ライターの彩雲と申します。

本日はある問題提起をするために筆を執らせていただきました。

 

これ、塩飴。夏場の塩分補給として買うも多いのではないでしょうか。

なぜ私が「買う」という言葉を強調したかお分かりですか? 分かるというのなら、この記事を読む必要はありません。しかし分からなかった人は、以下の図をご覧なさい。

 

こちらの図を見てもらえれば分かる通り、塩飴を構成する要素はあくまで「塩と砂糖」であるはずです。そして塩と砂糖はだいたいどの家庭にもある。つまり何が言いたいのかというと….…..…………..……..…

 

ということです。

「塩飴くらい」という言い方は全国の塩飴メーカーの方々には失礼かもしれませんが、そう揚げ足をとらないでくれ、私が物申したいのはわれわれ現代人の創造性の欠如についてです。確かに現代は、だいたいのものならお金を出せば入手することのできる時代。しかし文明の進歩にあぐらをかくうちに、私たちはとうとう塩飴をも外注でまかなう境地にまで行き着いてしまったようです。

だって塩飴ですよ。何度も言うようですが塩と砂糖なんですよ。その気になれば作れそうなものじゃないですか。なのに私たちときたら、塩飴を自分で作ろうとしない。それどころか、「塩飴を自分で作る」という発想自体がないように思えます。「自分で塩飴を作るのは面倒だから、店に買いに行こう」と考えることさえできていないのです。売っているから買っているだけ。お笑い種。そのくせ一丁前に映画を観たり、履き心地のいい靴を履いたり、飲食店の季節限定メニューにあれこれ言ったり……滑稽だとは思いませんか。塩飴の一つも作らずして、どうして自分の人生を生きていると言えましょう。私は自分の人生を生きたい。だから今日は塩飴を作ります。夏はまだ終わっていません。

 

しかし、

現実は無謀な勇気をもって立ち向かえばどうにかなるほど生易しいものではない。私はさっそく自宅にあった砂糖と塩を水に溶かし、それを鍋で温めたのち冷やし固めることで塩飴を作ろうとした。飴の作り方など知らないが、そんな感じのことをすれば勘でも作れるだろうという楽観的な考えがあったのだ。だが私の作った砂糖水は待てど暮らせど液体のままで、ついに固まることはなかった。

やはり「塩飴を自分で作る」などというのは大それた夢だったのだろうか。私は自分の、人間の創造性を高く見積もりすぎていたのだろうか。いや、これしきのことでくじけるわけにはいかない! そもそもはじめから何もかも自分でやろうとしていたのが間違いだったのである。歴史に名を残す発明家たちだって、先人の知恵を借りてその功績を成し遂げたのではなかったか。目標を達成するために他者の力を借りるのは何も間違っていないはずだ。

 

そういうわけで私はGoogleで「べっこう飴 作り方」と検索し、出てきたページを読み漁った。その結果、作り方はおおよそ間違っていなかったものの、砂糖の量が少なかったことがわかった。レシピの分量通りに砂糖を入れれば、今度こそ飴は固まってくれるだろう。もっとも既存のレシピを参考にするからには、本当の意味で「塩飴を自分で作る」とは言えないのかもしれない。私は革命家にはなれないのかもしれない。でもいいさ、どっちにしたって夢ばかり見てはいられないんだから。

 

再チャレンジ

改めて、こちらが塩飴作りの材料です。もちろん塩と砂糖。あと水です。砂糖は普通の白砂糖でいいそうですが、なんか家にグラニュー糖があったので使ってみることにします。

 

今回参考にするレシピによると、大さじ2の水に対し100gもの砂糖を加えるとのこと。先ほどの私の作り方ではせいぜい水と同量程度の砂糖しか入れてなかったので、固まらなかったのもむべなるかな(むべなるかな!?!? そんなことを言ってていいのか)。

砂糖と水を計量して鍋に入れたら、そこに塩を加えます。私が調べたのはあくまでべっこう飴のレシピなので、塩の量は自分で決めなければなりません。いわばここに私のセンスが出るわけです。考えた結果、今回はひとつまみの塩を入れることにしました。正直、かなり日和った量であることは否定できません。ですが塩は味が強く、料理に少量加えただけでも仕上がりを左右してしまうもの。ましてや飴は長時間口に含み続けるものですから、万に一つでも塩辛くなりすぎてはいけないという危惧が私を臆病にさせました。しかしこれも、「おいしい塩飴を作りたい」という一心。ここでスプーン山盛り一杯の塩を入れるのはコメディーでもなんでもありません。ただの愚行です。

 

あと、せめてものオリジナリティを出すため、レモン果汁を1滴加えてみることにしました。味を整えるのに加え、レモンに含まれるクエン酸には疲労感軽減の効果があるといいます。まあ1滴だけでは何の意味もないでしょうが気は心です。

 

鍋を火にかけ、砂糖を溶かします。

 

10分ほど熱したところで、きれいな飴色になりました。美しい。この黄金の輝きが、私のやってきたことは間違いではなかったと証明してくれているようです。諦めなくて、よかった。

 

あとは鍋の中身をアルミホイルの上に垂らして、固まるのを待つばかり。常温でも固まるそうですが今は夏場なので、ある程度常温で冷ました後に念のため冷蔵庫に入れておきました。臨機応変とはまさにこのことです。

そして待つこと1時間……

 

ああ、ついに私は、塩飴を自分で作ることに成功したのです。これは人類史に残る快挙と言っていいでしょう。見た目こそ不格好で、塩飴というよりは机の上で固めたのりをはがしたみたいですが、別に売りに出すわけでもないので気にする必要はありません。これは私の創造力と行動力に対する勲章なのです。

 

では早速、試食してみましょう!

 

果たして味は……?

 

どうだ……!? 本当に塩飴なのか…………!?

 

 

そういえば、売ってる塩飴食べたことなかった……(ズコー!)

 

(これで終わりです。信じられないかもしれないが、信じたくないかもしれないが)