住み慣れた街。
だが、この街に僕の友達はいない。
外国人の友達とかいたら、楽しいだろうなぁ。
と思いながら帰路についていたある日、アパートの近くで背後に気配を感じた。
振り向くと、ロードバイクに跨った2人の男性外国人が僕に話しかけている。
道を尋ねたさそうだったので足を止めた。
手前にいたほうが「私はアレックスと申します」
続いて奥にいたほうが「私はジェフです」と手を差し出す。
道を聞くだけなのにわざわざ自己紹介なんて律儀な人たちだ。
2人と握手を済ますとアレックスが「ちょっとだけ私の話を聞いてくれませんか?」と聞いてきた。
話?????????????????
道を聞くんじゃないの????????
僕がクエスチョンマークを大量に浮かべながら「はい」と答えると、2人は「ありがとうございます!」と笑った。
結論を言うと宗教の勧誘だった。
それはいいとして、最近はピチピチのスポーツウェアとヘルメットを身に着けて、ロードバイクに乗って勧誘しているんだなぁ…
などと思っていると、
「あなたは、どんなときに幸せを感じますか?
幸せ…?
しばしの沈黙。
アレックスとジェフの視線が突き刺さる。
「黙ってると幸せを感じない人だと思われるから、なんか言わなきゃ…」と焦ってしまい、
「そうっすね……まあ、家族といるときっすかね?」
「おぉ〜」と感心するアレックスとジェフを見たら途端に恥ずかしくなり、その場から逃げ出したくなった。
するとアレックスが「すばらしいですね。よかったら今度会う時間を作れませんか?」と言ってきた。
「忙しいので…」と断ると、
「じゃあ携帯アプリのLINE、使ってますか?交換しましょう」
思わず関心してしまうほど、断られたときの対策もしっかり取られている。
しかし、LINE上でブロックしてしまえばそれ以上干渉されないはずだ。
外国人の友達は欲しいが、ちょっと怖いので申し訳ないがそうさせてもらおう。
アレックスのQRコードを読み込んで、LINE IDを交換した。
新しい友だち欄に表示されたアイコンのアレックスも目が笑っていなかった。
「また連絡します!」
姿が見えなくなったところでアレックスをブロック。
ごめん。
友達を作るのは難しい。
あのときはびっくりして拒否しちゃったけど、
友達ができるチャンスって、案外急に訪れるものなんですね。
ところで……
いま、日本を訪れる外国人が年々増えていますね。
そんなYOUにクエスチョン!
What time do you feel happy?
(あなたは、どんなときに幸せを感じますか?)