こんにちは。読解力が無さすぎて『ロード・オブ・ザ・リング』がどういう話なのかまったく理解できなかった城戸です。
この世には難解とされる映画がたくさんあって、例えば芸術的というか前衛的すぎてよく分からん映画だったり、社会派すぎて理解が追いつかなかったり、とにかくむつかしくてむつかしくてとてもやりきれない映画というのは結構たくさんありますよね。
とはいえ、”話はよく分からんけど面白い”といった映画も多いですし、そもそもシナリオ自体に重きを置かない映画だって多いですし、結局他人の作っているもんですから、映画、ひいては芸術作品における読解力なんて結局は、それで自分を納得させられるか、というただそれだけの、言ってしまえば自己満足に過ぎないわけなんですが、やはり観た映画が理解できなかったときの悔しさというのもひとしおなわけで、つい解説サイトなんかを見てしまい、自分と何ら関係のない第三者が感じたことを、なるほどなるほどと勝手に自分の感情に上塗りしてしまうのです。私も何度も経験がありますが、これって良くないことですよ。
映画を観終え、エンドロールで、幸せな気持ちになったり、悲しい気持ちになったり、理解できなくて悔しい気持ちになったり、そういう純度の高い感情だけを我々は大事にするべきなのです。
はい。ということで、前置きが長くなってしまいましたが、今日は映画史上屈指の難解さと言われるSFスリラー『プライマー』を、完全に理解してやろうと思います。前置きとこの企画が一体どう繋がるのか分からないという方、きっと多いと思いますが、その「分からない」という感情を大事にしましょうね。
そもそも『プライマー』とは
『プライマー』は、2004年制作のSF映画です。元システムエンジニアであり、数学の学士号も持つ秀才シェーン・カルースが、監督・脚本・製作・主演・編集・音楽をすべて務め、わずか7000ドルの予算で完成させた意欲作で、上映後は数々の賞を受賞し、批評家からも好評を得、ヒットを呼んだものの、そのあまりに難解な内容から有名作にはなりきれず、どちらかというとカルト的な人気の根強い作品です。
私はこれを19歳のときに観て、とにかく本当に何もわからなかった覚えがあります。本作はタイムトラベルムービーで、私はそれを知ったうえで観ていたから分かりましたが、前知識なしで見るとタイムトラベルをしていることにすら気付けないのではないかというレベルなのです。
とりあえず、観てみる
いくら難解だとはいえ、私が観たのは19歳の頃です。19歳といえば『進撃の巨人』を「話が難しいから」という理由で断念していた頃ですから、今観ると案外すっと理解できてしまう可能性もあります。早速再生してみましょう
※ここからはネタバレを含みますので、ご了承ください。
よろしければこの記事を読む前に、実際に観ていただけると嬉しいです。
1度目の鑑賞を終えて
すみません。ちょっとこれあれですね。何度も観て、台詞や画面に注視して、伏線なんかを全部さらって、そのうえでやっと理解できるとか、そういうことではないですね。そもそも理解できるように作られていないというか、明らかに意図的に主語が少なく、「絶対に説明をしないぞ」という気概の感じられるような内容でした。
一応、思い出せる範囲で大まかな流れを書いてみます。
頭の良さそうな男性4人が、何かを話し合っている
↓
そのうちの2人(主役)は、何かの研究をしており、他の2人から投資を受けている
↓
タイムマシンができてしまう
↓
主役2人がウダウダしている
↓
何やら大変なことが起きる
↓
実は、こういうことでしたー!
