オモコロ杯2022 春

結果発表

まずは発表がめちゃくちゃ遅くなって申し訳ございません!!!!!!
去年の応募総数が443本だったのに、今年いきなり1024本と倍以上に投稿数が増えた結果、普通に倍以上に読む時間と審査の時間がかかってしまいました!!!!!
発表までが長くやきもきされた方、早く結果が知りたいと感じた方も多かったと思います。改めまして、オモコロ杯へのたくさんのご参加ありがとうございます。「なんでこんなに?」という驚きの気持ちと、「まだまだ世界にはWeb記事を書く人がこんなにいるんだ!」という嬉しい気持ち、さらには読んでも読んでも全く終わりが見えない絶望的な気持ち、全てがここにあった今回のオモコロ杯でした。嬉しい気持ちが当然多めです。

そしてオモコロ杯における「優勝」である今回のオモコロ大賞ですが、昨年に引き続き審査員の間でも意見が分かれ、オモコロ杯では恒例の「突き抜けた大賞」1つではなく、賞金額含めて分割した「優秀賞(2本)」を選ぶ形となりました。つまりは、同率優勝2名のダブル受賞。「そこは頑張って1つにせい」というご意見もあると思いますが、2本とも甲乙つけ難しの良作だったので、こうなった以上は1人が優勝するよりも2人が優勝した方が、世界の喜びが2倍になるかもしれないという持ち前のポジティブシンキングで、ダブル優勝という結論に辿り着かせていただきました。

優秀賞以下、個人賞(金賞)、銀賞、銅賞と表彰が続きます。賞として表彰できるのは1024本の中のほんの一部となってしまいますが、どれもこれも唯一無二の面白さがある記事ばかりでしたので、読者の皆様におかれましては、ぜひ銅賞の記事までじっくり楽しんでいただければと思います。長くなりましたが、オモコロ杯2022の結果を発表させていただきます!
オモコロ編集長原宿

優秀賞

もっともよかった2作品に与えられる本イベントの最高賞。

賞品:Amazon ギフト券 各5万円
インターネットユーザーのための、クイズで学ぶ「ライティング」入門
作:オグラホロ

まずは一見して記事としての見た目の整い方、端正なルックが素晴らしくて興味を引きますね。絵作りの良さに加え、「撮影」という専門技術の面白さを、インターネット好きが興味を持つような間口を広げた題材で伝えている企画力。無駄なく読みやすい解説テキストで、テンポ良く新しい知識を提供してくれる構成力。いずれも「こりゃええわい」と唸りました。
最終問題の題材のみ、少しネットミームというテーマからは外れるかな? と感じましたが、ライティングや撮影の奥深さを楽しめるきっかけになるコンテンツとして大いに知的好奇心を刺激されました。この企画の新しさは、どうにかしたらどうにかなっちゃうかもしれない!最高!(原宿)
「世の中にはこんな照明技術があるんだよ」と言われても「あ、そうなんスね。ども……」と会釈するだけになってしまいそうなものですが、みんなの興味を惹くプレゼンテーションが抜群にうまくて、最後まで気が散ることなく読めてしまいました。読んだあと人にこの内容を得意げに教えたくなります。
「自分がすごく好きなことや興味あること、他人はそうでもない」という事実、しっかり向き合うのはけっこうしんどいし、興味ない側の感性に寄り添うこと自体難しいのですが、カジュアルさと情熱を両立する手腕が素直にすごかったです!(恐山)
「ライティング(照明)」×「ネットミーム」という一見かけ離れているような題材でも、しっかり興味の持てる内容になっていたのがすごいと思いました!何百万人ものネットユーザーが転載した写真でも、ちゃんとCGで作っているのも好感が持てますね…。
見慣れたネットミームを違う角度から解説して、新たな発見を作っているのは素晴らしいです!ただ、オモコロの写真を解説されると本当に何も考えずに撮っているのがバレるので、それはご遠慮ください。(ARuFa)
まず、クイズが面白すぎました。ネットオタクが作ったEテレの番組みたい。
専門性と共感性を兼ね揃えた企画はもちろん、丁寧な図解と抑制の効いたテキストで読解をフォローしていて素晴らしいです!読者の理解度を精緻に見積もった寄り添い方をなさっているのも素敵!
照明というほとんどの人にとっては縁遠いテーマにも関わらず、推進力を失わずに読み切れましたし、何より読者の「知らんし」を「ちょっと面白いかも」に変移させることって本当に凄いことだと思うので、相応の賞がふさわしいと思いました!(かまど)
ライティングって、そっちのライティングなんですね。自分ぐらいのジジイになると、カタカナの専門用語が立て続けに3つも登場した時点でそブラウザを閉じてしまうのですが、そんなことも織り込み済みだと言わんばかりの、本編のライティングクイズの面白さにたまげました。
かつて「スキージャ●プ・ペア」って流行りましたけど、自分はあのオシャレさになんとなく乗っかれなかったのですが、この記事も一瞬「それ系かな?」と身構えたものの、そんな警戒心は全く必要なく、素直に最後まで楽しめました。それはきっと、この記事の此処彼処に、読者を突き放さない筆者の人柄が滲み出ているからなのかもしれません。(宮川)
図書館の資料修復技術を駆使してカピカピになったポイ捨てエロ本を蘇らせる
作:シュゴウ

