ストレスを解消したい時に自分がやっていることとして、「奮戦した敵を手厚く葬る指揮官になる」というのがある。

「急になに?」と思った方にもしばしお時間をいただきたいのだが、「敵であろうが実力を認め、それ相応の礼をもって相対するキャラクター」ってすごく良くないか? 良いよね? ここまでは同意いただけると思う。

 

だから、それになる。

 

設定の仕方は色々とあるのだが、例えば自分が国王直属の近衛部隊とか、そういうものの隊長だとまずは仮定しよう。

いわば体制側の勢力であり、ひとりひとりの実力が抜きん出ているというよりは数に頼んで相対する勢力を殲滅していく部隊だ。のちに隊長である自分は圧政をしく国王に愛想を尽かせ、民のために戦う使命に目覚めるのだが、それはまた別の話。

そんな近衛部隊の切っ先が、現在、山奥の小さな村に突きつけられている。この理由もいろいろ考えられると思うが、レジスタンスが匿われているとか、国王があの村の財宝を接収したいと言ったとか、存在してはならない血筋の者を絶やせとか、ともかくそんな一方的な理由で、力なき者が武力によって虐げられようとする場面だ。

国王麾下とはいえ、「今回の戦は気が乗らないよね~」って感じでその村にやってくる自分(自分の代わりにそういう不満をあけすけに口にする、ナウシカのクロトワみたいな副官キャラを作るのも良い)。この程度の任務では、自慢の剣を振るう機会もないか…とモチベーションゼロのまま仕方なく村人を一列に並ばせたりしているのだが、そこに現れるのが「なぜこんな村に」と刮目するほどの名も無き剛勇だ。

元は名のある騎士がたまたま隠遁生活を送っていたとか、ともかくそういった存在が権力の不正に怒り、農具や手斧のような拙い得物で、近衛兵の2、3人を一撃の元に吹き飛ばす(ここで吹き飛ばされるのは、調子こいてるチンピラみたいな奴が多い)。寒村にいる農夫とは思えぬ凄まじい一撃に、思ってもみない損害をこうむった自分は何と言うか!

 

「素晴らしい」

 

これである。ここで「貴様ッ!」などと浮き足だっては、いかにも小人物という感じがしてしまう。ここは相手の実力を冷静に分析し、「なんなら自分の部下に欲しいぞ」という器の大きさを見せる。

そしてなんやかんやあって(隊長自ら手をくだしたりする場面もあって)、多勢に無勢で力尽きた剛勇の士を見届けたあと、仲間を殺された怒りで死体を辱めようとしたりする部下たちを押しとどめ、このセリフを放つ!

 

「真の勇者とはこういう者を言う。手厚く葬ってやれ」

 

いい。

良すぎ。

武勇に優れ、義にも厚い自分のキャラ、良すぎ。

権力の犬にしとくにゃもったいないよっ!!

 

この辺まで妄想すると、何なら軽く泣けてきたりして、実社会のストレスなどは些末なものに思えてくる。

というわけでみんなも、奮戦した敵を手厚く葬る指揮官になろう。

 

 

 

 

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