ブロス編集部です。

8月の日曜日は色んなジャンルの「オススメ小説」をご紹介する記事をお送りしたいと思います。

 

今週は……「オススメのどんでん返し・叙述トリック系小説」!そのギミックに驚きましょう。

 

 

 

★ご注意★

今回のテーマ「どんでん返し・叙述トリック系小説」は、紹介した時点でその作品に「どんでん返しがあるのね」という先入観が読む前についてしまうため、フラットな気持ちでいつかその小説に出会いたい…という方は記事の閲覧をお控えください。

 

 

 

 

↓別にいいよ!という人は以下よりご紹介します

 

 

 

 

かまどのオススメ叙述トリック小説

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○○○○○○○○殺人事件(早坂吝)

【オススメ人:かまど】

作品タイトルが伏せ字になっており、「◯に何の字が入るか」を推理するという、世にも奇妙な「タイトル当て」の小説です。

……それは、そうなんですが、この作品を説明するときって、こういうことでいいのかな? なんか、それどころじゃない作品だと思う。人によりますが、個人的にはかなりの奇作だと思っています。

奥歯に物が挟まったような言い方で申し訳ありません。この作品を最後まで読んでいただけたら、僕が言いたいことが分かってもらえると思うのですが……。

 

余談ですが、僕は「どんでん返し作品を読みたいけど、そういう作品だと分かった状態で読むのはイヤ」という性分なので、気になるどんでん返し作品を見つけたら、同じタイミングで別の本も何冊か合わせ買いするようにしています。

その状態でしばらく経つと、「どれがどんでん返し作品だったか」を忘れるので、いざ読んだときには前情報ナシでどんでん返しと出会うことができるんです。

この「○○○○○○○○殺人事件」もそんな流れで出くわし、まんまとビックリしました。思ってもいない角度から「驚きの結末」がやってきて、「どんでん返しってこういうのもあるんだ…」と思い知りました。

エロ系の描写がありますし、いろんな意味で人を選ぶ作品ですが、もし興味があったら読んでみてください。この本を読んだ人がどんな感想を抱くのか知りたいんです。

 

 

まきののオススメどんでん返し小説

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逆転美人(藤崎翔)

【オススメ人:まきの】

美人であるが故にいくつもひどい目に遭ってきたとある女性が、娘が通う学校の教師に襲われたことをきっかけに執筆した手記。10万部以上売り上げておりご存知の方もいるかと思います。

帯の時点で「伝説級トリック 見破れますか?」と書かれていて、最早くぐれるんじゃないか?というぐらいにハードルは上がりきってるんですが、叙述トリック系・どんでん返し系だと分かってて読んでもこの中に仕込まれたギミックはマジで凄すぎるし、注意深く読み進めてみごと見破れたとしても、その面白さが半減するというわけでもないというとてつもない構造になっています。

もし自分が思いついたとしてもとても実行に移す気が起きないほどの超絶難易度に感動しつつ、小説というジャンルで出来る最大限の遊び心がこの一冊に凝縮されています。

 

 

ダ・ヴィンチ・恐山のオススメ叙述トリック小説

消失!(中西智明)

【オススメ人:ダ・ヴィンチ・恐山】

中西智明、初にして唯一の単行本。1990年にこの作品を発表して以来、ほとんど目立った活動はしていないそうですが、今なお語り継がれるのも納得な仕掛けがあります。

謎の犯人に殺害された赤毛の被害者。しかし、いつのまにか死体が消失してしまう。そしてさらに別の場所で別の事件が発生し、見つかった死体も赤毛で……。

メインになるのは、一見すると無関係な3つの事件。事件の足取りを追ううちに判明する真実というのが…………説明できないんですが、奇抜そのもの。追いかけていたはずの真相ごと消えてなくなってしまう、表題通りの「消失!」なのです。

途中で明らかに「なんか、この表現…………」と”匂い”に気づく方ももしかしたらいるかもしれません。でも大丈夫です。たぶん超えてくるから!