作中に出てくる専門用語や固有名詞なんかもほとんど説明がされないまま進んでいくので、そもそもそりゃ分かる訳ないよなという。劇中で主人公たちがピンチに陥ってるっぽいんですけど、なんでピンチなのかマジで全然わからない。さらには、クライマックスにどんでん返しっぽいのがあるんですけど、一体なにをどんでん返されたのかも当然わからない。何が分からないのかも分からないのです。
しかし、画面の持つ説得力というか、超低予算映画ですから、ここまで理解が難しいのも「出来が悪いから」という理由で片付けてしまいたくなるんですが、この『プライマー』には「理解できなくてごめんなさい」と思わせる力があるんですね。これは圧倒的なリアリティももちろん、最大公約数的なカメラの魅力や、何より編集によるところが大きいのではないかと思います。気持ちの良いジャンプカットなんかを多用しながら、テンポよくポンポンと展開が進んでいくので、気分としては全然娯楽映画を観ているのと変わらない。難解ながらもそれなりにヒットを飛ばしたのはこの”観やすさ”にあるのかもしれません。
ていうか映画の感想なんかよくて、私は何が何でもこの映画を理解しなければならないので、もう一度鑑賞し、次はより詳細にストーリーを説明したいと思います。
2度目の鑑賞を終えて
2度目ということで、ある程度には理解できてきた気がします。
今回はメモを取りながら鑑賞しましたので、そのメモと一緒に、改めてストーリーを振り返っていきましょう。
※殴り書きのため、字が汚くてすみません
オープニング、何やら頭の良さそうな男性4人組が何かの開発にいそしんでいます。
彼らは所属する企業からの独立を目指し、商品を開発して特許を取ろうとしているようです。
しかしなかなかうまくはいかない様子で、4人の関係は若干ギクシャクしているように見えます。
その4人組はアーロン、エイブ、ロバート、フィリップで、アーロンとエイブがメインで話が進んでいきます。
過去にプラッツという男に仕事を奪われたとか、アーロンとエイブが独自で何かの研究をしているみたいなのは何となく分かるんですけど、単にこの男たちの話している内容がまったく分からないです。これに関しては私の問題かもしれませんが、少しはバカが観ることも考慮してほしいものです。
この序盤で、「手近にあると使いたくなる」という台詞が意味ありげに発せられるんですが、これって絶対タイムマシンのことじゃね?
ただでさえ分かりづらい映画なのに、急に場面転換なんかするから余計わからなくなります。
エイブが床で気を失っており、目が覚めるとアーロンから電話がかかってきてメシに誘われます。
アーロン曰く「箱が成功した」とのことなんですけど、これって著名な映画批評家の人が見ても「箱って何なんだよ」って思うんだろうなと考えると面白いですね。それくらい、箱についての説明がありません。
アーロン曰く、箱の中の電圧が1.5ボルトも増えていて、そんなことありえないらしいです。
さらに、バッテリーを外しても動き続けるらしく、これもありえないことだそうです。
とにかくすごめの発明をして喜んでいる2人は、投資家を味方につけようとパーティを開きます。私は何度も一時停止をしながらちゃんと観ていましたが、結局なにがすごいのか全く分かりませんでした。
こちらも私のメモを参考にしてほしいんですが、要はタイムマシンができちゃった!ということです。ここも、これだけメモを取りながらじっくり鑑賞してやっと理解できましたけど、いつもの感じで普通に観てたら、タイムマシンができたってことすら分からないですよ。
だって普通、箱の中に入れた時計が1分間で1347分も進んでいた、という事実を目の当たりにして、「奇数だ」って言います?「うわっ!時間が進みまくってる!!」とか言ってくれればタイムマシンだってすぐに分かるのに、こいつらは賢すぎてバカになってるので奇数とか偶数とか気にしてるんですね。あわれなものです
一通り説明したエイブに対し、アーロンが「頭が混乱してる」と返していて安心しました。しかし、頭の良い奴の「頭が混乱してる」とか「自分はバカだから~」とかは全部嘘なので、気をつけなければなりません。とにかく、タイムマシンが完成しました。
ここで、エイブの分身を目撃してしまいます。エイブは分身が現れることを知っていたので、すでにタイムマシンを使用していたことになります。アーロンに時空旅行のノウハウを伝授したエイブは、アーロンを連れてもう一度タイムトラベルに向かいます。
文章でこう説明すれば割と簡単ですけど、これだって読み解くのに相当苦労しています。いや、賢い人ならもっとスムーズに理解できるんだと思いますけど、私には無理です。私にマウントを取ってもいいですよ。
本作『プライマー』は、タイムトラベルについて相当シビアというか、やはりエリートが主人公ですから、過去を少しでも変えてしまわないよう細心の注意を払うんですね。ですから、過去に戻る前は、下手に現在のことを知ってしまわないよう、情報を遮断して部屋にこもり、チェスとかゴミ箱シュートとか、アナログな方法で時間を潰すわけです。ここはかわいくてよかったですが、アーロンがまちがえて過去に携帯電話を持ってきてしまいます。アホすぎる…(たぶんわざとですけど、どうしてわざと持ってきたかは謎)
