こんにちは、初めまして。雄大と申します。僕は富山県八尾町というところで生を受け、以来このクソみたいな土地で暮らしています。
富山県が位置する日本海側に面する北陸の土地は、太平洋側の人間から親しみと哀れみをこめて通称「裏日本」と呼ばれ、冬は厳しい寒さに加えて大量の雪が降り、夏は湿度が高くて蒸し暑い地域です。
また、富山県は有名人が少なく、富山県人に聞いてはいけない質問の一つに、
「富山出身の芸能人って誰?」というものがあります。
ひとたびその質問を投げかければ富山県人皆一様にうつむいて、
どこか寂しげな表情を浮かべながら、
「柴田理恵・・・」と答えるはずです。
たとえ聞き取りにくくとも、え?なんてw?と聞き返したり、なんでチョイスが柴田理恵w他にいるだろwwwなどと馬鹿にしたりはしないであげてください。他には室井滋しかいないのです。このようにこの質問は、富山県人をひどく傷つけます。
さらに、代表的な特産物はますの寿司という貧弱っぷり。観光名所である黒部ダムに至っては、陸路で入るには長野県側から行くしかないという謎仕様です。
さて。
自己紹介も早々に、富山県の悪口を押し並べてきた僕ですが、そんな土地だからこそなのか、地元をもっと全国の皆さんに知ってもらいたいという思いもあります。
そこで僕は、昨今のゆるキャラブームに便乗して富山をアピールしようと思い立ち、富山のゆるキャラを考えてみました。僕の考えたゆるキャラが全国区になれば富山を全国にアピールできる――。そして何より、ゆるキャラには多額の金が動くらしいのです。
■ ゆるキャラを作ろう
~その1、富山のゆるキャラを参考にする~
ゆるキャラ作りの参考にしようと、富山のゆるキャラを色々と検索してみたところ、僕の住む八尾町のお隣、利賀村のゆるキャラ「オロロくん」というのが出てきたのですが、一体どれだけの都会派イケてるシティーボーイ、シティーガールがこの田舎の土地で生まれたゆるキャラのことを知っているというのか。
富山に住むこの僕ですら知らなかったのに、花の都東京で通用すると思っているのか。全然わかってないと。どうせなんとかピューロランドからパクったような風体の、作った地域側で自己満足してる系でしょうと。
そんな富山のゆるキャラ、オロロくんの画像がこちらです。
オロロくん。
オロロくん、見た目かなりヤバいやつだった。
まず目がヤバい。完全にキチガイの目してる。目がヤバいだけならまだしも、鼻が陥没しているという点が、オロロくんのキチ度に拍車をかけています。
めったなことが無ければ刺さないよ!じゃない。
しかし、何より一番ヤバい点は、モチーフが害虫だということ。
地域をアピールする役目を担ったゆるキャラは通常、特産品とかをモチーフにしているのですが、オロロくんのモチーフは害虫。
しかも、下半身を執拗に攻撃してくるオロという害虫がモデルだそうです。プロフィールには「20年の長い眠りがら覚めた」とあるなど、とにかくブッ飛んだ設定です。
オロロくんのモデルとなった害虫、オロ。
下半身を中心に執拗に攻撃してくる。
しかし、いくらオロロくんがセンシティブで光るものを持っているとはいえ、パラメーターを全力でキャラのインパクトに振り分けてしまっているため、富山の田舎から放たれたとは思えないほどトガりすぎていて、都会のイケてるシティボーイ、シティガールに広く受け入れられるとは到底思えません。
オロロくんの光る部分は参考にしつつ、もっと広く、全国的に受け入れられるキャラクターを作らねば。そう思いました。
~その2、全国で受け入れられるキャラクター設定を作ろう~
都会のイケてる最新情報誌「実話ナックルズ」をこよなく愛する富山県随一の都会通であるこの僕が、都会の人々にも広く受け入れられるような、そんなゆるキャラを作ろうと、必死でアイディアを絞り出しました。
なんとしても、全国区のキャラクターを作ろう―。
全国区のキャラクター。(例)
妥協のできない強いハートの持ち主の僕は、そう心に決めてアイディアを考え続けていたのですが、一つもアイディアが思い浮かぶことなく夜も更け、時計の針は深夜12時を指そうとしていました。あたりはもう真っ暗。外では野良猫同士がセックスしている鳴き声が聞こえてきます。そして、僕のパソコン画面には麻美ゆまが映されていました。
ぼんやりとゆるキャラのアイディアを考えながら、麻美ゆまをひとしきり鑑賞したあと、アイディアノートに「すごい巨乳」とメモをとり、心地よい達成感に満たされて床につきました。
~その3、全国区で通用するゆるキャラができた~
ゆるキャラを研究し、アイディアも搾り出した。
夜中まで考え続けたアイディアメモをヒントにして、できたゆるキャラがこちらです。
“ ゆるキャラ名:「すごい巨乳の人」 ”
オロロくんを参考に、あえてご当地ゆるキャラに必要不可欠な地域性を一切排除し、富山を感じさせないスタイルにすることによって、全国でも広く受け入れられやすくしてみました。
さらに、巨乳という特徴的な外見をネーミングにも加えることにより、人々の記憶に残りやすいという効果もあります。
撮った写真を改めて見返してみて、なんだこのクソみたいな巨乳のキャラは?とも思いましたが、強いハートの持ち主である僕は、
(あの時の自分のひらめきを信じてみよう。)
そう自分に言い聞かせ、これでいこうと決意しました。
自分を信じる熱い男、僕扮するゆるキャラ「すごい巨乳の人」。本田圭佑と同い年だ。
ただひとつ気がかりなのは、
「オロロくん以上のインパクトはないな」
という点ですが、
お母さんにそのことを相談したら、「あんたにはあんたの良さがあるから大丈夫」と言ってくれたので、僕の良さを出してがんばっていこうと思いました。
■早速このクソみたいなゆるキャラで富山県を紹介してみる。
【クソみたいなゆるキャラ“すごい巨乳の人”プレゼンツ】
+++ホタルイカの青い光に包まれる富山湾の海岸+++
春。満潮時刻の深夜になると富山湾の海岸沿いは青白い幻想的な光に包まれます。ホタルイカの群れが身投げして海岸沿いに押し寄せてくるのです。その光景は、まさに絶景。
また、ホタルイカは珍味として知られており、絶景を見るだけでなく、捕まえて食べることもできるのです。これは是非とも全国のみなさんに紹介したいと思い、僕は富山湾へと向かいました。