大賞を分け合ったこちらの作品は、オモコロ杯の発表が後ろ倒しになっている間に大バズの波に乗り、「もう読んでるわ!」という方も多いと思います。
資料修復の技術をガッツリと学んだ後に、エロ本をあえて捨て、丁寧に手順を追って修復していくという見ごたえ知りごたえのある記事で、一人の人間の手によって成される偉大な仕事、そしてそのバックグラウンドに脈々と流れる人類の叡智に思いを馳せることができる感動的な内容でした。知恵を蓄えてきてくれた人たち、ありがとう。
本当の本当に理想を言えば、修復する本にさらなる思い入れや理由があると、さらに心を揺さぶられる作品になったと思いますが、細かい部分まで読みやすく調整された太鼓判を押せる良記事です!感服!(原宿)
どうせみんなもう読んでるだろ……と思いながら推してしまいました。「エロ本を完璧に復元したい」という基本テーマから一切ブレることなくあらゆる手段を用いて想像以上の結果を出す、このプロセスの全てにドラマがあり、テレビの特番として成立しうるレベルになっていると思いました(それでもエロ本という題材にしてしまうのがインターネット的)。
写真の撮り方や余計なネタの挟み方も「慣れてる~!」と感嘆してしまうほどで、なんかもう逆に評価したくないなとヘソが曲がりそうになりました。レポート記事における一種の理想形というか、放った打撃の全てがHITしたような感覚です。悔しい。(恐山)
かなりボリュームのある大作ですが、随所に読者を飽きさせないような工夫がされていて素晴らしいですね!ちゃんと写真の明度も統一してて、スラスラと最後まで読める記事でした!読み手のことを考えて、できるだけ無駄をそぎ落とそうという意思も感じられました!!!
しいて言うなら、何日間も工程がある記事のときには、日をまたいだ際に洋服を少しでも変えるとより日数経過がわかりやすいかもしれません!今回でいうと、エアストリーム乾燥法のときと完成後の服装が同じ柄シャツ+白Tシャツだったので、流し見をした際に「これいつの写真だっけ?」となってしまうのが未然に防げたかもしれませんね!(僕もよくやっちゃうので人のこと言えないのですが…)
でも、全体的に非常に力量を感じさせる素晴らしい記事でした!最高!!!!!!!(ARuFa)
企画力、実行力、描写力、画力などなど、記事を構成するすべての要素が高レベル!読んだ人がSNSで言及したくなるであろうフックが大小問わず随所に散りばめられていますし、ほぼパーフェクトな記事で凄いと思います!
ただ、本をドブ漬けにする行為について自覚的である説明にはもっと筆を割いた方がいいと思いました。泥んこになる本に対しての眼差しなど、エロ本が企画の小道具以上の存在として描写されていたら、情緒面での企画の一貫性が損なわれず背骨の通った記事になったと思います。(かまど)
なんでこんなことするの?に尽きます。一生分の「なんでこんなことを…」を圧縮してガチガチに固めた置物を見ているような気持ちになりました。現代アートと括ってしまえば安っぽいですが、こういう情熱こそがインターネットには不可欠なエネルギーなのでしょう。
そのあまりの執拗さに、正直途中読み飛ばしてしまった箇所もあったのですが、子供を寝かしつけてからまたPCで遡って読み直している自分がいました。こんなことを言うのは野暮かもですが、僕の故郷、岐阜の実家近くのあぜ道には、グズングズンになったエロ本が今でも普通に落ちているので、機会があれば実際に落ちていたエロ本の復元も見てみたいです。(宮川)

