こんにちは、ライターのギャラクシーです。

みなさんはヒューゴー賞、ネビュラ賞という文学賞をご存知でしょうか。

 

・ヒューゴー賞=前年に発表されたSFやファンタジー作品に対して、ファン投票で送られる賞

・ネビュラ賞=前年に発表されたSFやファンタジー作品に対して、アメリカSFファンタジー作家協会が授与する賞

 

この2つは別の機関が行っている賞なので、当然「2つとも受賞」するケースがあります。それを『ダブル・クラウン』と呼び、超おもしろいことが保証されてるSF、というわけです。

 

今回はそんな『ダブル・クラウン』作品の中から、「長編小説部門」に絞って紹介すると共に、Kindle化されているのかを調べてみました。

 

※Kindle化されているものは、タイトルの前に○、されていないものは×を記載しています

※データはすべて2017年7月のものです

 

 

【×】1966年 フランク・ハーバート 『デューン/砂の惑星』

 

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混迷を軸にした壮大なドラマが展開される。

Wikipediaより抜粋

 

※最初からいきなりKindle化されてませんでした。上記の文庫版は上中下巻があるので購入の際はご注意を(「中」忘れがち)

 

 

 

【×】1970年 アーシュラ・K・ル=グウィン 『闇の左手』

 

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))

 

あらすじ

惑星「冬」の住人は両性具有であり特異な社会を形成していた。 両性具有は過去の遺伝子操作の実験によるもので、先遣の調査隊員は、その実験目的を戦争の排除ではないかと考察している。
使節ゲンリ―・アイは、カルハイド王国と紛争中の隣国オルゴレインを訪れ、歓待されるが、派閥争いに巻きこまれて逮捕され、囚人として更生施設へ送られた。極寒の氷原を抜け、カルハイド王国への帰還を目指す。

Wikipediaより抜粋

 

※こちらもKindle化されていませんでした

 

 

 

【×】1971年 ラリー・ニーヴン 『リングワールド』

 

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

 

あらすじ

2850年、ある恒星をリング状に取り囲む巨大な謎の人工構造物「リングワールド」への探検隊が組織された。選ばれたのは2人の人類と2人の宇宙人である。しかし探検隊の宇宙船「うそつき野郎号(ライイング・バスタード)」は、リングワールド上に墜落してしまい、彼らは宇宙に戻るための方法を探さねばならなくなった。そして、リングワールドの住民がテクノロジーを失うことになった原因を知ることになる。

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化どころか、古本しかありませんでした。大丈夫かこの記事

 

 

 

【×】1973年 アイザック・アシモフ 『神々自身』

 

神々自身 (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

パラ宇宙との電子交換により、無公害無尽蔵のエネルギーを得られる夢の動力源「エレクトロン・ポンプ」(一種の永久機関)。ポンプの隠された危険性を訴える若き物理学者ラモントとデュア。果たして危険性の証拠と、その解決策はあるのか?

Wikipediaより抜粋

 

※こちらも古本しかありませんでした。アシモフと言えばおそらく世界一有名なSF作家だと思うのですが……

 

 

 

【○】1974年 アーサー・C・クラーク 『宇宙のランデヴー』

 

宇宙のランデヴー〔改訳決定版〕

 

あらすじ

西暦2130年、人類は宇宙に謎の物体を発見、それは円筒型をした疑いようもない人工の建造物だった。ヒト以外に、この宇宙に知的生命体が? 探査に向かったチームがそこに見たのは、想像を絶する科学力だった。果たしてこの船の住民たちは、どんな生物なのか……

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化されてました! やっと! ちなみにこの作品、のちに「2」以降も出たんですが、「1」だけで十分に完結しててめちゃめちゃおもしろいです。ていうか「2」以降は考えないでください

 

 

 

【×】1975年 アーシュラ・K・ル=グウィン 『所有せざる人々』

 

所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

二重惑星アナレスとウラス。一人の男がアナレスを離れウラスへと旅立った。2つの惑星の間に存在する壁を壊すために……そして全宇宙をつなぐ架け橋となる一般時間理論を完成するために。

 

※Kindle化されてませんでした

 

 

 

【×】1976年 ジョー・ホールドマン 『終りなき戦い』

 

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))

 

あらすじ

超光速航法を発見した人類は、その活動の幅を宇宙へと大きく広げていた。だが謎の異星人に宇宙船を攻撃されたことに端を発し、戦争に突入。主人公が一つの戦いから帰還するたびにウラシマ効果によって数十年が経過し、家族や知人は次々と世を去っている。それでも彼は戦い続けるのだった……

