本日はお日柄も良く。寺悠迅と申します。
飲食店でドリンクを選ぶ際、黄色い炭酸栄養ドリンクが選択肢に無い世の中っておかしいと思いませんか? 今からでも思ってください。その小さな疑問が社会を変えます。
そういうパッションで好きな黄色い炭酸栄養ドリンクを紹介します。
栄養素のことはよくわからないし、薬事法とか景品表示法はもっとわからない上に怖いので、味や印象を軸に展開します。ごめんなさいね。シュワシュワなのにフワフワな話で。
そもそも「黄色い炭酸栄養ドリンクって何さ」という話ですが、このメンツを包括できる言葉を僕は他に知りません。
モンエナのようなエナジードリンクではなく、それでいてリポビタンDなどの栄養ドリンクとも違う。人に説明するときは『オロナミンC的なやつら』なんてあやふやな言い回しになってしまう……そんな希薄な関係性でも紹介に踏み切らせていただきます。
正式名称がわからないけど好き好き大好き。
オロナミンCドリンク - 大塚製薬
「元気ハツラツ」でお馴染み、もはや説明が失礼に当たるほど有名な元祖炭酸栄養ドリンク。
なんなら炭酸栄養ドリンクという包括名称もオロナミンCの公称を参考にしています。オロナミンCがそう言うならクロいカラスだってシロだろうし、オオムラだってコンだろうよ。
本来ならば殿堂入りとしてスルーしてもよいくらいですが、あえて、ね。敬意を表して紹介します。
オロナミンCをコップに注ぐの、初めてだな。黄色いな。ミニチュアのビール瓶を傾けてるみたい。
120mL。全部注いでもこの量。これがまたね、良いんですよ。
正直ちょっと物足りなくて、次もまた飲みたくなる量。駆け引きというものをわかっている。手玉に取られて踊ってやるのも粋ってもんよ。
しかし、注いだことで風味が変わったりしてないかな。それだけが心配だ――。
「ッかァ~~~!!! 飲んじゃあやっぱオロナミンCが一番うめえな!!!」
全然大丈夫でした。競合他社の製品も紹介する記事としては不適切な感想だとは思います。
濃厚な甘みと適度な炭酸の強さ。飲む快感。王者の風格とはこのこと。黄色い炭酸栄養ドリンクの道を拓いた実績は伊達じゃない。
これに「元気ハツラツ」ってコピーを当てるのはスゴい。『正鵠を射る』の用例に載せた方がいい。
デカビタC - サントリー
ビンの印象が強いデカビタC。本日は自販機限定の缶タイプを用意しております。
「オロナミンCは美味しいけど、もうちょっと量が欲しい」……人生にはそういうタイミングがある。デカビタCのどっしり感が手に馴染む時期がある。
内容量はビンタイプが210mLなのに対し、缶タイプは240mL。大さじ2杯ぶん多く飲みたいときは缶だね!
ちなみに、ビンタイプと缶タイプの中身は、栄養成分値を参照するにたぶん同じです。
しかし、ペットボトルタイプはデカビタパワーと名付けられており、栄養成分値に差があります。へえ~。
中身は同じとわかっても、可能な限りビンタイプを飲みたくないですか?
ビン飲料ってだけで感じ方が違うはずなんですよ。素材の口当たりの差、とでも言いましょうか。
近年、紙ストローと愛なき口づけを交わした皆様にはわかってもらえると思います。
まあ、そういう口当たりの差をなくすべく、今回はコップに注いで飲むんですけどね。
ウ、ウオオーッ!!?
溢れんばかりの240mL!!!
こんな……イイんですか!? 「おっとっと……」って言いながらグラスに口を近づける、枡酒みたいな飲み方しちゃっても!?
デカビタ、C(チャージ)。
やっぱり味はオロナミンCにちょっと似ている。
でも、オロナミンCより甘さは控えめで、ちょっとあっさりした喉越し。なんなら、オロナミンCはその濃厚さゆえにとろみさえあった気がする(気のせい)。
そして何より、一口飲んでもまだまだコップに残っている。嬉しすぎる。残りの人生をコップに注いだとき、まだこれくらいのボリューム感だったら、寿命縮むくらい狂喜乱舞するだろうな。
最高です。
いつの間にか、グラスに結露ができるくらい暖かい季節になってきました。
リアルゴールド - コカ・コーラ
炭酸飲料の初体験を覚えているだろうか。僕はたぶんファンタかコカ・コーラだった。だが、一番初めに「これ好きだな」と思ったのがリアルゴールドだった。
小学校に上がる頃に出会って以来、愛飲している。今回紹介する中では一番思い入れがある。思い入れの度合いで言えばほとんどお袋の味だ。シン・お袋を泣かせてしまうので大きな声では言えないが。
リアルゴールドなんてオラついたネーミングの割に控えめなヤツなので、僕が代わりに主張しておくと、彼(彼女?)はノンカフェインです。
普段、水代わりにお茶やコーヒーを飲んでいる僕にとっては非常にありがたい。
お茶やコーヒーばかり飲んでいることに関しては、内科医には怒られていないので大丈夫だと思います。着色のことで歯科医には小言を言われますが。
190mL。なんか……透明度が高くて綺麗? これが“リアルゴールド”を自負する所以?