 

 

原宿のオススメどんでん返し小説

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装飾評伝(松本清張)

【オススメ人:原宿】

「どんでん返し」とはちょっと違うかもですが、読んでいく内に思っていたような話ではなくなる、人間の暗部が見る見る立ち上がってくるという意味では、30ページなのに圧倒的な迫力のある短編小説です。名和薛治(なわ せつじ)という夭折した画家を巡る物語で、その破滅的な人生に興味を持った書き手は、名和薛治の盟友であり彼の活動を支えた芦野信広という男について調べ始めるのですが、二人の関係の真実が見えてくるに従って、芦野が名和について残した文章の本当の意味に書き手は気づくことになり……というお話。

一見、名和のことを友として慮る芦野の心情が現れたような文章も、真相を知る者にはゾッとするような闇が見え、何気ない文章だけで、人間の二面性をこれほど表現できるものなのかと舌を巻きました。偉人の伝記や立志伝に書かれていることなんて、語る人間や見方を変えれば180度変わってしまうかもしれないなと、この短い小説を読むだけで痛感できます。人間、多層すぎ!

 

 

加味條のオススメどんでん返し小説

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悪いものが、来ませんように(芹沢央)

【オススメ人:加味條】

「どんでん返し」という前提で本を紹介するとなると、つい口が重くなってしまうのですが……どんでん返しと聞いて真っ先に思いついたタイトルが、この『悪いものが、来ませんように』でした。

主人公は、育児中の柏木奈津子と、不妊に悩む庵原紗英の二人。紗英の夫は不倫しているらしく、紗英は様々な悩みや苦しみを子供のころからの最も近しい存在である奈津子に打ち明けて、お互いを支え合いながら日々を送っています。

そんな二人の主観による日々がつづられる間に、時々周囲の人物による不穏な「証言」がカットインされます。どうやら証言によれば、少し先の時系列にて、紗英の夫が何者かに殺される事件が起き、それに奈津子が関わっている模様……。果たして、二人に何があったのか?

我々が小説を読むとき無意識にやってしまう「あること」を絶妙に逆手に取られ、「騙された!」と気付いたときには思わずページをさかのぼって、「ああ……あのとき確かに違和感あったけどスルーしてた……」と伏線の巧妙な隠し方に頭を抱えたくなるような気持ちになります。

 

 

ギャラクシーのオススメどんでん返し小説

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十角館の殺人(綾辻行人)

【オススメ人:ギャラクシー】

「どんでん返しと言えばこれでしょ」と誰もが名を挙げるであろうベタベタなチョイスですいません。でも当時読んだ時ほんとに衝撃だったんです。物語的には孤島で起きる連続殺人もので、一見よくありそうな設定ではあるのですが、終盤のたった一行で、誰もが「え?は?…………ぁぁあああ!!!そういうことかァァ~~~!!バカバカバカ、自分のバカ!!!」となるトリック。あまりにもシンプルで、だからこそまったく疑わずに冒頭から解決まで読んでしまう。その一行の前と後では物語の前提が完全に覆るので、もう一回最初から読みたくなります。

あとキャラクターがいちいち魅力的で、「犯人は誰か?」以前に、「探偵役は誰か?」ってなっちゃうんですよ……。孤島と本土、2つの舞台で同時に物語が進行するのですが、そのどちらにも、普通のミステリなら主人公(探偵役)を張れそうなキャラクターが複数いるんですね。そしてこの「探偵役は誰か?」が意外と大事というか。探偵が犯人であってはならない的なルールってあるじゃないですか。つまり「探偵じゃなかったら犯人の可能性が出てきちゃう」んですけど、犯人も探偵もわからないまま、ず~~~っと翻弄され続けます。

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ちなみに、文字を読むのが苦手な人は、清原紘さんがコミカライズしたやつもおすすめです。この方、綾辻行人さんの他作品『Another』もコミカライズしててどっちもおすすめです

 

完!

今週は以上!気になったら是非読んでみてくださいね。

それではさようなら。