“エース”になりたい
野球をやっていた人なら、一度は思ったことがあるだろう。
そして、私はエースになるチャンスに挑んだことがある。
小学校時代、WBC(サッカーでいうW杯みたいなモノ)での日本代表の活躍を目の当たりにし、地元の少年野球チームに入団。週末は白球を追いかけた。
タバコを一生吸っているスキンヘッドのコーチや親指の先端が無い監督に怒鳴られながらも、少しずつ上達していき野球の楽しさを感じていた。
ある時、チームでピッチャーの選考会をするとコーチが発表した。
当時のエースは球こそ早かったがコントロールが悪く、序盤で試合を壊してしまうことが何度かあったからだろう。
そのため監督やコーチは「コントロールの良いピッチャーを探している」と勘づき、私は迷うことなく選考会への参加を決めた。
なぜなら、コントロールには並々ならぬ自信があったからだ。
今でも中学時代の友人と野球をした際には「やっぱりバッティングセンターみてぇな球投げるよな お前!!!」と称賛されるほどである。
選考会でも丁寧に低めにボールを集め、見事次の試合の先発ピッチャーの座をつかみ取った。