金賞(個人賞)

優秀賞には一歩届かなかったけど太鼓判を押せる作品にお送りする賞です。

賞品:各審査員が選んだ気の利いた物
大調査!あの世の新常識
作:ありふれた平凡なドラマティック

個人賞なのでシンプルにめちゃくちゃ好きな作品を選ぼう!ということで、臨死体験をしてあの世でプテラノドンに出会うというあまりにも荒唐無稽なこちらの作品を選ばせていただきました。
初見でプテラノドンに見せるには無理があるフォルム、「ドタマくらってる」というパッションを感じる表現、全てが嘘なのに全てが愛おしい。この世界観にもっと溺れたくなりました。間違いなく次世代を牽引する才能だと思います。
霊界に導く音色、「シンギングボウル」をお送りします。(原宿)

賞品: 
あぜ道走りサンボマスター界隈
作:ンノヤキ

インターネットにあふれている言葉は数字を狙ったウソばかり。自分が心から吐き出したつもりの言葉ですら、誰かの視線を気にしたウソになってしまう。本当の言葉が見たい。本当のことを言いたい。そういう鬱屈を抱えている人ならば必ずどこか心を打たれる動画でした。
ひたすらあぜ道を走りながらひたすら喋り続けるだけの動画ですが、過度な運動で足りなくなった酸素が脳からウソを剥がし取り、ほんの一瞬だけ「本当」に触れさせてくれるような、そんな爽快感があります。こんなアプローチ、瀉血療法みたいなもので方法論としては間違ってるのかもしれませんが、「ファンタ飲んでるときって一番時間がゆっくりに感じるもんな」この言葉を私は忘れない。
米を送ります。(恐山)

賞品: 
デカビタCをでっかくしてデカデカビタCをつくりたい!
作:華美たパン

様々な工夫や工作などが詰め込まれ、一般的な記事5本分程の小ネタを1記事に凝縮したような記事で驚きました!デカビタCでやれることを全部している熱量が素晴らしいですね……。
ただ、ちょっとボリュームがあり過ぎて、倒しても倒しても死なないラスボスと戦っている感覚に陥ってしまったかもしれません!こういう記事は一貫した目的があってこそ読者に読み進めてもらえるので、突然のフィクションみたいのは止めたほうがいいかもですね! でもそんな熱量も大好きなので、個人賞とさせていただきました!
デカビタCをこよなく愛した華美たパンさんには、賞品として「ガツンゴールド」を210本プレゼントいたします!(ARuFa)

賞品:
アナログ時計とデジタル時計の精神を入れ替えて能力を変質させる
作:The-U.JINE

やや読解カロリーの高い記事ですが、それ以上に視覚的に丁寧な作り方が素晴らしかったです!
画像と文章のリズムやテキストの豊かさ、必要な情報を過不足なく差し込む配慮の細かさなど、人に読んでもらうためのスキルが凄い!動画と比べても遜色ない情報処理の手際の良さに感服しました!
贅沢を言えば、記事終盤は白パズルという特殊な状況ではなく、日常の中にこの時計があるシーンを描いた方が成果物をより活かせた気がしますし、この方ならそれでも面白く書けただろうな〜と期待もしてしまいます。
とにかく、きっと高水準の記事を量産できる方なんだろうなと感じたので、「これからも記事を書いてください」の気持ちを込めて個人賞に選ばせていただきました!(かまど)
インテリア極振りの置き時計をお贈りしますので、ぜひ持て余してください。

賞品:
ロリサキュバスちゃん
作:プロ市民

正直、この個人賞は今回銀賞に選ばせていただいた「ちにがみ」とどちらにしようか最後まで悩みました…が、やっぱりこれはオモコロ杯ですから、ここで日和るのは良くないなと、商業誌では絶対読めないであろう、この「ロリサキュバスちゃん」を個人賞とさせていただきました。
無茶苦茶さだけの作品はネット上に数多あれど、ロリサキュバスちゃんには狂気と人間味が共存していて、それがまたなんともイイ塩梅でした。自分だけの理想の世界を作ってそこで暮らすことって可能なんだ…漫画って凄いな…と、この作品を通じて改めて漫画の持つ可能性の凄まじさを思い知らされたのも事実。
これで人類は肉体を失っても大丈夫、そう思わせてくれるパワーに溢れた怪作です。茅乃舎だしパックをお送りさせていただきます。(宮川)

