ーーー原宿を騙して金儲けをしようとしたキショ松が、オモコロ編集部にやってきた
キショ松「 聞いてくださいよ! 僕、すっごいことに気づいちゃったんです!!」
原宿「………」
キショ松「“信長の野望”は戦国時代をテーマにしたゲームですよね。“ダービースタリオン”は競走馬育成、“ときめきメモリアル”は高校生の恋愛。
じゃあ、トランプの「大富豪」のテーマはなんだと思います?
キショ松「経済だと思いますよね。 その顔、「大富豪ってトランプをお金に見立てたゲームだよね~」って思ってるときの顔ですよね! ……でも、残念ですが、原宿さんのその考え、大間違いなんです!
30歳過ぎて人前で勘違いを晒すなんて恥ずかしいでしょうし、このキショ松が分かるようにしっかり教えてあげます! 静かに聞いててくださいね!」
大富豪が経済をテーマにしたゲームだとしたら
【富豪】
東京大学を卒業後、大手おメーカーへ就職。入社7年目に退職し、現在は経営者。二人の娘はインターナショナルスクールに通っている。妻はママモデルとして、ファッション誌で活躍している。
【貧乏人】
マシュマロをガスコンロで焼くのが至上の喜び。夢は冬を越すこと。
こんな二人がいるとしましょう。大富豪が経済をテーマにしたゲームで「お金=トランプ」っていう設定だとしたら、こんなおかしなことになるんですよ。
■大富豪のおかしなルール その1
「強いトランプを出すと、それより弱いトランプは使えなくなる」
マシュマロが永遠に買えない無限ループ
「貴重なマシュマロでオークション販売だった」って言うなら話は別だけど、普通の貧乏人は富豪と同じものを欲しがりません。こんなことにはまず、ならないんですよ。
金持ちには金持ち用のマシュマロがあるんです。ほら、中にチョコレートが入ってるヤツですよ。おいしいですよね。 貧乏人はのりの佃煮が入ったヤツを買うんです。
■大富豪のおかしなルール その2
「富豪は強いカードを奪い、弱いカードを返す。目の前で。」
ただのカツアゲ。
富豪が金持ってない貧乏人から、カツアゲするワケないじゃないですか。そんなショボイ商売してたら、金持ちなんかなれません。
こういうワケでね。大富豪を経済に当てはめてみると、ツジツマが合わないんですよ。だから、大富豪を経済のゲームと言い張るのはムリです。
じゃあ、大富豪は何のゲーム?
ここは思い切って発想の転換をしてみましょう。
「強いカードを出されたら、それより弱いカードは出せない」という大富豪の基本的なルールと、よく似たルールのゲームがあるんですよ。
軍人将棋です。
駒ごとに強弱のある、将棋風のゲームですね。弱い兵隊は強い兵隊に絶対に勝てないという設定になっています。
これを大富豪に当てはめてみましょう。
【帝国総統】
10億の帝国民のほとんどが、ハンマー投げの室伏広治選手のような体格。教育も充実しており、科学技術の発達が著しい。
【集落の長】
水が無い。でも、集落の長には室伏広治のような語尾の妹がいる。
■ 大富豪のルール その1
「強い軍隊を出せば、弱い軍隊に勝てる」
この敗北の無限ループは納得いきますよね。弱いカードを2枚出しすると、強いカード1枚が使えなくなるのは、「兵隊が多いほうが強いから」と考えれば理解できるはずです。
■ 大富豪のルール その2
「帝国は強いカードを奪い取り、弱いカードを返す。目の前で」
これも大富豪のテーマが戦争だと仮定すれば、理にかなってますね。戦争シミュレーションゲームでも、停戦協定を結ぼうとすると金銭を奪い取られて、次第に兵力差が拡大していくものです。
こういうワケで大富豪は経済じゃなくて、戦争をテーマにした戦争シミュレーションゲーム。「信長の野望」とか「Civilization」とかのトランプ版みたいなものなんです。
ちょっと考えれば気付きそうなことなのに違和感を感じる人が少ないのは、「大富豪」って名前もありますが、根本的な原因はトランプのデザインのせいですね。
七並べやババ抜きなど、いろいろと遊べるように汎用的なデザインになっているせいで、自分がどんなゲームをしているのかプレイヤーでさえイメージが湧かないんですよ。
今回は試しに、大富豪が戦争シミュレーションゲームであることがはっきりと分かる「大富豪専用トランプ」を作ってみました。
大富豪専用トランプを作ってみよう
オリジナルトランプを作るのってそんなに難しいことではありません。お祝いの品や会社のPRグッズ向けのサービスを行っている印刷会社がいくつもあるんです。
こんな感じのサイトがいっぱいあるんですよ。印刷会社によりますが、写真のデータ送るだけで作れますし、画像編集ができるならIllustratorのデータを送っても対応してくれます。
……だけど、料金がけっこう高い! オールオリジナルで作ると一つあたり1万円以上かかるところもあります! 丈夫でキレイなトランプを作ってもらえるのかもしれませんが、今回作るのは「大富豪」をプレイするだけのためのトランプ。ちょっと厳しい金額ですね。
自力で安上がりにやってみましょう。
印刷会社に頼まないとなると、自分で印刷する紙から用意しないといけません。手っ取り早いのは、手品用品の「ブランクカード」。
何も描かれていない白紙のトランプです。これに、自作のラベルをプリンターで印刷して貼れば、カンタンにトランプが作れます。
ラベルを作るときも「トランプ フリー素材」とかでググるとテンプレートがガンガン出てきます。これさえあれば、真ん中のマークだけ自作のイラストなり写真なりに置き換えるだけ!