こんにちは、アングラ界隈を取材しているみみずくです。

 

突然ですが、みなさんは「デパートメントH」というイベントをご存知ですか?

 

 

デパートメントH2017年6月

デパートメントH 2017年6月のフライヤー

 

デパートメントHは、数十年の歴史を誇る日本最大のアングライベントです。

 

毎月第一土曜日の24時、東京都鶯谷の東京キネマ倶楽部には、ドラァグクイーンやラバリスト、ゼンタイ、着ぐるみなど…ちょっと変わった人たちに加えて、アーティストやカメラマン、普通のサラリーマンといった一般人までが集います。

 

会場にはさまざまなブースが並び、ステージで多種多様なパフォーマンスが披露。

 

 

ドラァグクイーンのレイチェル・ダムールさん

 

 

戦う美女たち(中野貴雄監督のキャットファイト)

 

2017年6月3日に開催されたデパートメントHも大盛況でした。

 

ステージでは、ドラァグクイーンが華麗に舞い、美女たちが争い合う…。

 

そんな中でも注目度が高かったは、みおり舞さんです。

 

 

元バレリーナ・みおり舞が宇宙を演じる

みおり舞さんは、2歳からクラシックバレエを始めてバレリーナとしての道を歩み、2009年の「ローザンヌ国際バレエコンクール」でセミファイナリストに選ばれました。

 

その後、2013年にAV女優へ転身。2016年にはストリップ劇場の老舗「浅草ロック座」でストリップ・デビューしました。

 

確かな実力で人気を博しているみおり舞さんが、今回デパートメントHのステージに初出演! どのようなショーが始まるのでしょうか?

 

 

デパートメントHみおり舞

 

デパートメントHみおり舞

 

宇宙服を着て登場したみおり舞さん。柔軟な身のこなしで、無重力空間を漂う宇宙飛行士を演じます。

 

脚を上げた姿勢でピタリと動きを止めるなど、バレエの技術が決まるたびに、会場のあちこちから感嘆の声が聞こえてきました。

 

 

デパートメントHみおり舞

 

宇宙服を脱ぐと、光り輝く衣装が現れました。

 

みおり舞さんはステージ上を軽やかに舞い踊り、その動きに合わせて光の残像が尾を引きます。

 

宇宙の闇を駆け抜ける流れ星のようでした。

 

 

 

デパートメントHみおり舞

 

光る衣装をも脱ぎ捨てたみおり舞さん。

 

虚空を指差したり、水を飲んだりといったパフォーマンスを交えて踊りながら、キャットウォークの最先端に進みます。

 

再びヘルメットを着用すると、ショーはクライマックスへ!

 

 

デパートメントHみおり舞

 

ステージ中央で、みおり舞さんが手を振ります。

 

ロケットが飛び立って、宇宙空間に一人取り残されたのでしょうか?

 

寂しげな雰囲気が漂う最後のシーンを、観客は全員、息を呑んで見守っていました。

 

 

デパートメントHみおり舞

 

ショー終了後、熱狂的な拍手喝采が。驚きと感動の余韻が、会場を支配しました。

 

“バレエ×宇宙”という新たな世界観を演出したみおり舞さんに、ショー終了後お話をうかがいました。

 

 

みおり舞インタビュー

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ちょうど昨日『日刊スポーツ』に、みおり舞さんを取材した西条昇さんの記事が公開されました。それから『東スポ 裏通りWEB』のインタビューではご自身の過去について赤裸々に語られていましたね。これらの記事をふまえて、もう少しいろいろお聞きできればと思います。まずは、デパートメントH出演のきっかけを教えてください。

 

 

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デパートメントHの主宰者であるゴッホ今泉さんは、ママさんバレエに通われていて、バレエの世界を気に入ってくださっています。そこで、フェティッシュ系の世界にいながらバレエもやっている私の名前が挙がったんだと思います。

 

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ゴッホさんに声をかけられたんですね?

 

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はい。私自身が今、浅草ロック座でストリップをやっているので、その踊りをゴッホさんに見ていただきました。ゴッホさんが私を気に入ってくださって、出演することになりました。

 

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デパートメントH初出演のご感想は?

 

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なんだか、日本にいる感じがしませんでしたね…。

 

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今回は外国人のお客さんも多かったですからね。やはり浅草ロック座とは違った感じでしたか?

 

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浅草ロック座は「70年という伝統」をふまえての表現を求められます。浅草ロック座も少しずつ変わってきましたが、やはり伝統の重みは感じます。それに比べてデパートメントHは、新たなものを求めてやってくるお客さんが多い。だから私も「新しいことをしよう」と思ったんです。

 

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それで、宇宙を演じられたわけですね?

 

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今回は、演目をどうするかかなり迷いました。クラシックバレエをしようか、それともローザンヌでやった作品をやるか…。そんなとき、フライヤーに描かれていた宇宙が目に留まりました。「新しいことをやるなら、宇宙で舞うのがぴったりだな…」と思ったんです。宇宙服を着てバレエを踊る人は見たことありませんでしたし…。

 

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フライヤーに描かれていた宇宙から着想を得たんですね。ところで、宇宙服はご自身で作られたそうですね。衣装だけでなく振付もご自身で担当されているとのことですが、今回の振付の拘りを教えてください。

 

 

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あまりバレエっぽくしなかったことですね。私は自分のバレエの技術を見せるのが好きなんですが、パフォーマンスの中にリアリティーも求めて演じてみました。ロケットが宇宙に飛び立つシーンは階段を揺らして表現したり、ロケットの中にいる感じをパントマイムで表現したり…。

 

 

デパートメントHみおり舞

階段を揺らす演出

 

 

デパートメントHみおり舞

ロケットにいる感じを表現するパントマイム

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もとから宇宙がお好きだったのですか?