しみじみ美味いねえ……
オロナミンCとデカビタCは同系統の味だが、リアルゴールドは結構明確に違う。刺々しさが少なく、僕はリンゴジュースにちょっと似ていると思っている。
純金というより真鍮のような親しみやすさだ。
こっちのセリフだよ馬鹿野郎。
ビタミンパワーGo! - 伊藤園
白状します。ビタミンパワーGO!、この記事を執筆するにあたって初めて飲みました。
更に白状すると「伊藤園つったらお茶だしな~」とか「こんなパッケージで誰が買うんだよ」とさえ思っていました。
もし同じ偏見を抱いている方がいらっしゃれば、是非飲んでみてください。良い意味で裏切られます。
ご高齢者向けTVCMの字幕のような視認性全振りゴシック体ゆえ、自分はターゲティング外だとばかり……
内容量は190mL。他社製品に比べ若干色が濁って見えます。
もしかしたらシトラスファイバー(柑橘類由来の食物繊維)が入っているので濁っているのかも? 食物繊維って不溶性だし?
今、完全に素人が憶測で物を言っています。怖いですね。
ンまいねえ~~~~!
オロナミンCよりリアルゴールド寄りな優しみ……だけども柑橘系の抜けが爽やか! 炭酸栄養ドリンクというよりジュースのようです。
パッケージの印象に反して中身が垢抜けている。ギャップがズルい。
ちなみに『ビタミンパワーGO!』もノンカフェインです。
……いけないぞ! 堅そうなご実家(伊藤園)、堅そうな見た目(パッケージ)からの、独自のユーモア(味)や優しさ(ノンカフェイン)など!
そんなの……その……ズルだぞ!! 属性だけで人はオチるんだぞ!!!
エナジージム - ダイドードリンコ
でました。大本命です。
僕はこれを飲みたいがために、近所のダイドードリンコ自販機の位置を把握しています。最寄りまでざっくり15分。まあまあ遠い。
あたしゃこの一杯のために生きていると言っても過言では……
ウ、ウオオーッ!?
たった10mL差でも結構印象が違うものですね。うれし~!
でもこの嬉しさには中身の多さだけじゃなくて「適当に持ってきたグラスが完全にピッタリだった」という奇跡も込み~!
そんでウマ~い!
デカビタCに似た味ではある! ではあるが、よりサッパリしていて喉越しが良い! 甘さの初動が早くて、酸味の強さがちょっとレモンっぽくて……
違うな。
誰だお前。
忘れもしない。2024年1月。
その名を口にするのも忌々しい流行病に侵されていた僕は、食欲がガタ落ちしていた。新年会に参加しそこねて気落ちもしていた。
HPとMPが切れかかる中、唯一”美味しく”喉を通ったのが、買い置きしていたエナジージムだった。美味は素晴らしい。生への執着を思い出させてくれる。
だが、その時と味が決定的に違う。
原材料名を見て首を傾げた。甘味料のアセスルファムK。
僕はこれが苦手なので、基本的に同じ製品を二度口にすることはない。
別に思想やオカルトじみた話ではない。単に、体質で甘みが半日以上残ってしまい、ダルい思いをするから避けているだけだ。
これは……もしかして……ここ数ヶ月の間に……中身が変わった……?
エナジージムストロング - ダイドードリンコ
調べた。答えがわかった。変わったのは中身だけではない。
僕が好んで飲んでいたのは、エナジージム“ストロング”……別の製品だったのだ。
原材料名:
糖類(果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、砂糖)/炭酸、香料、ビタミンC、酸味料、アラニン、ナイアシン、カフェイン(抽出物)、アスパラギン酸Na、ビタミンB₂、ロイシン、ビタミンB₁、ビタミンB₆、バリン、イソロイシン
原材料名:
糖類(果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、砂糖)、食塩/炭酸、ビタミンC、酸味料、香料、甘味 料(アセスルファムK、スクラロース)、アラニン、ナイアシン、カフェイン(抽出物)、アスパラギン酸Na、ビタミンB₂、ロイシン、ビタミンB₁、ビタミンB₆、バリン、イソロイシン
サイゼの間違い探しのような僅かな差異だが、エナジージムストロングとエナジージムが別のプロダクトであることはご理解いただけたと思う。
そして、エナジージムは2024年2月からの新商品らしい。
ダイドードリンコ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:中島 孝徳) は、2024年春夏の新商品として、「エナジージム」を2月26日(月)より発売いたします。
つまり、まとめるとこうだ。
僕の愛飲していたエナジージムストロングは、この春、苦手な甘味料を含むエナジージムに変わってしまった。
……そういうことも、ある!
黄色い炭酸栄養ドリンクにジャンルを絞ってもこれだけ味に差があるのは、きっと、どれかが誰かの舌に合うようにだ。
味が変わったならば、誰かが新しくエナジージムを好きになるかもしれない。
春は出会いと別れの季節。想い人が、ずっと想い人のままとは限らない。
「あの日のキミのままだ」と思って手を伸ばしても、まるで別人。というか実際に別人。
なんなら別の自販機も同じ有り様であり「並んでるモンと違うのが出てくるのって景品表示法的にどうなの???」とか思ったりするものの、それを口にしたりはしない。
せっかくの春だ。怒りに声を枯らすより、うららかに愛の言葉を紡いでいたい。
僕は、黄色い炭酸栄養ドリンクが大好きだ。