こちらは「漫画」で検索したら出てきたフリー画像です。

 

「あっ! HUNTER×HUNTERでヂートゥがぶっ潰されたシーン読んでる!」と思ったけど、よく見たら違いました。

 

 

それはそうと、みなさん「少年ジャンプ+」読んでますか?

ジャンプ系の漫画配信サービスなんですが、累計発行部数800万部を突破した大ヒット作「SPY×FAMILY」が連載中だったり、インターネットを沸かしまくった「チェンソーマン」が最終回の後にジャンプ+凱旋を発表したりと、いま注目度が爆あがりしています。

常に何かしらの連載漫画が無料で読めるので、すでに愛好している方も多いかもしれませんね。もちろん僕も毎日楽しませていただいています。

 

ただ!

今日は声を大にしてこう言わせていただきたい!

 

ジャンプ+は
読切漫画もすごい!

 

ジャンプ+では、週刊連載されている作品の他に、たまに1話完結の読切漫画が掲載されるのですが、無料で読めるということも相まって、定期的にインターネットで話題になっています(体感的には、今年は特にすごかった気がする)

しかし、連載作品と違い、一回限りの読切漫画はタイミングを逃すと出会い直すのが難しいものです。あんなに面白いのに一期一会なんてもったいない!

 

ということで、今回はインターネットで話題になったかどうかはさておき、僕が今年一年間読んできて個人的に好きだったジャンプ+の読切漫画ベスト10を発表します。

先生方の作品に勝手に順位をつけるなんて大変おこがましいのですが、どれもまだ無料で読める作品ですので、みなさんが良い読切漫画と出会うきっかけにしていただけたら幸いです。

 

 

10位:宇宙(そら)を超えて、つながる。

<あらすじ>

宇宙人、襲来。地球に降り立った彼女は人間によく似ていた。ただ一つ、ある器官を除いて—彼女の望みは地球人と「手を取り合う」ことだった。何気ない望みに隠された思いとは!?

(少年ジャンプ+より引用)

地球人と異星人の無修正エロ漫画

↑嘘は言ってないんですが、実際のところはサイテーなSFギャグ漫画です。倫理観のネジが外れたインモラルなギャグや、ド直球なエロギャグが織り交ぜられていてめちゃくちゃ面白い!

「地球人とよく似ている異星人だけど、ある1つの器官だけが決定的に人類と違っている」というボタンを一個だけ掛け違えたようなシンプルなSF設定ですが、その1つの掛け違いだけで物語がのびのび展開していく設定力は読んでいて本当に気持ちがいいです。

SFとギャグという二重の皮をかぶっているので、一見すると単純に笑える漫画のようにも思えるのですが、よくよく考えるとシリアスな問題を風刺するようなシニカルな面もあるので、その分読み終えた時の満足度も高い気がしています。

ぜひ読んでみてください!

 

作者のくぼたふみお先生はリイド社で連載されているそうです。

 

9位:未読無視してんじゃねぇよ

<あらすじ>

ジャンプ新人作家随一の美麗作画×ギャグ漫画界の第6世代の新境地!ジャンプ期待の作家2名による奇跡のコラボレーション読切!!未読無視を受け続ける男の物語!!ぜひ最後までお読みください!

(少年ジャンプ+より引用)

芸人界が沸いたギャグ漫画!

アホ男子2人がチャットでじゃれあってる感じが微笑ましい漫画です。昔、バイトの夜勤中に友だちとLINEでバカ話をしていた頃を思い出して、個人的にはノスタルジーな気持ちも抱きました。

コントのような会話の面白さがベースにある漫画ですが、チャットという表現を通して漫画としての面白さにしっかり変換されているため、「読んで楽しむ会話劇」みたいな他の漫画にはない味わいを感じます。調べてみると原作担当の畠山達也さんが元芸人さんだそうで、なんだか納得しました。

公開当時は芸人界でも話題になってました

物語終盤で見せる展開も捻りが利いていて、「笑える」だけで終わらない贅沢な読み切り作品です。また、LINE画面を効果的に使った粋なコマ割り演出や、思わず読み返したくなる構成、読み込むと分かる小ネタなど、何度読んでも楽しい漫画でもあります。

ぜひ読んでみてください!

