私はちびまる子ちゃんが大好きなのだが、観るたびに大野くんというキャラクターのカッコ良さに感心している。

ちびまる子界きってのハンサムであり人気投票でも常に上位をキープしている大野くん。

(※2020年1月アニメ化30周年スペシャルで発表されたランキング)

…しかし、大野くんの本当のカッコ良さを世間は知っているのだろうか?

もしかしたら他のキャラクターが個性的過ぎて相対的にカッコ良く見えているだけなのではないか……?と思っている人もいるんじゃないか………??

そんな消極的な理由でカッコいいとされていたらたまったもんじゃない。大野くんはすごいんだ!!!

今回はアニメちびまる子ちゃんを沢山観ている(主にさくらももこ脚本のもの)(天野アマゾネス)が感じた大野くんのカッコ良さについて説明したい

大野くんの常識

主人公まる子のクラスメイトである大野くんの初登場は、映画ちびまる子ちゃん『大野君と杉山君』。その後漫画、1995年から始まったアニメ二期からレギュラーキャラとなった。

当初はガキ大将気質のえばりん坊という設定だったが、アニメに登場してからどんどんと性格が丸くなり現在に至る。

(親友の杉山くんと共に給食のみかんを奪うクソガキ時代)

スポーツ万能なうえ勉強もできるので当然女の子からも支持されており、クラスメイトの冬田さんは大胆にも直接好意を伝えている。

ちなみに冬田さんが大野くんに「私の事どう思ってる?」と聞いた際の返事が衝撃的だったので紹介したい。

正直者すぎる。

認知のされ方が「机」とか「本棚」ぐらいなのがなんとも言えない。また、冬田さんは大野くんに本をプレゼントした事もあるのだが、その時のお返事もカッコ良かった。

正直者だなぁ…!!

一見バカ臭いように思える発言だが、小学3年生男児の言葉なので自己分析がよくできていて逆に大人っぽい印象を受ける。

大野くんはまだ恋が何だか分かっていないのが現状であり、友人と遊ぶ事にしか興味がない。そこもまた「硬派」だと人気を加速させているのだ。近しい女の子からしたら、意中の相手がいないので安心して好きになれるが、同時に両思いになれる可能性もない複雑な恋心を抱くことになる。なんて憎い男なんだ…!!

 

ちびまる子ちゃん界の平和を守る少年

大野くん最大の魅力は、誰かがピンチに追い込まれた際に発揮する度胸頼りがいではないかと考える。

代表的な話に『隣の町のあばれん坊』(1995年放送)がある。まる子達が通う小学校の児童たちが次々と隣の学校のガキ大将にボコボコにされてしまうのだ。

何人もの児童が犠牲になり、このままでは学区内に自分達の遊び場が無くなると懸念したはまじ達が大野・杉山にガキ大将の討伐をお願い。

(お願いしますブー)

その日のうちに手下含む5人のガキ大将一味をなんの苦労もなく一捻りにしてしまう。

そのケンカの身のこなしの鮮やかさに毎回唸ってしまうが、なによりカッコいいのは立ち向かう相手がいつもやたら威張っている上級生や不利な相手ばかりなところだ。

私が大好きな大野・杉山回の1つに『野口さんの家に行く』(1997年)という話がある。

タイトル通りまる子と大野・杉山が野口さんの家に行く話なのだが、ここでまず紹介したいのは野口さんの高校生の兄とその彼女の存在だ。

この富士男がなかなか厄介な存在で、普段から野口さんや家族に威張り散らしているのだ。

まる子達が野口さんの家で遊んでいる所に、富士男が空気を読まず現れ「ジュース買ってこい!」と野口さんに命令する。「今友達が来てるからダメ」と断られると暴力に走るのだ。

緊張感が走ったそのその瞬間…

「おいお前!兄さんだからってえばり過ぎだぞ!!」

普段仲良くしてるでもない野口さんのためにだって、2人は高校生である富士男に勇猛果敢に立ち向かうのだ。こんなに嬉しいことがあるだろうか。私は初めてこの話を見た時、あまりのカッコよさに「いけー!ぶちのめせー!!」と叫んでしまった。私が野口さんの立場だったら消しゴムのカバーの裏に「大野・杉山」と書いて淡い想いを募らせている事だろう。

