こんにちは、リックェです。
今日は平面充填(タイリング)について、数学、建築の側面から見ていこうと思います。なんていうか、分野として深く掘り下げるより、横断的に広く浅くやるのが好きなのよ。僕は。
平面充填(タイリング)ってなに?
2015年の話ですが「15番目の五角形平面充填」が発見されましたね!
これすごくないですか?ってとこから話し始めたいんですが、不親切だという声があがったので、ゆっくり「平面充填って何?」ってとこから行こうと思います。
Study of Regular Division of the Plane with Reptiles (1939). M. C. Escher
これはエッシャーの作品(習作)です。3色のトカゲが組み合わされてますね。どのトカゲも同じ形をしています。同じ図形(トカゲ)を隙間なく並べるのを平面充填というんです。
正六角形の平面充填
簡単な図形、たとえば正方形を隙間なく並べるのは簡単ですね。
正六角形はどうでしょうか?これも平面充填が可能ですね。
じゃあ、正五角形は?説明不要ですよね。無理。
お察しの通り、タイルは2種類に分かれるわけです。床だの壁だの平面を隙間なく埋めていける、いい感じの形の イケるタイル と イケないタイル とに。
幾何学では、このイケるタイルを探し求めてるわけですよ。
建築と平面充填
「どういう図形なら、自由に埋められんの?」
って話は数学界隈より先に、実用的にタイル屋さんや建築家の分野だったわけです。
そして古くタイルが最も発達した地域は、イスラム世界でした。
これには理由があって、イスラム教では偶像崇拝は禁止。宗教施設の装飾に人物像や肖像を使えません。
そのかわりに幾何学的な装飾が発達しました。(あと植物の図案とかもね)
By Pentocelo (Own work) [CC BY 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/3.0)], via Wikimedia Commons
ペルシア・シーラーズの詩人ハーフェズ廟の天井モザイク
これとかヤバないですか?
あ、説明不足でしたが、平面充填は必ずしも1種類のタイル(図形)を取り扱わなくてもよくて2種類以上のタイルの組み合わせもありです。
ペンローズタイル
さて、本日のお待ちかねの ペンローズタイル ですよ。平面充填つったらこれやらないとタイリング勢には超怒られますからね。
これは2種類のタイルでやる平面充填なんですが、これがちょっと特殊なんですよね。
By Solarflare100 (Own work) [CC BY 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/3.0)], via Wikimedia Commons
おじいちゃんの足元の黒と白の菱形タイル2種がペンローズタイルです。で、もっというと、このおじいちゃんが発表したペンローズ教授です。
このペンローズタイルのおもしろいところは、写真を見てもらえばわかると思うけど、置き方のパターンはいくつかありそうだが並べていく過程でその都度どう置くか判断しないといけない展開になるんですわ。ワンパターンにはならないというか。(そういうタイリングを非周期充填っていいます)
ペンローズタイルの現実的な面を見てみる
ペンローズ・タイルは電気シェーバーの網目のパターンに使われたりしてます。普通の網目パターン「周期充填」で作ると硬いけど、規則的過ぎて、ある特定方向の力に割れやすい弱点ができてしまう。
ペンローズは「非周期充填」なので、そこそこ硬いが目立った弱点もないみたいな利点がある。
えーとわかりにくいか。ガチムチに鍛えたボクサーってパンチ強いけどローキックに弱いじゃないですか。レスラーってボクサーほどパンチ力無いけど全身打たれ強いじゃないですか、そういう良さですね。
まあいいや。難しいの抜きにして、見た目にすごい美しいじゃないすか。
イスラム建築にあったペンローズタイル
ちなみに、このペンローズタイルの発表は1974年なんですが、AD200年ごろからさっきのイスラム建築で使われるギリータイルという名前のタイルパターン中に含まれていたというから不思議。
ロジャー・ペンローズ
「ブラックホール特異点」「事象の地平線」とかいいだして、メダルもいっぱいもらったしナイトの称号ももってる宇宙物理学・理論物理学・数学者。知らずに中二を名乗るなど、吉野家を食わずに牛丼を語るくらい恥ずかしいこと。
これからの平面充填
冒頭でいってた 五角形の平面充填 というのは、正五角形で平面充填できないのは明らかだがそれ以外の角度ではどうか?という問題です。
結論からいうと2016年の段階で15パターン見つかっています。
その15番目の発見が2015年。14番目の発見が1985年。30年間新しいの見つけられなかったんですよね。
By Tomruen (Jaap Scherphuis’s Tiling Viewer applet) [CC BY-SA 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons
15型 五角形平面充填
すごくないですか?
なんていうか、こんな問題提起は明確な問題なのに、30年間誰も新しい図形を見つけられなかったんですよ? たかだか角度が5個あるだけの図形よ? それこそ興味自体は建築くらい昔からあるのにだよ? そして16個目以降があるかもまだわかってないんですよ。
そんなに人類に手が届かないものなのかよ。幾何学って。すげくね? 夢あるくないですか?
実際に平面充填図形を作ってみる
というわけで僕も平面充填図形を作ってみようと思います。
ちょっと捻ってタイルの拡大縮小をOKにしたフラクタル平面充填でやってみます。
どうでしょうか?
なかなか難しいですね…
以上、平面充填の入門でした。
めくるめく平面充填の世界へようこそ! みんなもLet’s Try!!
END