賞品:

銀賞

すごく面白かったけどもう一声!惜しい!という作品にお送りする賞です。

ちにがみ
作:マー

カワイイ系マンガ界は『ちいかわ』の登場により革命が起こっていて、これまで流通してきた手札だけでは決定的に戦えなくなるくらい環境が変わったと思っているのですが、『ちにがみ』はなにかこう「戦える」と確信させるものがある気がします。
単にダーク要素があるという意味じゃなくて、カワイイ界の「外側」からいろいろ仕入れてきている感じがあるからではないでしょうか。これからも不純物混ざりまくりのカワイイ漫画を読みたい!(恐山)
可愛いです。小さくて可愛いのに、鎌で切り傷をつけてくるかもしれないという〝怖〟のアクセントが、スイカに塩をかけるが如く、とても効果的だと思いました。
街頭調査したら、7:3ぐらいで「ちいかわ」に負けるかもしれませんが、それでもあの「ちいかわ」に3筋も爪痕(切り傷)を残せたら大したものだと思います。お金の匂いがほどよく漂っているのもまた良くて、「ちにがみ」がケーブルをまとめるデスクトップフィギュアとしてガチャガチャで売られている未来が見えました。5回まわして3個ぐらい〝最後に登場するいかつい死神〟がカブって落胆→その日は一旦家に帰る、そんな未来でした。(宮川)
観光地と観光地の間に行く
作:げんのすけ

「友達同士の旅行で、みんなが行きたい場所の“中間”をとってみる」というわかりやすい企画を、無駄を省いて冗長にならないようにまとめていた手腕が光っていました!

今大会、後悔のないように思いついたネタを詰め込んで相当なボリュームにしてくる記事も多かったのですが、比べてみるとやはりこのくらいの分量の記事が読みやすいのかなと感じます。行き先の「何もなさ、知らんさ」も、ちょうどよくて面白かったですね!(原宿)
個人的に、顔アイコンによる会話形式においては、今回の応募作中、最も精度が高い記事だと思っています!やりとりのリズムがちょうどいい!
企画も面白いですし、冗長になりがちな旅行記事をサクッと読みやすく整えているのも素晴らしいです!
このテの記事って、演者でカメラを回し合いながら撮影するとライブ感が失われがちなので、誰かカメラ担当に同行してもらうか、思い切ってご自身は撮影係に専念する構成にしてもよかったかもしれません。それでも十分面白い企画ではあるので!(かまど)
「落書き集めて20年」のベテランに学ぶグラフィティの楽しみ方
作:chocoxina

違法行為を奨励しているように見えないかということで、こういった話題をネットで取り扱うにはどうしても慎重にならざるをえないですが、まずはリスクを取りながらもこの記事を書いてもらえたことに感謝したいです。興味深い内容すぎる。
一方で、自分の住む街の景観や環境を守ろうと落書きと戦う人たちがいることも忘れてはいけないですが、文化をよりよく知ることで人が見る景色も変わってくるかもしれないと思うと、語ることを怖がってばかりもいられないと自分の編集意識に今一度目を向けたくなりました。やっぱり面白いんだよなこういう話!(原宿)
専門性の高い内容にも関わらず、最後まで興味を持続させる地力がすごい!これだけの情報を引き出せる取材力とまとめあげる執筆力に確かな技量を感じました!
ただ、読後の後ろめたさが拭いきれていないのも事実で、僕自身「楽しみ方」という建付けにはかなり抵抗を覚えました。違法性に自覚的な記述はあるものの、正直建前としての機能しかないので、例えば落書きされている側の視点もフォローするなど、グラフィティ容認のワンサイドに見えない構成を意識なさると万人に受け容れられる記事になったんじゃないでしょうか。
そういった指摘は免れない記事だと思いますが、それでも取材記事としてのスキルはダントツでした!他の記事も読んでみたい!(かまど)
調理の手順をシャッフルしたレシピを見て料理を作る!
作:私野台詞