作画担当の杠憲太さんは現在ジャンプ+で「僕より目立つな竜学生」を隔週連載中。絵が綺麗でめちゃ好き。

 

8位:宇宙の彼方のLDK

<あらすじ>

「顔がこの世に向いてない。」まの瀬先生、待望の新作読切!宇宙の彼方で旅をする少女三人が紡ぐ、まの瀬ワールド全開のSF×ミステリー×コメディ!!

(少年ジャンプ+より引用)

ひねくれ者の正統派SFミステリー!

ジャンプ+で「顔がこの世に向いてない」という素直にひねくれたタイトルの漫画を連載されていた「まの瀬」先生の新作読切です。

「顔がこの世に向いてない」は完結済み全3巻の4コマ漫画なんですが、台詞回しがとにかくセンスフルで面白いです。

何かしらコンプレックスを持つ人は悲しいかな共感してしまう、筋金入りのひねくれ者の漫画です。

 

そんな「まの瀬」先生の新作読切ですが、意表をつかれるほど真っ直ぐな本格SFミステリでびっくりしました。多分いろんなSF作品のオマージュが散りばめられていると思うのですが、僕は一つもわかっていませんし、それでも十分に楽しめます。SFの教養がある人はもっと面白いんだろうな〜と思うと悔しいですね。

僕はこういう作者の「好き」がぶち込まれた作品がとても好きなので、読んでいてワクワクしましたし、「顔がこの世に向いてない」を読んだ感じだと、まの瀬先生は多分こういう引き出しをいっぱいお持ちの方だとお見受けするので、次回作もすげー楽しみになりました。

まの瀬先生らしいメタチックな視点も、ミステリー構造をぶん投げるような方向ではなく、ミステリーを成立させる&練度を高める方向に機能していて、「この人、本当にSFとミステリが好きなんだな」と圧倒されます。あと、これは余談ですが、作中でダイイングメッセージを大陰唇マッサージと言い間違えるシーンはバカほど笑いました。

ぜひ一度読んでみて下さい!

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7位:アンテン様の腹の中

<あらすじ>

何をやっても中途半端な一斗は、神社で「神頼み」を試みる。怪しい神社で出会った人に、大事なものを捧げれば願いは叶うと言われるのだが——…!?

(少年ジャンプ+より引用)

お手本のようなホラー系ショートショート!

「星新一」や「世にも奇妙な物語」で例えると雰囲気が伝わりやすいかもしれません(週刊ストーリーランドはどうだろう? 今の若い人は知らないかもな)。読切漫画ってこういう作品と出会えるからたまんないですよね。

話の構成はもちろんなんですが、登場人物の描写にも何だかひりつくような緊張感が常にあり、一貫して気のぬきどころもなくダークな雰囲気を湛えていて読み応えがあります。

ストーリーにはきっちりオチをつけている一方で、「だとするとこれって…?」と読後に反芻できる余白も残しており、まとまりよく話が収まっているようでありながら、描かれている以上の怖さもジワジワと感じられる秀作です。あと、これは趣旨とズレるかもしれませんが、アンテン様がかわいい。キレイ。好き。

ぜひ一度読んでみて下さい!

 

6位:本気出せばお前殺せる

<あらすじ>

倉橋桜子・18歳。控えめで大人しい大学生の私は今日デートに行く。でも女だからといって甘く見ないで。だって私、本気出せばお前殺せる!

(少年ジャンプ+より引用)

パワーワード由来のバズり漫画

筋トレインフルエンサーのTestosteroneさんが提唱して以来、インターネットでよく聞くようになったパワーワード由来の漫画です。

実際にそういう経緯で誕生したらしい

こういう「なんか聞いたことある言葉」を発想の起点にした創作物がすごく好きなんですが、どなたか共感していただけるでしょうか? 発想の出発点が共通認識な分、作者の創作の軌跡が垣間見えるというか、簡単にいうと「アレからよくこんな話作れるな〜!」と感嘆するんですよね。漫画家ってすごい。