この辺からたぶん時系列がメチャクチャになりだして、もう分かんないです。このメモも、適当に台詞とか展開を書き写してるだけです。よくいましたよね。教科書とかの文言をそのままノートに書き写すだけの行為を勉強と呼ぶ奴。それは私です。
なんとか理解できたのは、序盤に出てきた投資家のグレンジャー氏の分身を発見し、彼がタイムマシンを使用していたことが発覚すること。グレンジャーの分身と接触してしまったことにより、未来にひずみが生じてしまいます。
たぶん時系列とか入れ替わりすぎてて(もしくは完全にまっすぐなのかもしれないが)、もう一切分からないです。彼らがどうしてヤバそうな表情をしているのかも、彼らの交わす会話の意味もまったく分かりません。メモを取りながら何とか頑張ってみましたが、私の脳では限界でした。この辺りでアーロンの耳から血が流れだすんですが、「いや耳から血を流したいのは俺だわ」と意味のわからない怒りが沸き上がってきました。
もうダメだ。本当に分からない…
エイブが、非常用マシンを作っていたことを内緒にしていました。なんか自分の分身を殺しに行ったっぽいですが、どうしてそんなことしてるのかよく分かりません。
アーロンが何度かイヤホンをしていたのは、何度も過去に戻っており、そのたびに同じ会話を繰り返していたからだということが分かりました。しかし、もう時系列なぞとうに理解できていませんから、一体どのタイミングで録音した会話をどのタイミングで繰り返しているのか、そういうのはまったく分かりません。ただ、耳から血を流していたことからも分かるとおり、アーロンはエンドレスエイトみたいな状態になっているみたいです。
どんでん返し、というか、実はこうだったんですよ~的なモンタージュが流れるんですけど、2度目でこんだけ集中しながら観ても何がどうだったのかが理解できません。これもう不可能だと思います。この記事を読みながら「全然理解しねーじゃんこいつ」とイライラしている人は、一度観てみてください。絶対に無理です。
しかし、ただ「分からない」だけじゃ意味がありません。一応、私なりの解釈を図にして、ストーリーを説明してみます。
無理でした
あ、エンドロールがメチャクチャかっこよかったです。
無理でした
と、いうことで、もう理解するのは諦めたんですが、さすがにこれでは終われないので、”私の知っているもの”が写ったシーンを紹介します。最低でもミドルショットくらいで写ったものに限定します。観られる際は、ぜひこちらを参考にしてください。ありがとうございました。
超難解映画『プライマー』にて、俺の知っているものが写ったシーンまとめ
00:23 ガレージが写りました。
01:12 コンピューターが写りました。
01:33 茶封筒が写りました。
07:20 ハザードランプが写りました。
07:37 冷蔵庫が写りました。
11:02 デジカメが写りました。
11:03 モニターが写りました。
16:03 6.6が写りました。
16:04 6.7が写りました。
17:57 鍵が写りました。
18:04 レストランの店員が写りました。
18:26 プールが写りました。
24:37 ペンチが写りました。
25:34 ノートが写りました。
25:36 ボールペンが写りました。
26:50 バスケットボールが写りました。
28:24 ジュースが写りました。
29:47 双眼鏡が写りました。
34:46 コンセントが写りました。
34:52 電話が写りました。
34:55 キャビネットが写りました。
35:00 ドアノブが写りました。
35:11 トランプが写りました。
35:15 サンドイッチが写りました。
35:29 ゴミ箱が写りました。
35:30 丸めたティッシュが写りました。
35:54 パソコンが写りました。
40:19 歯ブラシが写りました。
40:22 水が写りました。
40:25 ノートパソコンが写りました。
42:00 ビールが写りました。
42:14 洗濯カゴが写りました。
43:55 ショッピングカートが写りました。
44:45 セルフガソリンスタンドが写りました。
48:08 血が写りました。
48:12 ハンカチが写りました。
49:37 懐中電灯が写りました。
50:56 ラグビーボールが写りました。
52:15 お皿が写りました。
52:21 ナイフとフォークが写りました。
52:22 チョコケーキが写りました。
52:25 牛乳が写りました。
52:35 リモコンが写りました。
1:01:14 台車が写りました。
1:04:11 イヤホンが写りました。
1:04:30 バインダーが写りました。
1:05:18 注射器が写りました。
1:05:38 コーンフレークが写りました。
1:11:11 風船が写りました。
1:11:50 ショットガンが写りました。
1:11:52 銃弾が写りました。
1:15:01 ヘルメットが写りました。
ありがとうございました。