ブロス編集部です。編集部メンバーがここ最近読んで面白かった漫画を紹介するコーナーのお時間です。題して「今月の読良漫(よよまん)」です。

それでは早速編集部メンバーの「読良漫(よよまん)」をご紹介しましょう。

 

望まぬ不死の冒険者

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【オススメ人:ギャラクシー】

万年うだつの上がらない冒険者である主人公。ある日、竜に飲み込まれ、気づけば魔物(スケルトン)になっていた。彼は魔物が経験値を得ることで進化する「存在進化説」を信じ、もっと人の姿に近い魔物へ、そして最終的には人間に戻る日を夢見て戦う…という、いわゆる「なろう系」のファンタジーだけど、すごいスキルやステータスを持った“俺TUEEE”というタイプではなく、むしろ最弱であるスケルトンからのスタート

声帯がなくて喋れないから、そのままでは街にも戻れないし、冒険者と出会うと討伐されてしまう。そこで、より上位の、より人間に近い存在になるために経験値を稼ぎつづける。グールに進化して「発声する」ことができるようになったり、さらに進化して「皮膚がある」屍鬼になったりすると、他人事ながら「よっしゃー!これで顔さえ隠せば街に戻れるぞ!」とか、「次は何に進化するんだろう?」とワクワクしてしまう。

事情を知られると討伐されてしまうかもしれないため、秘密を打ち明けられる人間をかなり選ばなければならないというドキドキもありつつ、そんな中で彼をサポートしてくれる女性がいたり……人間の頃には叶わぬ夢だった超一級冒険者を目指したり、といったドラマも良い。

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くノ一ツバキの胸の内

【オススメ人:ヤスミノ】

山本崇一朗の漫画は基本的に大げさな物語にならないというか、非常に小規模な人間関係を描きます。代表作「からかい上手の高木さん」も、ただ高木さんという女の子が主人公である西片をからかうだけ。それなのに14巻、そしてスピンオフは10巻も続いています。

決して悪い意味でなく物語としての推進力が弱い。「くノ一ツバキの胸の内」も例に漏れずそういう漫画で、そして僕はそういう漫画がめちゃくちゃ好きなんです。

物語の舞台は男性との交流を禁じられたくのいちの里。物語のフックは「男性を見たことがないまま育ったくのいちが、なんとなく男性に関心を抱く」だけで、キャラクターとしては男性すら登場しません。聞き伝えで男性の話を聞いてドキドキするだけ。物語の推進力弱いな〜。でもいいんですよね。

また今作は従来と異なりラブコメに終始せず人間関係や友情にフォーカスしたお話が多く、染み入るような良さがあります。

何かの創作物は別に完璧である必要はなく、むしろ歪さだったり偏りがその表現を突出させたものへと輝かせる場合が往々にしてあると思っていますが、それでもなお山本崇一朗作品は完璧で隙がないと言いたくなります。どの作品も面白くて、涙がでるほど素晴らしい。

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花井沢町公民館便り

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【オススメ人:かまど】

5年前に完結済みなんですが、最近知って一気読みしました。全3巻なので、とっつきやすかったです。

この漫画は、小さな一つの街がひょんなことから見えない壁で外界と隔離されてしまう、という物語。
SFな設定ではあるんですが、「そんな街に生きる、平凡な人々の日常を描く」の一点に絞られていて、その温度感が気持ちよかったです。

この見えない壁には「生き物だけが通れない」というちょうど良い設定があり、物品や資源の交流はでき、国からの支援も受けることができるため、一見すると悲劇的ではないものの、人間の行き来は一切できないので、近い将来滅びることは確定しているという塩梅の、気だるく退廃的なムードが物語全体を覆っています。

また、その街で暮らす人々の悩みも、小さな街の中で終わっていく人生に対し若者が抱くやるせなさとか、閉鎖空間で起きる人間関係のアレコレとか。
我々が住むリアルな世界でもよくある歪みのようなものが、「見えない壁」という設定のおかげでみるみる可視化されていくようで、ある意味痛快です。

僕はこういうアプローチをする作品が大好きなので、久しぶりに自分の性癖とドンピシャの漫画と出会えて嬉しかったです。
物語の結末も秀逸&粋で、読み終わったあと誰かと感想を共有したくなる漫画だと思います。

 

■また来月

また来月、「読良漫(よよまん)」をご紹介させていただきます。

それではさようなら。