始まりからオチまで分かりやすく面白い漫画なんですが、「女性の生きづらさ」のようなややこしくなりそうな要素も含んでいたりもするので、僕らが小難しく考えずに分かりやすく楽しめるように全体を通してデザインされており、それもすごいな〜と感じています。

余談ですが、僕は漫画でよく見る「恥ずかしくて赤面したとき、頭からボンッと煙を出すシーン」には絶大な信頼を寄せているんですが、この読切で見たそのシーンは今まで見た中でも一番かわいかったかもしれません。

 

5位:ジーニアスピカソ(正式名称ではない)

<あらすじ>

学業成績超優秀の天乃は美術の課題で「自分」を描くことに。だが勉学以外の能力は皆無の天乃は…!?「描くこと」を巡る劇的青春ドラマ読切32P!!

(少年ジャンプ+より引用)

こんなの無料で読めていいのか?

荒木飛呂彦先生を彷彿とさせるようなアーティスティックな画風で、それ自体が漫画と、物語の結末の魅力をめちゃくちゃに補強しています。

アバンギャルドな絵柄だけでなく、コミカルだったりスポーティだったりと描かれている表現の幅も広くて、ページの隅々まで読み込みたくなるタイプの漫画だと思います。キャラクターもポップで魅力的。

僕は、そもそも「天才」を描く漫画が個人的に大好きなんですが、この漫画は「天才」と「努力」の対比軸の中に「AI」という視点を盛り込んでおり、その感覚がとても新鮮でした。

特にラスト7ページの展開は、抗いようもなく胸に込み上げるものがあります。ラストに対する言及なしにこの漫画についてオススメするのは難しいので、とにかく読んでみてください!

 

4位:つつぬけけもみみ

<あらすじ>

他人からは見えない「耳」が生えている女子高生・上溝は、離れたところの人の心臓の音を聞くことが出来る。小学生からの友人・寒川の心の音に変化が聞こえたのだが…!?

(少年ジャンプ+より引用)

THE・読切!

読切漫画を見ると、つい「新連載のためのトライアル」みたいな捉え方をしてしまい、「おもしれー! この話、そのまま連載しないかな!」と無責任にも思ってしまったりします。ただその一方で、この「つつぬけけもみみ」のような1話完結だからこそ面白い漫画と出会えるのも読切の醍醐味なのかもしれません。

思春期のかわいい恋を平熱で淡々と描く作風で、読んでいるこっちもなんだか自然と口角が上がっていくような(こういうとき、「いま自分の顔キモいだろうな〜」って思うよね)爽やかで気持ちの良い青春ラブコメです。作者である「へじていと」先生の他作品を見る限り、こういうのが得意な方なんだろうな〜と思います。

正直他にも色々言いたいことはあるんですが、とにかく読んでもらえたら僕が何が言いたいのかわかっていただけると思うので、何はともあれぜひ読んでください!

 

今年は別の読切も掲載されていました。相変わらず可愛い。

 

3位:全部宇宙人のせい

<あらすじ>

宇宙の不思議に魅入られた少年とその隣人ハイガ。ハイガは少年が虐待を受けているのを察知し自分は宇宙人である、と少年の夢に話を合わせて労っていた。そんなある日、少年にある出来事が起きてしまい…!?

(少年ジャンプ+より引用)

こういうお姉さんが好きだ

アニメ「フリクリ」のハルハラ・ハル子さんのような、「子どもでしかない自分をどこかに連れていってくれそうな奔放で謎めいたお姉さん」が大好きなので、性癖ドンズバの漫画でした。ありがとうございます。

絵が好き。線が好き。ストーリーが好き。世界観が好き。それら全てが元になって醸成されているパッキパキの雰囲気も全てが好き。

ヘビーな題材にもかかわらず、魅力的なキャラクターやポップな世界観でコミカルに仕上がっていて、なんだかスキップするように軽やかに読み進めることができる気持ちが良い漫画です。ぜひ読んでみてください!

 

今年、別の読み切りも掲載されていましたが、こちらはめちゃくちゃ狂ってました。おもしれー!

 

2位:骸区

<あらすじ>

殺害事件が多発する街・ガラ区。ヤクザの抗争に巻き込まれた青年が空き地で目にしたのは、日本刀を持って眠る老人だった。編集部注目の才能、堂々登場。

(少年ジャンプ+より引用)

週刊少年ジャンプでも活躍中!

