私の髪は、割とすごい方の天然パーマである。

 

初対面の人からはほぼ確実にパーマをあてていると思われ、その度に「これ地毛なんですよぉ〜」「えっ!絶対ウソでしょ!」「いやほんとにほんとに」「触ってもいいですか?」「はい」「あ!案外柔らかいんですねえ〜」みたいなやりとりで早い段階から距離を縮めることが出来る。思春期真っ只中にはコンプレックスしか抱いていなかったものの、今では最大限活用させてもらっている立派な個性だ。ちなみに前述のやりとりは今までで200回ぐらいやった気がする。

 

そのビジュアルは珍しく映るのか、通りがかりの赤ん坊やお子様から猛烈な熱視線を浴びることもよくある。この前は幼女が指をさして笑ってきたこともあった。この仕打ち、並の人間だったら自殺していると思う。

 

そんなある日、こんな事があった。ここから表題の件。

 

私は、通勤の際に自宅から駅まで少し距離があるので自転車を使っている。朝、いつも通り颯爽と自転車で下り坂で「風」になっていたところで、前方に同じ方向に進んでいる小学生の群れがいた。私の存在には気づかず、わちゃわちゃしながら歩いている。物理的に幅を利かせていて素通りするのも難しそうだったので、少し速度を落とす。

 

その時に、群れの一人のハーフ男子小学生がこちらに気付いてくれ、道を譲った。

 

しかし彼と目が合った瞬間、「Aflo!」とネイティブな発音で叫んだ。「アフロ」である。あの、髪を大きく膨らませ丸い形にした、あの、あれ。アース・ウインド&ファイアーのモーリス・ホワイト、「ボブの絵画教室」のボブ・ロス、昔の鶴瓶のあれ。

 

いやさ、確かにさ、普通の髪型からしてみりゃアフロだけどさ、あんなに真ん丸じゃなくない?そこまでではなくない?言って「もじゃもじゃ」じゃない?おこがましいよ、これでアフロなんて言うのは。

 

あと、思ったことを口にするのは大事だとは思うけど、これは完全に悪いケースだから。それ通りがかった黒人に対して「黒焦げだ!」って言ってるのとほぼ同じだよ。普通は言わないじゃん。この髪型だってそうだよ。いきなり知らん子どもから目が合って1秒で「Aflo!」て言われたらそりゃいい気はしないよ。頼む。子どもだからって何言っても許されるわけじゃない。そういうところは分かっていて欲しい。日本人としての奥ゆかしさを。

 

あと、お前も俺と同じぐらいもじゃもじゃだったからな。同士だろ。

 

 

 

 

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