 

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そういうわけではありませんが…。宇宙服は着てみたいです!

 

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では、話を遡って、今年3月、みおりさんは新宿ニューアートでバレエの名作「ボレロ」を踊られましたよね。「ボレロをストリップとして演じよう」と思われたきっかけは何ですか?

 

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もともと自分の中に「ボレロ」のレパートリーはありませんでした。実際に踊るまでは、ほとんど見たことがなかったくらいで…。ボレロを踊る際、真ん中のダンサーと周りのダンサーとの距離感が重要になります。新宿ニューアートの丸い円盤の舞台に通じるものがあり、ボレロを踊ることを決めました。

 

 

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「ボレロ」を踊ってみてのご感想は?

 

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伝説のバレリーナ、シルヴィ・ギエムに“On Stage, I am free.”という言葉があります。楽日に、私は舞台でこの言葉を掲げました。そうすることで「誰にどう言われても私はただ表現するだけだ」と改めて思いましたね。

 

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「ボレロ」を演じた後、みおりさんに何か変化はありましたか?

 

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『日刊スポーツ』や『Yahoo!ニュース』に記事を載せていただいたり、デパートメントHのようなイベントに呼んでいただいたりするきっかけになりました。それから、「『ボレロ』をやっていたみおり舞さんだ」という形で声をかけていただくことも多くなりましたね。

 

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更に話は遡って、初めてストリップを鑑賞されたとき感動されたそうですが、具体的にはどのような点に感動されたんですか?

 

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演出が斬新でした。「ベッドシーンではエロさを最大限に出す」といった見せ方が本当に素晴らしい。ストリップは「上手い」「下手」を越えたところに魅力があるんです。

 

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みおりさんご自身も「エロさをどうやって出すかを計算している」とおっしゃっていますが、エロが本当にお好きなんですか?

 

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そうですね。セックスも頻繁にやっています!

 

 

 

デパートメントHみおり舞

キャットウォークで見せる見事なバランス

 

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エロといえば、みおりさんは『ぽこ×たて』でも“ドM”と公言されていましたね。『東スポ 裏通りWEB』の記事によると、ドMになったのは「ツラいと思ったらツラいことが楽しいと思え」とバレエの先生に教わったから、とありましたが…。

 

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それは結構ありますね。今でもツラいことが好きですし…。そもそも私はあまり寝ないんです。とにかく寝ないでがんばるので、周りからは“体力モンスター”と言われています。「がんばるのがとにかく好き」というわけでありませんが、最大限にがんばった方が自分に悔いがないかな…と思って行動しています。

 

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みおりさんの姿勢は、西条さんの記事からもうかがえました。一方で、『東スポ 裏通りWEB』の記事では「エロいことが大好きだからAV女優になった」と書かれています。これはみおりさんの本心ですか?

 

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手っ取り早かったというのがありますね。「AVでそこまで稼げない」といわれますが、好きなことで稼げるというメリットは、私にとってAV女優を最良の選択肢にしたんです。

 

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バレエというと硬派なイメージがあります。みおりさんがAV業界に入られる際、周りの人たちからの反対はありませんでしたか?

 

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めちゃめちゃありました! この業界に入ってからは、バレエの先生にまだ一度も会っていませんし…。でも、浅草ロック座に出演するようになってから、ストリップを観に来てくれた人たちとは和解できました。

 

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浅草ロック座は和解のきっかけにもなったのですね…。ところで、西条さんの記事には「とりあえず有名になるためにAVの世界でがんばってみよう」と書かれていましたが、みおりさんは有名になって何をなさりたいのですか?

 

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まちおこしをしたいですね。

 

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えっ!? まちおこし?

 

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私は以前、小学校などの芸術鑑賞会でも踊っていました。そういう場で子どもたちと接したとき「子どもたちが表現すること」に貢献できたらいいな、と思ったんです。ほかにも、困っている人たちがいれば力になりたいですし、それこそ「浅草ロック座が本当にヤバいかも!?」となったときに手助けできる存在になりたいです。

 

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実際にお話をうかがうと、とても立派な志で活動されていることがわかりました。では最後に、今後デパートメントHからまた出演依頼があれば出演したいというお気持ちはありますか?

 

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かなりあります! ぜひまた出られれば!

 

 

 

デパートメントHから更なる飛躍へ

デパートメントHみおり舞

 

みおり舞さんは、前衛的なショーでデパートメントHに新風を吹き込みました。

 

こうした新たな挑戦の背景には、誠実な人柄と真摯な生き方があります。

 

インタビューを通して、みおり舞さんが多くの人たちに愛される理由がわかりました。

 

デパートメントH初出演をきっかけに、みおり舞さんは更なる飛躍を遂げることでしょう。今後がとても楽しみです!

 

■デパートメントH http://ameblo.jp/department-h/

■みおり舞オフィシャルブログ http://blog.livedoor.jp/miorimai/

■みおり舞Twitter https://twitter.com/miorimai