これが凄まじかった!!!!!!

なんじゃこりゃ!!!「文章を書く」ってこんなことまでできるのかよ!!!

作者のハン・ガン氏はノーベル文学賞を受賞した方なので、「さぞかしいい本なんだろうな」という期待半分、「僕には理解できない芸術性があるんだろうな」という諦め半分で読み始めたんですが、読み終えるころには、なんかもうそれどころじゃなかったです。こんな本、見たことない!

▼さすがに長過ぎたので文章を一部折りたたんでいます。気が向いたらタップして読んでみてください。▼

「白いもの」について綴られる文章群は一つ一つが短くて、まるで詩やエッセイのようにスルスルと読むことができます。

初めの方こそ、「わあ、僕にもノーベル賞の作品が読めるんだ」とウキウキしていましたが、程なくして、「白いものについて語るだけなのに、よくもまあこんなに美しい文章が生み出せるもんだ……」と、作者の感性と表現力にただただ圧倒されました。

また、合間に写真なども挟まっているので、途中までは「図抜けて詩的なフォトエッセイ」のような感覚なのですが、読み終えたあとに振り返れば、それは間違いなく一つの物語になっている……という実験的とも言える構造になっています。

そういうギミックを売りにするような作品ではないのですが、結果としてこの物語構造が生む演出効果は比類ないものになっていて、言ってみれば小説なんて文字の連なりでしかないのに、こんな領域にまで達することができるんだと惚けてしまいました。

「白いもの」を美しく描き出す洗練された表現と、「白いもの」を美しく捉える研ぎ澄まされた感性が、一体何のためだったのかが明らかになった後に、もう一度この本を読み返すと、「ああ、もう、とんでもないものを読んでしまったな……」と感じます。

美しい文章や巧みな表現など、その「出力先」を誰かに届けようとする作品にはたくさん出会ってきましたが、
美しく捉える作者の目や耳、鼻、身体、生命など、その「入力元」ごと誰かに捧げようとする作品には初めて出会いました。

巧妙な伏線や、大仕掛けのトリック、驚きのどんでん返しなど、いろんな理由でもう一度読み返したくなる作品ってありますよね。

それでいうと、この「すべての、白いものたちの」は、史上最も美しい理由で「2度読みたくなる作品」です。ぜひ、読んでみてください。

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みくのしんが最近読もうと思っていた本

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2)

世界でいちばん透きとおった物語(杉井光)

【オススメ人:みくのしん】

『本が読めない33歳が国語の教科書を読む』という本を同僚であり友だちのかまどと出しています。

僕はその中で主に出演(出演?)しているのですが、本がとんと苦手だったのに最近はその気持ちも薄れてきて、マンガとまではいきませんが本を読もうとするハードルも下がってきました。かまどにこの本をオススメしてもらったときも躊躇なく購入できたし、これは偉人と言っても過言ではないでしょう。

ただ、寝る前に読もう読もうと枕元に置いてたら、先日ビビるくらいの大雨で家が水没してしまい、1ページも読むことなくベッドもろともベシャベシャの水浸しになってしまいました。今ならGANTZで西くんが言ってた「スーツがオシャカになった」の気持ちが痛いほどわかります。悔しすぎる。

だいぶ汚れちゃったけど乾かせばギリ読めるかな〜と思ってたら、かまどに「頼むから絶対に新品を買い直してくれ」と言われました。なんで?

とにかく、まだ読めていない『世界でいちばん透きとおった物語』。オススメするには早いですが、かまどが面白いと言ってたので絶対おもしろいはず!秋に金曜有給取って、力の三連休!そこで改めて読みたいと思います!

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気になる本はあった?

というわけで今回は以上!紹介してる本も、紹介した人が書いた本も、どっちもチェックしてみてくださいね!

それではまた。