 

※Kindle化されてませんでした

 

 

 

【×】1978年 フレデリック・ポール 『ゲイトウェイ』

 

ゲイトウエイ (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ
金星付近の小惑星で発見された千隻あまりの宇宙船―この船を使えば、人類の念願の恒星間飛行が可能となる。だが、操縦方法は皆目わからなかった。目的地も、要する時間も、エネルギー残量もわからぬ状態で飛び立つしかない。行手に待つものは死か、それとも、富を約束する未知の惑星か……。

 

※古本しかありませんでした

 

 

 

【×】1979年 ヴォンダ・N・マッキンタイア 『夢の蛇』

 

夢の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

蛇の毒素から抗体をつくって病人を癒す〈治療師〉の女性、スネーク。治療のために必要な蛇を手に入れるべく、核戦争の爪跡も消えやらぬ荒野に旅立つが、その行手には何者かの邪悪な影が……

 

※古本しかありませんでした

 

 

 

【○】1980年 アーサー・C・クラーク 『楽園の泉』

 

楽園の泉

 

あらすじ

地球と宇宙空間とを結ぶ、4万キロにおよぶ〈宇宙エレベーター〉―この壮大な夢を胸に、地球建設公社の技術部長ヴァニーヴァー・モーガンは、赤道上に浮かぶ美しい島国、タブロバニーへとやってきた。自らの夢の実現に向かって突き進む天才科学者の姿を見事に描く

 

※Kindle化されてました。1974年に続く2度めのダブル・クラウン。アーサー・C・クラークは、アシモフ、ハインラインと並んでSF界のビッグスリーと呼ばれる有名作家。「2001年宇宙の旅」の作者です。

 

 

 

【×】1984年 デイヴィッド・ブリン 『スタータイド・ライジング』

 

スタータイド・ライジング (上) (ハヤカワ文庫 SF (636))

 

あらすじ

知性化されたイルカをメインクルーとする外宇宙船〈ストリーカー〉が銀河辺境を訓練航行中、一隻が月ほどもある巨大宇宙船団の遺跡を発見。この接近は種属間に計り知れない影響を与えるため、列強諸属はその情報を独占すべく、艦隊を出動させた。追われる〈ストリーカー〉は逃走中にダメージを受け、海洋惑星キスラップの海底に潜伏、逃走を図るが……。

Wikipediaより抜粋

 

※古本しかありませんでした。壮大な4部作(知性化シリーズ)の2作品目にあたります。また、この作品自体も上下巻に分かれています。

 

 

 

【○】1985年 ウィリアム・ギブスン 『ニューロマンサー』

 

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

サイバネティクス技術と超巨大電脳ネットワークが地球を覆いつくす近未来。 「マトリックス」と呼ばれる電脳空間(サイバースペース)にジャック・インして情報を盗み出すハッカー、ケイスは、脳神経を焼かれてジャック・イン能力を失い、ドラッグ浸りのチンピラ暮らしを送っていた。そんな彼の元に、謎の男から依頼が。ジャック・イン能力の修復を代償に、マトリックス空間で最も「ヤバい」コンピュータ複合体へ潜入しろという内容だった。

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化されてました! サイバーパンクの代表的作家ですね。この作品は、これだけでも完結していますが、『カウント・ゼロ (ハヤカワ文庫SF)』、『モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)』へと続く「電脳」三部作(スプロール・シリーズ)の一作目でもあります。

 

 

 

【○】1986年 オースン・スコット・カード 『エンダーのゲーム』

 

エンダーのゲーム〔新訳版〕(上)

 

あらすじ

異星人バガーによる太陽系への侵攻を退けた人類は、次の侵略に備えるため、バトル・スクールと呼ばれる施設を設置し、「戦いを終わらせるもの」を養成することに決定した。運命の子エンダーは、天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補としてわずか6歳でバトル・スクールに編入、優秀な子供たちの中でも桁違いの成績を残し、成長していく。

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化されてました! 2013年に映画化されたので、タイトルをご存じの方も多いのでは。壮大なエンダーシリーズの1作めにあたり、この作品自体も上下巻に分かれています。

 

 

 

【○】1987年 オースン・スコット・カード 『死者の代弁者』

 

死者の代弁者〔新訳版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

あらすじ

エンダーによる異星種族バガーとの戦いから3000年後、銀河各地へと植民地を広げていた人類は、ついに第二の知的異星種族と遭遇した。そのころエンダーは、姉ヴァレンタインとともにトロンヘイム星を訪れていたが……。

 

