友人にMという男がいる。

こいつは俺が出会った人間の中でもずば抜けたコミュ力オバケというか、いわゆる「人たらし」であり、高速道路で渋滞に巻き込まれた時は「おっ、前の奴ら楽しそうやな」と言い車を降りて前の車に乗り込みそのまま大盛り上がりしたり、家に新興宗教の勧誘が来た時は打ち解け家に何度も通わせ最終的に自分に寝返らせたり、全然知らないオッサンを道端で拾って来て飲み会に現れそのまま混ぜたりと、やりたい放題の男だ。

そんなMはデリヘルを呼べば、持ち前の怪物のようなコミュ力でやって来たデリヘル嬢さんと意気投合しそのまま友達になる始末。

おいおい…相手はプロぞ。

仲良くなれそうでなれないものじゃないのか。
知らんけど。

一体どんなテクニックを使っているのかと聞けば
「えっ?普通に一緒に楽しく過ごしたら仲良なるやろ」
とケロリと言う。

おい…なんかカッコイイっぽいぞ…

 

ある日そんな感じで仲良くなったデリヘル嬢が、翌日呼んでもないのに家にやって来たらしい。

「えっ…その子何しに来たん?」

「なんや料理作ってくれる言うて、スーパーの袋下げてたわ」

「何作ってくれたんや」

ごんぼさんと人参たいたやつ(ゴボウと人参の煮物)」

「異様に家庭的やな…」

想像して欲しい。
家の前に立つデリヘル嬢。
彼女達はプロフェッショナルである。
夢を見せるプロフェッショナル。
彼女達が提供するのは非日常であり、一級の性的ファンタジーなのである。
そんな女性がスーパーの袋が下げて立っていて、袋からはごんぼさんがはみ出している…

 

おい…

 

なんかすごく良いぞ…!?

 

デリヘル嬢が煮たごんぼさん(ゴボウ)。
古代中国の皇帝が探し求めた幻の料理感すらある。

 

Mはある時、また違うプロフェッショナルと良い仲になっていたのだけど、
その子が働いているお店というのがまた特殊で
「電車内を模したスペースで立っている女性たちを痴漢し、その中で気に入った子とプレイルームに行く」
というどうしようもないスタイルで大好評を博していた。

店名も「電◯でGOGO!」というこれまたどうしようもないやつだったと思う。

 

そのような仕事に従事しているプロフェッショナールな女性と深い仲になるというのは、一体どういうものかいなと、好奇心と若干の、いや、嘘だ。全開の「エロい話が聞けるのでは」という気持ちで聞いてみた。
主にテクニック的な意味で。
やっぱ「駆け込み乗車はオヤメくださいッ」とか言い合ったりしチャウんだろうか。そこんとこ詳しくお願いします。

 

「その子、どんな感じなん」

「せやなあ。ええ子やけど、まあ、なん言うか…職業病言うんかなあ」

 

来た来た。
どんな話が飛び出すのか、ハイボールで喉を潤し身構える。

 

「職業病?えっ、それはどういう…!!」

「勤務中、ずっと吊り革持って立ってるやろ?だからなんかなぁ…手の平カッチカチや

 

誰がそんな話聞きたいねん。

 

 

大阪にお越しの際は是非遊びに行ってみて下さい。

 

 

 

 

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