3、4年前から謎の湿疹に悩まされている。どこの病院に行っても原因がわからず、「乾燥しているので保湿して様子を見ましょう」と言われて帰されるものの、いっこうに良くなる気配はない。

 

流石にこのままなのは辛いなと思い始め、一度皮膚科の名医に診てもらうことに決めた。いろいろと調べてみたところ、自宅から1時間ほどの場所に人気の皮膚科を見つけた。その先生は的確に疾患の原因を突き止めるので、おかげであっさりと治ったというクチコミが多数ついている。僕はこの病院に行ってみることにした。

 

有給をとって病院に行ってみると、診察時間前だというのにたくさんの人が待合室で待っていた。院内は新しいとは言えないが、綺麗で清潔な印象。これは期待できそうだ。

 

受付を済ませてしばらく待つ。院内をざっと見渡すと、若い女性の看護師さんが多いことに気付いた。若さがあっていいね〜などと思っていると、名前を呼ばれたので診察室に向かった。

 

診察室には男性の先生と、ここにも若い女性の看護師さんが待っていた。

 

症状を簡単に説明すると、先生に患部を見せるように促されたので、Tシャツを脱ぎ、脇のあたりや背中の湿疹を診てもらう。

湿疹は太ももや内股の部分にもある。そう話すと、そこも見ておきたいとのことで、看護師さんがカーテンを引いてくれ、そこでズボンを脱いで先生に診てもらった。

 

先生は何度か頷くようにして患部を見ると「これは乾燥が原因ではないね。洗剤か柔軟剤か、そういったものでかぶれている可能性が高いな」と呟いた。

 

おっ。
こんな診断、はじめてだぞ。
これは治るフラグが立ってるんじゃないか。

 

そういえば。
僕にはもう一箇所、湿疹が出て困っている場所がある。

 

チンチンである。

 

数年間から徐々に勢力を伸ばした湿疹は、とうとうチンチンにまで達したのだ。今ならカーテンも引かれているから、女性の看護師さんも見ていない。

 

「先生、じつはチンチンにも湿疹が出来てるんですよ」

「え、それはいけないな。ちょっと診せてごらん」

 

僕はパンツを降ろし、チンチンを先生に見せた。先生は僕のチンチンを見てふんふんと頷くと、パンツを履いて診察室に戻るように促された。

 

僕が診察室に戻ると、開口一番に先生は叫んだ。

 

 

「そこのはね、全然別!」

「チンチン、カビ生えてるわ!」

 

 

奥で書類に向かっていた女性の看護師さんが、さらに前のめりに書類に向かうのが見えた。

 

 

「きみ包茎だから、湿気てるんだろうね。薬で治るよ」

「大丈夫、包茎手術する必要はないからね!」

 

 

看護師さんは、さらに深い深い姿勢で書類に向かった。
僕は意識を失った。

 

 

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