「あぁ今すぐグリーンピースごはんが食べたい」突然そう思ったので作ることにした。会社で。

 

我慢が出来なくなって急いでスーパーに行ってグリーンピースを買った。もちろん勤務中だ。

 

その時の僕はグリーンピースごはんを作るのも仕事だと信じてやまなかったし、それくらいグリーンピースごはんに夢中だった。

 

 

 

研いだ米に、さやから出したグリーンピースと塩・酒・昆布を入れる。

 

 

 

 

あとは炊飯器のボタンを押して、炊き上がるのをひたすら待つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリーンピースごはんの完成だ。

 

たぶん最後に食べた記憶は、小学校の給食の時間だったと思う。

 

元々白米が好きだった僕は、パンの日よりもごはんの日の給食が楽しみで仕方がなかった。更にグリーンピースごはんの日はもっと喜んでいた記憶がある。

 

 

 

 

久々に食べたグリーンピースごはんは、米の甘みと豆の甘みが相まって非常に美味しく感じた。

 

茶碗の中のグリーンピースごはんをかきこむと「やっぱりこの味が好きだな〜」と19年振りに再確認したのだった。

 

 

そして、せっかくなので会社の同僚にも食べてもらおうと思った。

 

みんな「懐かしい〜」なんて言いながら食べてくれるはずだ。

 

 

 

 

「グリーンピースごはん作ったんで、どうぞ!」

 

 

 

 

「うわ〜〜〜〜いらんっ!グリンピース死ぬほど嫌いだし。これってごはんに入れる必要ある?この料理って食感、味、匂い、すべてが逆にパーフェクトじゃない?給食でめっちゃ出てきた時は食べながら舌の裏に貯蔵して、一気に飲み込む技を身に着けたくらい嫌いだわ」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

「あの、グリーンピースごはん作ったんで、どうぞ!」

 

 

 

 

「いらん!豆が無かったら食うわ」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

「イ゛ヤ゛ァ゛ァ゛ァ゛〜〜〜〜!!!」

 

 

 

 

ふと横を見ると、社員がみんなで集まってランチを食べていた。

 

どうやら今日はマックをデリバリーで頼んだらしい。たしかにハンバーガーは美味しい。世界中に幾千万もの店舗を構えている店の食べ物なんだから美味しいに決まってる。

 

でもグリーンピースごはんだって負けていないはずだ。豆の力をナメんな。

 

 

 

 

「すいません、さっきグリーンピースごはん作ったんで」

 

 

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

(おわり)