 

大野くんはケンカ以外にも頼りになる。例えば『理科の実験は大騒ぎ』(1998年放送)で理科室の机が青い炎に包まれてしまった際には、画面を注意深く見ると大野くんと杉山くんがバケツに水を汲んでおり、2人がいつでも冷静に物事を解決しようとしている様子が分かる。

このように大野くんの存在はちびまる子ちゃんの平穏を守っている部分も大きい。もし彼らが存在しなかったらどうなってしまうのだろうか?実際、大野・杉山がいなかった為に起こった事件がある。

1995年に放送された『たかしくん』だ。

『たかしくん』の巻

ちびまる子ちゃん史上最も過激ないじめのシーンが描かれた作品。いつも寝坊で遅刻するクラスメイトのたかしくんがイジメっ子に行き過ぎた暴力や嫌がらせをうける…

このお話を観るたびに「大野や杉山はなぜ助けてくれないんだ!?!?」と思っていたが、なんと2人共画面に1度たりとも登場しないのだ。時計が反射して教室全体が映るシーンで目を凝らして確認すると…

 

クラスから存在が消えてる!?!

しばらく画面を凝視したが、いない!!!いたとしてもモブと見分けがつかないぐらいに鳴りを潜めている。(ついでにみぎわさんもいない)

結果、見かねたまる子が止めに入るが…

返り討ちの極み

まさかの流血騒ぎで幕を閉じるのだ。

このことから大野・杉山がいないちびまる子ちゃんの世界はあばれん坊がやりたい放題の無法地帯となる可能性が高く、ほのぼの日常アニメの平和は彼らによって守られていると言っても過言ではない。

とはいえ大野杉山が手も足も出なかった事件もわずかに存在するが、治安のために2人は必要不可欠な存在と言えるだろう。

(ブチ切れた山根には手がつけられなかった大野くん)

誰とでも何でもする

ここまでは大野くんの頼もしさに触れてきたが続いては交友関係について触れたい。そこで、まる子達3年4組の交友関係を図にしてみたので見てほしい。

普段いつも一緒にいるorお互いを友達だと認め合っているメンバーを同じ色で囲ってみたのだが、どこか似た者同士が仲を深めていて現実味が強い

お調子者はお調子者とつるむし、影のある者は影の者と仲良くするしかない状況…ちびまる子ちゃんがエッセイ漫画であるという事を思い出す交友関係だ。

でも1つだけ…1つだけ疑問が…

現実だとこのグループにならない!?!?

現実の大野くん的な人達って城ヶ崎さん的な人達と仲良くしてない!?!?小学生だとそんなことないか!?!?どうなんだ!?!?

そんな疑問をよそに、作品中で大野くんは嘘みたいに城ヶ崎さん達と絡むことはない。それどころか、クラスの中でも割とトホホとした人達と遊んでばかりだ。

やきいも大会をしよう』(1997年放送)でブー太郎の家にやきいもをしに行ったときは、ついブー太郎の気持ちになって「来てくれるんですかブー!?」と思った。

(なぜブーの家にお二人が…!?)

また、大野くんのお人好しさにも注目したい。大野くんがお人好しを発揮する話は数あれど、個人的に最も熱いお人好し回は『ロマンチックな季節』(1998年放送)だ。

「ロマンチックな季節」の巻

秋の並木道を大野くんと手を繋いで歩きたい願望を抱いた冬田さんは、まる子になんとかしてくれとお願いする。

はじめは強く抵抗していた大野くんだったが…?

冬田さんの夢「大野くんと手を繋いで歩きたい」という願望をまさか…

叶えてくれるなんてね…!!!!

今後の人生、冬田さんはどんな嫌な目にあってもこの日のことを思い出して「頑張ろう…」と思えるだろうから、色んな意味で人助けをしているね!!!!!

