こんにちは、ペンギンです。

 

皆さんは、丸めたティッシュをシフォンケーキの脇に置くと生クリームに見えてしまう、という現象をご存知でしょうか?

僕は、経験があります。

 

生クリームみたいなティッシュの記憶

さかのぼること20年以上前の話になります。

家族で千葉県浦安市にある夢と魔法の国に行った時のこと。

 

父の会社の福利厚生みたいなサービスで、同国の敷地内にあるリゾートホテルに安く泊まれることになりました。

夢の国に行けるというだけで浮き足立つのに、その上豪華なホテルに泊まれるなんて…!

 

スリッパがやわらかい!

ベッドが厚い!

部屋からなんか良いニオイがする!!

家族全員、あまりにも普段と違う環境にずっとソワソワしています。

 

リゾートホテルのディナーは、ビュッフェです。

 

「お母さん!カレーとエビピラフ、両方食べても良いの!?」

「そう、良いの。良いんだから、もうちょっと静かにしなさい」

母はなぜか小声でそう言いますが、その恥ずかしそうな表情とはあまりに不釣り合いな量のローストビーフをどっさり載せたお皿を抱えています。

 

「お母さん!!今日はデザート2個食べても良い!??」

「良いから…ね!」

そのビュッフェのデザートコーナーはすさまじく、ケーキが積んである台の脇に、ボウルにたんまり入った生クリームが置いてありました。

 

こんな量の生クリーム、見たことがない。

大の甘党でかつジェットコースターが苦手な僕としては、スプラッシュマウンテンよりもこのガラスボウルの方がはるかに夢の国です。

 

しかし…

 

ケーキを2個食べるだけでも贅沢なことなのに、その上さらに生クリームを追加で載せちゃって、本当に良いのだろうか。

 

本当に、生クリームを追加で載せても良いのだろうか?

 

さすがにこれ以上母に聞くことはできなかったため、しばらく自問自答した末に「スプーンが置いてあるんだから良い(誤って生クリームをよそってもやむを得ない状況である)」と結論付け、シフォンケーキの脇に生クリームをどっさり載せて、席に戻りました。

 

生クリーム、うんめぇ~!!!!

 

僕にとって、もはやシフォンケーキは生クリームを食べるための添え物です。

さっさとシフォンケーキだけ先に平らげて、残った生クリームを箸でむしゃむしゃ平らげていきます。

両親からの生暖かい視線を感じつつ。

 

 

は~~、お腹いっぱいだ。

本当はまだ食べようと思ったら食べれるけど、席を立つほどではないくらいの満腹。

満腹感と多幸感のバランスが神がかっている、一番幸せな瞬間。

 

ふと自分のお皿に目をやると、

 

まだ、生クリームがひとすくいだけ残っていました。

おいおいおい~!もう食べられないってば~!

でもまあ、ちょっとくらいならいけるし、食べてやっても良いけど?

仕方ないなぁ!!!

 

生クリームがひとすくい。これで僕のホテルビュッフェ・デビューは完遂される。

箸でちょっとツンツンしたりしてもったいぶりながら、最後のひとすくいをパクッといくベストタイミングを伺っていきます。

そんな様子もほほえましそうに見る両親、そして妹。

 

「お兄ちゃん、まだ生クリーム残ってて良かったね!」

「お前は本当に生クリームが好きなんだなあ」

すぐそこにボウルにこんもり入った生クリームの塊があるのに、皿の上のひとすくいを喜ぶ一家。

 

ん?ちょっと待って。

 

これって……

 

ティッシュじゃん!!!!