アットホームな雰囲気の記事かと思いきや、しっかりイラストを描いていたり、カメラの角度をちゃんと変えていたり、企画がしっかりしていたりとあなどれない力作ですね!突然オーディオインターフェースの空き箱が出てくるのもゆるくて素敵だと思います!
無の味噌汁が完成した時点でこのクジの『妙』が出てしまったので、味噌汁の2回目の挑戦はせずに別の料理に挑戦しつつ、「次の指示を2回する」みたいな特殊カードを入れるとさらに発展できたかもしれません!
ただ、もしこれが初めての記事執筆だとしたら、「初めからこういうことができるのはすごい!」ということを結構サラッとしていて凄いので、今後も記事を書き続けていってほしいです!(ARuFa)
企画の良さはもちろんのこと、それを楽しみきっている様子が素晴らしい記事でした!無理なボケをねじ込むのではなく、この企画から生まれる面白さを活かし切る方向の作りなのがいいですね!
様々な画角から写真を撮っていたり、料理以外にも展開を作っていたりと、見た目が単調にならないための気配りを素でこなしているのも凄い!お父様やご友人のコメントまで面白いので、会話を拾い上げる目も正確だな〜と感服しました!これでまだ高校生なんだ…。ちょっと凄すぎるかも。
細かいところではデコボコした部分もあるにはあるんですが、この方の根底にある「いい子っぽさ」が眩しくて、あまり気にならなかったかも。どうかこのまま健やかに大人になってください!(かまど)
短編漫画「気まぐれな水」
作:勝見ふうたろー

「世界が現にこのようになっていること自体には理由がない」という事実を「水がちょっと硬くなる」という現象によって示していて、すごく面白かったです。この設定を思いついたら、もっといくらでもスケールを大きくしたりしていろいろ発想できると思うんですが、あえて半径数メートルの描写に留めることによって異様さが保たれているのも良かったです。
ラストについては読み返すと伏線らしきものがちゃんとあることがわかるのですが、解釈が委ねられているというよりはやや唐突に感じたので、もう少し露骨に導線を敷いてもいいのかもと思いました。(恐山)
「水が少し硬くなってしまった時あるある」に妙な説得力があり、それ以外にも玄関に置いてある折りたたみ自転車など、細かい描写にも創作の魂が行き届いていて素敵だなと思いました。自転車なんて描くの面倒ですよね…。
もしかしたら今のコロナの時代をイメージしたお話なのかなとも推測したのですが、違ってたら恥ずかしいのでそれは伏せておくとして、ラストの主人公の感情の部分がもうちょっと親切に描かれていると、自分のような鈍い人間には嬉しかったかもです。(宮川)
子孫をまどわせたい
作:タチバナシ

「リモート時代で外出が減り、とんでもなくサイケな風貌になってしまった…」という入り口から、せっかくならこれを笑える形で残してみようというイタズラ心が楽しく、構成も読みやすい楽しめる記事でした!
自分だけで完結させず、様々なスキルを持つ人を巻き込んでいく行動力もすごいですね。三国志好きとしては「政治力72ぐらいの感じ」という表現に巧さを感じました。会話文はもう少し読みやすくもできたかも。(原宿)
時代を超えて子孫を惑わすという企画が最高ですね!最初の子孫風の写真とか、マジで蔵から出てきたら勘違いしてしまうかも……というクオリティの高さが素晴らしいです!
写真だけで終わらず肖像画を描いてもらうという展開も、記事に奥行きが出て満足度が非常に高かったです!
ただ、こういう『プロに委託する系の企画』は自分のやることがなくなってしまいがちなので、自分ができる工夫を前もって準備するなどして、自分の見せ場を用意しておくとより最高の記事なるかと思いました!(ARuFa)