雑誌の方の少年ジャンプで「SAKAMOTO DAYS」を連載なさっている鈴木祐斗先生の読切です。

まとめながら「あれ? この読切って去年じゃなかったっけ?」と思いましたが、どうやらジャンプ連載開始祝いで今年また再掲されていたようです。せっかくなので、今回のまとめに入れさせてもらいました。

鈴木祐斗先生の描くアクションシーンはバカくそにカッコよくて大好きなんですが、特にこの漫画では「斬る」描写が洗練されていて凄まじいです。

今まで、いろんな漫画で人体が切断されるシーンを見てきましたが、この「骸区」では本当にフィクションとは思えないレベルの描写力で「この人、本当に人肉斬ったことあるんじゃねえか!?」ってくらい肉感的です。めちゃくちゃド迫力なので、ぜひ見てほしいです。

 

また、同先生の読切「ロッカールーム」は今年「世にも奇妙な物語」で実写化されたりもしました。

いずれの作品も尖ったセンスが心地よくて、「チェンソーマン」の藤本タツキ先生を思わせる、まさに「鬼才」の名に相応しい先生です。

 

1位:ヤドカリの国

<あらすじ>

ヤドカリに地上を乗っ取られた!?ヤツらに奪われた家屋を取り戻せ!次世代作家が贈る工事エンタメ!

(少年ジャンプ+より引用)

カッケー!!!!!

めちゃくちゃカッコいい王道のジャンプ漫画。めっっちゃくちゃカッコいい。だ〜〜〜〜〜い好き!!!

かわいいくて表情豊かなキャラクターやダイナミックな魅せゴマの連発、ケレン味たっぷりで読んでいてめちゃくちゃ気持ちがいいです。初めて堀越耕平先生の漫画を読んだ時と同じ感覚を覚えました。

クリーチャーの描き方も随一で、生理的に「こいつやばっ」と思わせる生物の造形も最高! クリーチャーだけでなく、世界観も背景の実在感もバカ高いレベルの描き込みようで、作中のヒーロー的存在のカッコよさが際限なく際立つ正統派ジャンプ漫画だと思います。

あと、この漫画にはみんな大好きお嬢様キャラが登場するんですが、これがまたジャンプらしい「ドン!」という効果音が似合うカッケーお嬢様。2020年お嬢様ランキング第1位です。

こんだけの漫画が描けるんだから、この方はほどなく週刊連載を始めるでしょう。川口勇貴先生という名前はよくよく覚えておこうと思います。今年、週刊少年ジャンプ(WEBじゃない方)にも、「レッドフード」という読切が掲載されていましたが、これもめちゃ面白かったし、クリーチャーの造形も身震いするくらい怖カッコよかったです。

 

最後に

ご覧のように、ジャンプ+にはめちゃ面白い読切漫画がごまんとアーカイブされていますし、きっと来年も続々と公開されていくことでしょう。

こんな「オモコロブロス」なんて毒にも薬にもならないメディアを読んでたら時間がもったいないので、みなさんもなるべく人生の早い段階でジャンプ+をブックマークしてみてください。

 

今年、ネットでも大いに話題になっていたこちらの読切漫画「その淑女は偶像となる」ですが、その人気ぶりが目に止まったのか、晴れてジャンプ+で新連載が始まるそうです。

こんな感じで「今後スター漫画になるかもしれない」作品と出会えたり、それをクチコミという具体的な手段で応援できるのもジャンプ+の醍醐味だと思っています。

 

ここまで好き勝手におすすめをしてきましたが、もちろんここで紹介したものの他にも面白い読切漫画はいくらでもあります。

みなさんも「私はこの読切が好き!」「おい、この作品を忘れてるぞ!」みたいな漫画があったら、ぜひ教えてください。

>>ジャンプ+へGO!<<

 

 

最後に、今年に限らず、これまで読んだジャンプ+の読切漫画の中で、僕が一番好きだったものを紹介して終わりたいと思います。

 

山田キキ一発

くそカッケー!!!!!

 

<おしまい>