このように頼まれたら手を繋いで歩いてくれる大野くんのお人好しさ。恋心を育てる栄養の1つに「期待を持たせる」は絶対にあると思うので、本人にその気は無くとも知らず知らず恋心を育ててしまうのではないか。

 

また、頼りがいがある上にクラスのお騒がせ人物と遊ぶ傾向にあるのでやたら人を運ばされているところも私は密かな魅力だと感じる。

(大野くんがいたら気兼ねなく倒れられる)

おもしろいもの狂

大野くんといえば欠かせないのがおもしろいもの好きな一面である。目覚めのきっかけと言えるのは1997年に放送された『腹話術をやろう』だ。

「腹話術をやろう」の巻

お年玉で腹話術人形を買ったまる子・藤木・山田は、全く腹話術人形を生かしていなかった。もったいないので3人で練習した結果、腹話術人形を一切使わずお互いの体を人形と見立ててモノマネを披露する人間腹話術を編み出し、妙な成り行きから大野・杉山・友蔵の前で披露することに…

このお話で大野くんはまる子達の腹話術に抱腹絶倒、おもしろいものに目覚めてしまったのだ。

(抱腹絶倒の大野くん。面白いものに目覚めてしまう)

それ以来大野くんは何か集まりがあると「山田も呼ぼうぜ、その方が面白くなりそうだ」と、場が荒れるようメンバー調整をする等おもしろへの興味や働きかけは野口さんに匹敵することも。

クラスの平和を守りつつ、ちびまる子ちゃんが面白くなるようさり気なく働きかけている大野くん…妖精さんみたいだ。

いつも味方

今回の記事を執筆するにあたり、大野くんが登場する回を改めて見直してみたら新たな発見があった。

それは、クラスで何か対立があった場合大野くんは大体まる子側についている事だ。

今まで様々な議論が起きた3年4組だが、多少は違いがあれどだいたいこのような構図になることが多い。

(度々図々しい人達と敵対するまる子)

ちょっとまる子の仲間が人格者揃いなのと敵が敵過ぎるという印象はあるが、いつもさり気なく味方側についてくれるクラスメイトがいるとすごく心強く感じる。

大野くん…それは心強さと安心感の象徴なのかもしれない。

大野くんのさだめ

このように、様々な良い成分で構築されクラスメイトや視聴者から愛されている大野くんだが、忘れてはならない切ない未来が待ち受けている。

3年生の終わりに引っ越してしまうのだ…

大野くんのデビュー作品でもある映画『大野君と杉山君』では大野くんとのお別れ会が開催されるのだが、その設定は無くなることなくアニメでも大野くんが引っ越しに思い悩んでいる回が存在する。

幸いちびまる子ちゃんが永遠の小学3年生なので別れの時は来ないが、大野くんとは近い将来離れ離れになることが確定しているのだ。

そう考えると大野くんとの毎日(日常回)がよりいっそう眩く、尊く、きらめいて見えてくる。乗り越えなければならない悲しみも全て、大野くんの魅力になっている気がしてならない。

大野くんに限らず、今親しくしている周りの人は永遠に一緒にいるとは限らない。そのときそのときを噛み締めて、後悔なく過ごせるよう努めたい。大野くんはそういった大切なことを思い出させてくれる存在なのだ。

 

 

今回参考にした大野くんが登場した作品

「まる子、誰かにチョコをあげたい」「今日はサンジョルディの日」「野口さんの家に行く」「藤木のかした30円」「ロマンチックな季節」「山根、手相にこる」「理科の実験は大騒ぎ」「とくちゃんはお人好し」「春の小川に行こう」「腹話術をやろう」「教育実習の先生」「山根くん大あばれ」「まる子、きもだめしに出かける」「藤木の疑問」「たかしくん」「小杉君の食欲」「やきいも大会をしよう」「忘年会をやろう」「怖い話大会」「隣の町のあばれん坊」「UFOはいるかいないか」「マラソン大会の前日」「商店街にうなぎ屋開店」「小杉君の腹痛」「サッカー少年ケン太」映画「大野くんと杉山くん」「平岡君」

これら全てLeminoプレミアムで2024年4月11日23時59分まで視聴できますので興味がある方は是非!