回転寿司が好きだ。回転寿司に行くと、ついはしゃいでしまう。

 

とはいえ、いくら「はしゃぐ」といっても、普通はせいぜい昼から酒を飲んだり、マヨコーン軍艦みたいな寿司に手を出してしまうくらいが関の山だろう。何故なら、行き過ぎた「はしゃぎ」は迷惑になるし、迷惑をかけると大人は法律で罰せられてしまうからだ。

 

……しかしもし、世界のどこかに「法律の無い回転寿司屋」があるのなら、やってみたいことはたくさんある。

ここからは、私が法律の無い回転寿司屋でやりたいことを発表していきたい。

 

まず、法律の無い回転寿司屋でやりたいことといえば、やはり『寿司を食べた後に空の皿をレーンに戻す』は鉄板ネタだろう。

皿の数で料金を算出するという、回転寿司特有の性善説に基づいたシステムを悪用したいという欲求は、誰にでもあるはずだ。

 

しかし、個人的には空の皿をそのまま戻すのはさすがに忍びないため、寿司の代わりに、事前に拾っておいた『キレイな石』などを大量に皿に載せてレーンに戻したい。

食を進めるにつれ、レーン上に少しずつキレイな石が流れていく様子はきっと神秘的なはずだし、レーン上が全てキレイな石で埋め尽くされた時、その内側にいる寿司職人はその美しさから「天の川……」とつぶやきながら涙するに違いない。

恐らくその後は、キレイな石の重さでレーンが床ごと抜け落ちるので、レーンに囲まれた寿司職人は型抜きの原理で地下へ落下するだろう。涙を流す寿司職人が一瞬でボッシュートされる様子は、まるで打ち上げ花火のように儚くも美しく、それを見ながら食べるマヨコーン軍艦はきっと格別だ。

 

また、予算的に余裕があれば、『マヨネーズが無限に出る装置をレーンの上に取り付けたい』という気持ちもある。

“マヨネーズが真下に向かって無限に出る装置”をレーンの上に取り付ければ、レーンを流れる寿司たちは次々とマヨネーズの下をくぐることになり、大トロもカッパ巻きも、全ての寿司が分け隔てなく「マヨネーズ味」になるのだ。いわばこれは寿司カーストの排除、寿司身分の統一化と言っても過言ではない。

すると結果的に、どの寿司を食べても同じ味になるため、値段の安い皿から積極的に取られてゆき、そうこうしているうちにレーンを一周した大トロには再びマヨネーズがかけられるハメになるだろう。これは、普段大トロを食べられない私としてはいい気味である。

 

なお、この装置からはマヨネーズは無限に出る。そのため、レーン上には大量のマヨネーズが積雪のように積み上がり、最終的にはマヨネーズの重みでレーンの床が抜け、寿司職人はやはり地下に落ちることになるだろう。

その様子を眺めながら食べるマヨコーン軍艦(マヨ2倍)は、やはり格別だろうし、寿司職人を倒した際にGETできる”キレイな石”は、次の寿司職人を倒すためのアイテムとして活用できるので一石二鳥だ。

 

以上の理由から、私は法律の無い回転寿司屋に行きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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