映画鑑賞が趣味なので、1月前半に「良い」と思った映画をご紹介させていただきます

 

 

 

 

 

■マジカル・ガール(2014・スペイン)

 

【あらすじ】

白血病で余命幾ばくもない少女アリシアの願いは、「魔法少女ユキコ」のコスプレをすることと、13歳まで生きる事。何とかその願いを叶えてやりたい失業中の父ルイスはネットでユキコの一点物コスチュームを見つけるが、7000ユーロ(900,000円)という破格の代物だった。果たして父は娘のささやかな願いを叶えられるのか?

 

父ルイスはアリシアちゃん(めっちゃめちゃ可愛い)の願いを叶えるために金が必要なのに、失業中の身で世の中も不景気で頼れる友もおらず、どうしたものか…と思ってる時に偶然メンヘラ女のバルバラと出会って話が転がってく…というストーリーなんですが、あまりにも衝撃的な展開で本当に驚いてしまいました。ここから三人の登場人物を軸に三部に分けて展開してくこの構成力が凄まじく、一気に引き込まれていくことは確実。

 

劇中に登場する架空のアニメ「魔法少女ユキコ」は劇中に全く出てこない(この出てこなさもすごい)のに、長山洋子の1985年のデビュー曲「春はSA-RA SA-RA」をオープニングテーマとして起用しているこのセンスも恐ろしいですね。後述の「シークレット・ヴォイス」の同じ監督でそちらもかなり面白かったです

 

 

 

 

 

 

■デーモン・インサイド(2018・カナダ)

 

【あらすじ】

レズカップルのジュールズとジャッキーは結婚1周年記念に山奥の別荘を訪れ休暇を楽しんでいた。山道を散歩している二人だったが、突然ジュールズが崖から突き落とされる!なんとジャッキーは完全なるサイコ女で、ジュールズを殺すつもりでここに連れ出したのだ!一命を取りとめたが、追撃は終わらない…逃げなければ!

 

コリン・ミニハン監督の新作。彼といえばパワー系お化け屋敷ホラー「グレイヴ・エンカウンターズ」、ガチ誘拐宇宙人ホラー「エクストラ・テレストリアル」、女1人対ゾンビ1人のタイマンゾンビホラー「サンズ・オブ・ザ・デッド」などなど、王道ジャンルに二〜三捻り加えた突飛な脚本がかなり評価されてる気鋭の若手監督。今作は「山奥の別荘」という分かりやすい舞台で「サイコパス女に狙われる女」というベタといえばベタな状況。ここからどう転がるかと思ってたら、これまた最後まで何段階も予想を裏切ってくる強烈な展開が楽しかったです。この監督、やはり良い!

 

悲劇のヒロインのジュールズはコリン監督作常連のブリタニー・アレンで、ショートカットで初手でいきなりボロボロにされながらも頑張ってる姿は最高。たまにモデルの佐藤栞里に見えなくもないのも良い。少し行動原理に疑問が残る展開は多いけど、あまり気にせず楽しめばよいかと。前述の過去作もかなり良いのでこれと合わせてどうぞ

 

 

 

 

 

 

■シークレット・ヴォイス(2018・フランス/スペイン)

 

【あらすじ】

表舞台から姿を消した歌手リラは10年ぶりに復帰コンサートを控えるも海で溺れて記憶喪失になり、歌と踊りを全て忘れてしまう。彼女の大ファンで全曲を完コピ可能なシングルマザーヴィオレタの存在をネットで知ったリラは、もう一度歌えるよう彼女に歌の指導を依頼。リラとヴィオレタの奇妙な交流の果てに待ち受けるものは…?

 

先程の「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督の新作。前作ほどの衝撃的な展開は無かったけど、相変わらず練りに練った脚本と情緒あふれる画作り、スペイン語曲の清流のごとき澄んだ歌声、そしてラスト15分の展開と、もはやアートの域に達してる…!!と思いました!前作のハードル越えてきてるな〜

 

基本的にはとある理由で10年歌うことを辞めていて折角の復帰前に記憶喪失になったリラと、シングルマザーでニートの娘(人類史上最も最悪で終わってるゲボカスうんち迷惑女キャラ)を養いながらリラの曲をカラオケで歌えるだけで満足なヴィオレタの二人が交錯するストーリーをメインにしつつ、話が進むごとに接点の無かった二人に愛憎入り混じった哀しい共通点が浮かび上がってきて、この辺りの話運びは実に巧妙でしたね

 

 

 

 

 

■リミット・オブ・アサシン(2017・アメリカ)

 

【あらすじ】

俺はトラヴィス。休業中の殺し屋だが久々に依頼が来た。無難にこなして重要情報をゲットして後始末…というところで迂闊にも殺されてしまう!しかし所属していた組織が持つ超技術で24時間限定で蘇生させてくれた…!それなのに重要情報を教えたらあとはポイ?ふざけるんじゃない!組織の奴ら全員ぶっ殺してやる!

 

殺し屋といえばジョン・ウィックやロバート・マッコール(イコライザー)、古くはレオンなど絶対無敵で記憶に残る奴らが思い出されますが、こちらは殺し屋イーサン・ホークが24時間限定で生き返って復讐に燃えるということで、このプロットだけで熱さ確定!腕にタイマーが埋め込まれててタイムリミットまで一目瞭然なのもサービス満点で実にありがたいです。分かりやすさ重視ですね

 

所属する組織に関するヤバい事実を内部告発しようとするやつの口封じのために駆り出されて、死→生き返るけど情報だけ吸い上げたらポイ→組織に尽くしてきたのにこんな形で裏切られるとは〜!って感じで始まる復讐劇は一度死んだこともあり時折副作用で幻影が見えてしまうほどの危うさ。それでも鮮烈なガンアクション(二丁拳銃アリ!)や南アフリカの粗末な家々の間を縫って爆走するカーチェイス、かつての友との対峙、破滅に身を預けながら組織に単身乗り込んで爆裂乱闘してくさまはかなりカッコイイ!

 

 

 

 

 

 

■バニー・レークは行方不明(1965・アメリカ)

 

【あらすじ】

シングルマザーのアンはロンドンに越してきたのだが、娘のバニー・レークを保育園に預けて荷解きなどに追われるうちに、保育園からバニーがいなくなってしまった。全く手がかりは無く目撃者もなく、警察も完全にお手上げ状態。娘に関する道具や服も盗まれてしまったので、挙げ句の果てに「そもそもバニー・レークなんか存在するの?あんたの妄想とちゃいまんの?」と疑われてしまった…!そんなアホな〜!信じて〜!娘どこ〜!?な話

 

60〜70年代の映画はほぼ見ないんですが、人間消滅モノとして今でも語り継がれる完成度をはじめ、シンプルだけど不安になって忘れがたい人の形を模したポスタービジュアル、意味深な邦題などが気になって気になって見てみた。おもろい!!金字塔!!!すごい!!!びっくりした!!

 

アンが終始オドオドして不安だらけの表情や言動に、最初からバニーの姿をこちら(視聴者)にすら出さずに消える、捜査もなしのつぶて、アンが子供の頃にかつて「バニー」という名のイマジナリーフレンドを作っていた…となってはもう警察と同様に「アンの妄想や…」という気分にさせてくれつつ、そこからこんな風に転がっていきます!?!?と衝撃を受け、本当にまんまと作り手側の思うツボのような反応になってしまいました。この不安と不気味さを煽るストーリーラインに加えて素晴らしいキャストの演技、そして50年以上前なのに今でも通用するこのトリックと演出は映画の本質的な面白さを再認識させてくれました。やはり映画は「良い」…!

 

 

 

 

 

 

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