 

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前置きが長くなって申し訳ないのですが、そういうわけで僕は生クリームとティッシュを見間違えたことがあります。

箸でツンツンしても気づかなかったし、両親も含めた卓の全員が生クリームと認識していたんですから、生クリームが持つ魔力がすさまじいということなのでしょう。

「皿の上に生クリームがある」

とひとたび思い込んでしまうと、もう抜け出せない。

 

つまり、条件さえ揃えば、大人になった今の僕でも同じ現象が起こるかもしれない。

 

とはいっても、

 

お皿の上に丸めたティッシュを載せただけでは、さすがにティッシュです。

条件を揃えるためには、隣にシフォンケーキを載せる必要がありそうです。

 

なので厳密に言うと、「丸めたティッシュをシフォンケーキの脇に置くと、生クリームに見える」という現象そのものは僕も初体験です。

すみません、導入パートで軽く嘘をつきました。

一緒に、人類初の体験へ飛び込んでいきましょう。

 

ティッシュをシフォンケーキの脇に置こう

 

 

シフォンケーキって、どこで売ってるんですか?

 

興味がないときはいくらでも見かけるのに、いざ探すと急にないもの。

シフォンケーキ。

バーガーキング。

この前買ったボタン電池の余り。

爪切り。

 

やっと見つけました。

 

暑くて僕もケーキも溶けそうです。せっかくの休日に、なぜこんなことを。

 

こちらが、シフォンケーキ。

 

こちらは、シフォンケーキを探す過程で見つけた、謎の生クリーム。

 

生クリームって、こんなに「ザンッ」って切れるものだったっけ?

 

まあいいや。本題ではないので。

 

こういうことですよね。これが本来の姿。

 

そして—

 

皿を移して、

 

 

ん~~~?????

 

これは、

 

ティッシュだなあ。

本当にティッシュなので当たり前ですが、これはティッシュだなあ。

 

丸めるだけじゃダメなのかなあ。

もうちょっと当時のシチュエーションを思い返してみましょう。

 

夢の国に行って、

 

ビュッフェがあって、

 

ボウルに入った生クリームがあって、

 

そうだ。

よそうための道具、スプーンじゃなくてナイフみたいなやつだった。

 

当時も思ったんですよね。これはおしゃれ風を装っているが、目的は明らかに「ガキが大量にクリームをよそう」のを防ぐためだ、と。

これなら、仮にガキが生クリームを勝手によそい始めても大丈夫。

敢えてクリームをよそいづらいナイフにすることで、採る量が自然と控えめになるという見事なアフォーダンス。

 

ザンッ

 

こういうこと!

この生クリームが異常に硬いので当時とはやや状況が異なりますが、

 

そうそう。形状としてはこういう感じだったと思う。

ふわっと盛り上がった形じゃなくて、ペタッと沈んだ平たい形状。

 

ティッシュもやや平たい形状にして、置いてみました。こういう形状、ありますよね。

しかし、これでもまだ違う。

 

ティッシュがちょっと硬そうなんですよね。これでは明らかにティッシュすぎる。

使用用途を考えれば、もっと水分が含まれているはずです。

オレンジジュースの結露とか、手についた生クリームとか、何かしらを拭き取ったティッシュであったことは容易に想像がつきます。

 

 

 

 

 

どうですか。結構、生クリームじゃないですか?

 

あのね。

これ以上試行錯誤を始めてしまうと、生クリームに「近づける」という作為になってしまうんです。

それでは趣旨とズレますよね。僕は近づけたいわけではなく、あるがままをお届けしたい。

「自然なティッシュの使い方でも生クリームに見える瞬間があるかもしれない」という可能性こそ、皆さんと共有したい。

世界は常に、無限の可能性に向かって開かれているんですから。

 

ですから、

 

今日はここまで。

 

 

え!?

中から生クリームが?

 

生クリームへの飽くなき執念が、シフォンケーキに!?

 

いいえ。

実はこのシフォンケーキ、生クリームが予めぎっしり詰まっているタイプだったんですね。

これしか見つからなかったんです、シフォンケーキ。

 

1から10まで、何一つ意味のない1日。

でもやっぱり、生クリームは美味しかったです。

 

(おしまい)