※Kindle化されてました! 前年にダブル・クラウンを獲得した『エンダーのゲーム』の続編にあたります。ヒューゴー/ネビュラ両賞の歴史上、2年連続でダブル・クラウンを達成したのはオースン・スコット・カードのみです

 

 

【○】1993年 コニー・ウィリス 『ドゥームズデイ・ブック』

 

ドゥームズデイ・ブック(上)

 

あらすじ

過去への時間旅行が可能となり、歴史研究者は専門とする時代をじかに観察することができるようになった。オックスフォード大学史学部の史学生キヴリンは実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった……はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化されてました! ブライダル雑誌みたいなカバーイラストですが、おもしろいです。

 

 

 

【×】1998年 ジョー・ホールドマン 『終わりなき平和』

 

終わりなき平和 (創元SF文庫)

 

あらすじ

神経接続による遠隔歩兵戦闘体での戦いが日常化した近未来。連合国は中米の紛争に対し、絶大な戦果をあげていた。一方、木星では軌道上に想像を絶する規模の粒子加速機を建造し、宇宙の始まりを再現する実験に乗り出していた。

 

※古本しかありませんでした。1976年にダブル・クラウンを達成した『終わりなき戦い』と同じ作者でタイトルも似てますが、特に続編というわけではありません

 

 

 

【×】2008年 マイケル・シェイボン 『ユダヤ警官同盟』

 

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)

 

あらすじ

1948年、イスラエルはアラブ諸国との戦争に敗れ、ユダヤ人達は再び放浪の民になってしまう。そうした中、エマヌエル・ラスカーという偽名でザメンホフ・ホテルに宿泊していた若者が他殺体となって発見される。従兄弟同士で同僚でもあるマイヤー・ランツマンとベルコ・シュメッツが事件の捜査を始めるが、物語は意外な方向に展開していく。

Wikipediaより抜粋

 

※古本しかありませんでした。歴史改変もののSFです

 

 

 

【○】2010年 パオロ・バチガルピ 『ねじまき少女』

 

ねじまき少女(上)

 

あらすじ

石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来。工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見の果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。この出会いが、世界の運命を大きく変えていった。

Wikipediaより抜粋

 

※Kindle化されてました! 今回はヒューゴー/ネビュラのダブル・クラウンに限定して紹介していますが、他にもローカス賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、星雲賞(日本の有名なSF文学賞)を総ナメにした作品です

 

 

 

【○】2011年 コニー・ウィリス 『ブラックアウト』『オールクリア』

 

ブラックアウト

 

オール・クリア1

 

あらすじ

2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。ところが、現地に到着した三人はそれぞれ思いもよらぬ事態にまきこまれてしまう。

 

※Kindle化されてました! この2作品は続きものになっているため、2つ合わせての受賞です

 

 

 

【×】2012年 ジョー・ウォルトン 『図書室の魔法』

 

図書室の魔法 上 (創元SF文庫)

 

あらすじ

15歳の少女モリは精神を病んだ母親から逃れ、親族の意向で女子寄宿学校に入れられてしまう。周囲になじめないモリは大好きなSFと、自分だけが知る魔法やフェアリーの秘密を支えに生きてゆこうとする。1979~80年の英国を舞台に、読書好きの繊細な少女が綴る青春の日々

 

※Kindle化されてませんでした。SFというか、ファンタジー小説ですね。ここまでSFばかりダブル・クラウンを達成してきましたが、ヒューゴー/ネビュラ賞はファンタジーの賞でもあります(ハリー・ポッターもヒューゴー賞を受賞してます)

 

 

 

【○】2014年 アン・レッキー 『叛逆航路』

 

叛逆航路 〈叛逆航路三部作〉 (創元SF文庫)

 

あらすじ

はるかな未来。強大な専制国家ラドチは人類宇宙を侵略・併呑して版図を広げていた。その主力となるのは宇宙艦隊と、艦のAI人格を数千人の肉体に転写して共有する生体兵器“属躰(アンシラリー)”である。主人公は任務で裏切りに遭い、ただ一人の属躰となって生き延び、復讐を誓う。

 

※Kindle化されてました! ヒューゴー、ネビュラだけでなく、ローカス賞、英国SF協会賞、クラーク賞など、史上初の9冠を達成した作品

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか。

いずれ劣らぬ名作ばかり。帰省する新幹線の車内や、やることがない実家で、遠い宇宙の彼方や遥かな未来に思いを馳せてみては?

 

個人的には、学生の頃に読んで、冒頭からラストの有名な一文まで、終始ドキドキワクワクした『宇宙のランデヴー』をおすすめします。

 

 

(おわり)