「いやぁ、今にして思えばウチの会社、新人研修の時からヤバかったんだよな……」

「そうなの? あの時は良い会社だって言ってたじゃない」

「若くてやる気があったから、色々と気付かないフリしてたのかもな……」

「新人研修で山に行ったんだけどさ……」

 

 

 

「新人クンにビジネスで一番大事なことを教えてあげよう」

「は、はい!」

 

「それは大きな声での挨拶だよ」

「なるほど! 勉強になります!」

「だから、今から大声で挨拶の練習だ」

「は、はい!」

 

「おはようございます!!!」

「おはようございます!!!」

「おはようございます!!!」

 

 

 

 

~2時間後~

 

「よろしくお願いします!!!」

「よろしくお願いします!!!」

「よろしくお願いします!!!」

 

 

 

~5時間後~

 

「失礼いたします!!!」

「失礼いたします!!!」

「失礼いたっっ、ゴホッ!! ン”ン”!!」

「(さすがにノドが枯れてきた……)」

 

 

「あの、すみません……。これ、いつまでやればよろしいのでしょうか?」

 

 

「やだなぁ、田中くん。挨拶は一人じゃできないでしょ?」

「誰かから挨拶が返ってこないと、挨拶が終わったことにはならないよ?」

「は、はあ……」

「(俺以外にはアンタしかこの場にいねえだろ……)」

 

 

「ありがとうございます!!!」

「ありがとうございます!!!」

「あ”り”がど”っっ……ゴホッゴホッ! ン”ン”ン”!」

「ダメだ……、もうノドが………」

 

 

「ん? 誰がやめていいって言いましたっけ?」

「(こいつ、マジか……)」

 

「お疲れ様でした!!!」

「ご苦労様でした~」

「お疲れ様でした!!!」

「ご苦労様でした~」

 

「?!」

「今どこかから返事が……?」

「ふふ……」

 

 

「ごらん、田中くん。あそこからだよ」

 

 

「ご苦労様でした~~~」

 

「やまびこだよ」

「弊社ではね、やまびこから返事が返ってくるまで挨拶をするのが新人研修なんだ」

「キミも聞こえたね? よろしい、合格だ!」

 

 

 

 

「くそっ! あの時に辞めてればよかったぜ!」

「それは……、実際そうだな……」

「聞こえちゃったアンタもおかしいわよ」

「まあでも俺も人のこと言えねえか……」

「あんな会社で働いてるんだからな……」

 

 

 

 

あれは俺が上司に承認を得るための、稟議書を書いていた時のこと……

 

「よし、後はハンコを押して、と」

「いや待てよ。あの部長、ハンコをお辞儀させないと怒るかもしれないからな…」

 

 

「これでよし!」

 

 

「部長、こちらの件について、承認を頂きたいのですが……」

「ん~~? どれどれ?」

 

 

「キミねえ!! こんな書類じゃ目上の人に失礼だよ!!」

「えっ?!」

「礼儀が欠けてるよ、キミぃ!」

「いや、でも、こうやってハンコでもお辞儀してますし……」

 

「そういう小手先の敬意が人を舐めてると言っとるんだ!!!」

「……はあ」

私がふさわしい書類を用意する。今後はそのフォーマットに倣うように」

「まったく……。部下の教育ができてない、と怒られるのは私なんだぞ」

「……申し訳ありません」

 

 

 

「ほら、これを使いたまえ」

「ひとつひとつに心を込めて判を押すようにね」

 

 

「………」

 

 

今では稟議書1枚通すのに、腱鞘炎になりそうな毎日だよ……

 

 

 

 

「あのクソ上司、今に見てろよ……」

「まあまあまあ」

 

 

「『まあまあ』じゃない!!」

「アンタみたいな草食男子が世の中をダメにしてるのよ!!」

「ちょっと~、墓々姉さん飲み過ぎじゃない? 絡み酒過ぎ~」

「全然飲んでないわよ! アンタたちがあまりに軟弱だから怒ってるのよ!」

「私は味わったのよ、あの地獄をね……」

 

 

 

 

あの日も私は残業中だったわ……

 

 

「むむっ」

 

 

「頑張ってますなぁ! 墓々鮫選手!」

 

 

 

 

「あ~、出た。ボディタッチね。最悪よね、ホントに」

「話はそれだけじゃないのよ……」

 

 

 

「いやぁ~、本当に墓々鮫選手は優秀ですなぁ」

 

 

「上司としても鼻が高いですゾ」

 

 

「お疲れサン♪♪」

 

 

「ポ、ポテサラ?!!」

 

 

 

 

 

「あのさ、さっきからなんかウソついてない?」

 

 

 

「事実よ……」

「そして何より恐ろしかったのが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまっ」

 

 

 

 

「絶品だったのよ、そのポテサラ……」

 

 

 

 

「マジで何の話?」

「ウソっぽいというか、一人だけなんか毛色が違うんだよなぁ…」

「みんなで無視しましょう」

 

 

 

「はぁ~~~」

「どうしたの? 疲れ目?」

「まあ、疲れ目というか……」

「実は今日のことなんだけど……」

 

 

 

 

「どうぞ~」

 

来客時のお茶汲みをしてたら……

 

 

「むむむむむっ!!!!」

 

クソ上司に見つかっちゃって……

 

 

「貴様、何ださっきのお茶汲みは……」

「何だ、とはなんでしょう……?」

 

 

 

「私に恥をかかす気か!!!! お茶汲みのマナーを知らんのか!!!」

「茶碗と茶托は別々にお盆に乗せろ!! サイドテーブルかテーブルの下座に盆を置け!!! お客様の右側から差し出せ!!! 退出時はお盆を左脇に抱えろ!!! お茶の熱さは70~90度!!!」

 

 

「声が小さい!!! 笑顔が嘘くさい!!! カーディガンを肩がけするな!!! マニキュアするな!!! 化粧が厚い!!! 髪の色が明るすぎる!!! パーマをかけるな!!! 図に乗るな!!! 調子こくな!!! 私の生え際を盗み見するな!!! やってること全て間違ってると思え!!!」

「は、はあ…。すみません……」

「喋るな!!!」

「………」

「………」

 

 

 

 

 

「まばたきするな!!」

 

 

 

 

 

「ちょっと職場でのまばたきを禁止されたせいで、目が疲れちゃってさ……」

 

 

「よかったらこれ使う?」

 

「ガンダムの目薬?」

 

「ちょっとお借りするわね」

 

 

「くぅぅぅぅ~~~~~!!!! これこれこれ~~~!!!」

「さいっこぉぉぉ~~~!!」

 

 

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なんと!!

現実に存在するぞ!!! こいつぁすごい!!!

 

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最後に

 

 

※当記事はブラック企業や違法な勤務体系を推奨するものではありません。

 

 

彼らは全員ブラック企業を退職し、街で評判のサンドイッチ屋さんとなったそうです。

 

 

~架空fin~