底上げ弁当とは、物価高を生き抜くためにコンビニ各社がやむなく履いたシークレットシューズである。
国民に蛇蝎の如く嫌われており、なんなら蛇と蝎にも嫌われている。

まるで地殻変動で山脈が形成されるかのように弁当容器は日ごと盛り上がり、昨日までひじきが入っていた穴が今日にはなくなる。先ほどの写真は一部誇張してはいるが、このようなことが実際に起こっているのだ。
全ての人間がちょっとお腹空いているので、それに対して声をあげる気力も湧かない。

だから私が抗うことにした。

底上げ弁当の逆、底なし弁当を作ることによって。

 

 

【無限】底上げ弁当の逆、底なし弁当を作ろう

TOKIOがラーメンを作るために畑を耕したように、底なし弁当作りはを組み立てることから始まる。

 

発泡スチロール板の中央に弁当容器サイズの穴を開け、これに脚を装着する。
今回の記事で外の風景が映るのはこれで最後である。

そこにあらゆる手段を用いて底を深くした弁当容器を装着すれば、

底なし弁当容器の完成だ。

『スケベ椅子と対をなす存在、わいせつくえ』とでも言うべき形状になってしまってはいるが、これで準備は整った。

 

 

あとはこいつらを、詰めるだけだ。

体感で言うと無限分ほどパックごはんをチンし続け、弁当容器に詰めていく。その上に海苔を貼る。この繰り返し。

今回の記事のために使った食材は無駄にせず、全て食べることをここに誓います。
本格的に食品を扱い始めたこのタイミングでそう誓うことは、なにも自己保身のためではない。目の前の光景と似たようなものが炎上展の目玉展示になっていたことを思い出して冷や汗が止まらなくなったからでも、ない。すべては、この記事に目を通してくださっているあなた方のご気分を慮ってのことなのだ。
先ほど私はこの底なし弁当箱の特徴的な形状を『スケベ椅子と対をなす存在、わいせつくえ』と形容した。食べ物と性的な表現を掛け合わせることは禁忌とされているが、今回のケースで私が『スケベ椅子と対をなす存在、わいせつくえ』と例えた対象はあくまで『弁当容器』であり、禁忌にはあたらない。そう判断し、掲載に踏み切った。とはいえ、ここはすごく多くの人が集まるWebサイト、オモコロ。すごく多くの人が集まるということは、すごく多くの感性が集まるということ。ライターの末席を汚す私の記事といえども、すごく多くの感性を集めることになる。少なからぬ方が、弁当容器を『スケベ椅子と対をなす存在、わいせつくえ』と例える行為を不快に感じたかもしれない。そういった方々にこれ以上不愉快な気持ちになってほしくない。愉快な気持ちで記事を読み進めてほしい。そういったまごころから、私はこのタイミングで誓いを行ったのだ。熱心な信仰を持たない私ではあるが、あなた方が望むのであれば私は、『幽霊列車とこんぺい糖:メモリー・オブ・リガヤ 文庫版』に手を置いて以下のように宣誓することすら厭わないのである。
『今回の記事で扱った食材は、あとで私がおいしくいただきました』
と。

 

 

ここで問題が発生した。

ごはんの嵩が一向に増えないのである。

積み上げたごはんの自重により、底のごはんが無限に圧縮されているためだ。
そこで私は『底なし弁当容器の底を上げる』という自己矛盾性を孕んだ代替案を決行することとなった。

【図解】

 

これ以上ごはんを詰めると(冷凍保存を加味しても)自分が楽しんで食事を行える許容量を超過してしまうし、白米のブラックホールが誕生してしまうかもしれない。だからこれでよかったのだと思う。この選択をした方が私は私を好きになれる気がする。

 

何はともあれ詰め終えたごはんにシャケを穿つ(真ん中のとこに)。
同様の工程を卵焼き、たくあんについても行うと、

完成した。

底上げ弁当の逆、底なし弁当が。革命の旗印が。
側から見るとそれは何の変哲もないシャケ弁当に見える。しかし、表面下には全てを破壊してしまえそうなエネルギーが渦巻いている。

 

底なし弁当を、食べる

それでは早速

いただきます

一層目を食べても、

何もなかったかのように次の層が顔を出す。

食べても、

食べても、


※海苔は貼り直しました

さすがに冷凍しても、

無くならない。

食べているというよりは、落下しているという感じがする。
素朴な味も我ながらいい感じだ。当たり前に冷めてはいるが、冷めても美味しいのが弁当なのである。
塩鮭たくあん卵焼きという弁当のクリシェとでも言うべき具材チョイスが功を奏した。


とはいえ、たくあん一本を丸齧りしているときは背中の辺りから腎臓の断末魔が聞こえる気がして怖くなる。
この弁当を完食するということは、この塩柱が私の体内に移設されることを意味する。

そうして食べ進めていくうちに、とうとう底2(ツー)が見えてきた。

ん……?

なんだ……?

『底2(ツー)』から、光が漏れ出ている。

 

「では……速……ただ……す」

光の先からは微かだが声が聞こえてくる。
聞き覚えのある声だ。

いや……というよりも、これは_____

やがて、視界が白に包まれた。

 

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