銅賞

なんかわからんけど未来を感じるあなたへお送りする賞です。

セブンイレブンの一番風呂レシートを狙う
作:りきすい
びっくりドンキーの!の活用
作:小木の素
お、おい、やべぇーぞ!新潟仕込みせんべいの表面を机に乗せて横から撮ったら火星にしか見えねぇ!
作:か関合う介
【就活生必見】内定をもらうためにギャルになった
作:冬野冬子
ガンプラを食う。
作:おがくず / 小笠原健太
トイレタンクで新年度からの生活を豊かにする
作:インターネット性善説ドラゴン
じゃんけんの手を30手に増やしてみた
作:作っちゃうおじさん
八尺様向けキーボードを開発しよう!
作:ヨードホルム
カラス人間は苦労する。
作:カブトムシ三太夫
留年したくないのでスマブラのリトルマックで卒論を書いた
作:といはる
意味も無く溜め続けたトイレットペーパーの芯が345本に到達した
作:チオール
仕事のやる気を上げるためにofficeソフトを楽しくしてみた
作:いずこ
ランチパックベスト100
作:クワハリ
【バリ島物売りVSイエスマン】声かけてくる人全員にイエスしか言わなかったら秒で破産しました。
作:バリ島旅行のみかた
【実録】水責め5日間〜鍾乳洞・廃墟・そしてナ●シカ〜
作:safari野郎
3Dスキャナーと3Dプリンターで水中マスクを作ってナマズを獲る
作:YapFab
トミカと都こんぶは少しだけ似ている
作:とりもちうずら
ゾンビとおじさん
作:猪原秀陽
【チョベリグ】令和を生きるウチが90年代のギャルになっちゃったんだけど!?
作:脳乃 あメ
完全理解! 密室殺人のひみつ エドワード・D・ホックから始める密室ミステリ入門
作:くらやみお姉さん
漫画のキャラの地元を特定したい! 〜「明日、私は誰かのカノジョ」ゆあてゃ編〜
作:無限テディベア
快活CLUBのドリンクバーにはアクエリアスがある
作:バームク
"いこか"という動物に、さよならを
作:佐野中庸
「あ~ん」収集と、その観察
作:タイツマソ
プッチンプリンをもてなしたかった。
作:ぬりぼとけ
ベルキューブマリオが走る!跳ぶ!
作:ちくわうし
でっかいアポロが食べたい!!
作:マジ万次郎
じっくりと聴く、まいばすけっとのジャズ
作:JP
T地区
作:室長
走り込みの掛け声はブルガリア民謡に似ている
作:ヒル
【必見】令和の男の新三大たしなみ
作:くもじ
川沿いにあるスピーカーの謎を解いたら洪水との戦いが見えてきた
作:あわうみ

大会総括

みんなみんな、面白すぎる……!!!!! いい記事が多すぎて、もはや総括と言っても、そのぐらいしか言うことがありません。考えてみたらオモコロ杯への応募作だけでメディアが2年ぐらい運営できるんじゃないかという規模になっているので、誰かが声を上げて「オモコロ2」を作れば、一瞬でオモコロの役割は終了するのかもしれません。こりゃ早いもの勝ちだ。子育てが落ち着いたらやってみようか、オモコロを打倒する存在、オモコロ2(ツー)。

そんな疾風怒濤のオモコロ杯2022で、応募作品1000通超えの中から優勝したオグラホロさん、シュゴウさんはもはや偉大すぎてギリシャ神話の神々にも近い存在だと思います。998人を倒すなんて、凄すぎて僕にはできません。本当におめでとうございます。まさに一騎当千、三國無双、猛将伝。

こうした公募企画で拝読できる作品には、あまり多くの時間や視線を経てきていない「丸くなさ」があり、そこが魅力の一つと思います。そのカドのとれてなさは、かつてのオモコロにも多くあったものかもしれず、でも今となってはその「カド」の中に自分の大切なものもあったのかもしれないと思うと、究極的には全ての段階で人はオモコロなのだと思います。いや、オモコロではないだろ。1000記事を読んだことで、ちょっと頭がおかしくなりかけているのかもしれませんが、言いたいことは「カド」があっても全然アリ、とにかく何かをひとつ書き上げたということがこの1000人にとってめちゃくちゃ凄いことであり、人が何かを書き上げるきっかけの一つにオモコロ杯がなれたということであるなら、それは自分にとっても望外の喜びであります。

そして書き手がいるということは、ひとえに読み手あってのものですから、同時に凄いのはオモコロをいつも読んでくれている人ではないか。それぞれにみんながいるこの状態、これがオモコロ。これがオモコロ杯。これ今、かなりやばい精神状態にあります。早く布団に入ろう。人はみな、布団に行き着く。オモコロ杯をご覧になっていただいた皆様、誠にありがとうございました!

オモコロ編集長原宿

審査員紹介

審査委員長
原宿

オモコロ編集長。
好きなブローはボディブロー

ダ・ヴィンチ・恐山

オモコロ副編集長。
好きな凪は夕凪

ARuFa

オモコロ編集部員。
好きな速度は140km/h

かまど

オモコロブロス編集長。
好きなチキンはヤンニョムチキン

宮川サトシ

漫画家。エッセイ漫画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」をはじめ、「宇宙戦艦ティラミス」「ワンオペJOKER」など漫画原作も多数手掛ける。好きな信号機は押しボタン式。

過去の受賞者

オモコロ杯では現在インターネットで活躍している多くのライター達を発掘してきました。その一部を紹介します。