こんにちは、山口むつおです。
2017年の「このマンガがすごい!」が発表されましたね。オトコ編の第一位は「中間管理録トネガワ」、オンナ編の第一位は「金の国 水の国」でした。
もちろんこれらの作品も気になるんですけど、この作者が描いた他の漫画も気になりません?
というわけで今回は、「歴代のこのマンガがすごい!で1位を取った漫画の作者が昔描いていた漫画」をご紹介したいと思います。前に広告に出ている漫画を実際に読んで紹介するっていう記事を書いたのですが、これ系の企画は地味に懐が痛みます。
目次:
▶2017年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
▶2016年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
▶2015年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
▶2014年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
2017年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「中間管理録トネガワ」
福本伸行(協)萩原天晴(作)三好智樹、橋本智広(画)となっています。福本先生はそもそもネタになっているカイジの作者ですから割愛するとして、その他の方々の過去に描いていた作品をご紹介しましょう。
原作・萩原天晴 先生が過去に描いていた作品
甘味が大好きな主人公・飴谷が新しい就職先で選んだ職種は営業職。その理由は……さっさと営業先を回ってしまえば、サボって甘味を食べられるから!この漫画、スイーツを食べるまでの過程の話も面白いのですが、食べた時の感動の表現が訳が意味不明で良いです。
例えばきんつばを食べる回では、気をつけの姿勢のままゆっくりときんつばを貫通する、という感動の表現がされていました。意味わかんないと思うけど、これ描いてあったまんまの説明だから。気になるなら読んでみてください。
三好智樹先生、橋本智広先生の作品はAmazonやWikipediaで調べてみましたが、見つけられませんでした。デビュー作なのかもしれません。
オンナ編 第一位:「金の国 水の国」
岩本ナオ 先生が過去に描いていた作品
そもそもこの漫画の大前提の設定として、「主人公・秋姫は天狗と普通の人間のハーフだ」という事と、それを当たり前のものとして受け入れている町の人たちの存在が、この漫画にちょっと不思議な雰囲気を与えている気がします(ちなみに天狗のハーフといっても、ちょっと力が強いくらいで鼻が長いとかはない)。
天狗の掟みたいなものはあるんですけど、それもゆる〜く存在していたり、父親の天狗がいっつも秋姫のことを心配していたり、偏見を持たずに接してくれる同じ学校の男子を好きになったり……。普通の高校生の日常に少し天狗の設定が乗っている、という空気感がなんだか良い漫画です。
2016年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「ダンジョン飯」
九井諒子先生のショートショート集。33の話が載っています。絵の画風までそれぞれ違っていたりして、ちょっとびっくりするかもしれません。何気ない日常からすごいオチになるような作品ではなく、不思議な設定の中でふわっと完結する作品が多いです。僕らと同じ現代社会なのに、グルメ仲間と田舎へ龍を食べに行く話とかね……!
個人的には「ショートショートの主人公」という、ショートショートの主人公として生まれた娘がひょんなオチで死なないか、両親がめちゃくちゃ心配する話が好きです。
オンナ編 第一位:「ヲタクに恋は難しい」
探してみたけど見つかりませんでした!これがデビュー作なんでしょうか。
2015年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「聲の形」
大今良時 先生が過去に描いていた作品
冲方丁先生のSF小説を大今良時先生が漫画化した、かなりハードボイルドな設定です。
「少女娼婦である主人公が信頼していた男の裏切りで殺され掛ける」「『マルドゥック・スクランブル-09法(命保護に限って禁じられた科学技術を使ってもよいという法律)』によって、全身に金属繊維の人工皮膚を移植され、電子機器を触れずに操作できるようになる」「ねずみの姿をした、様々な武器に化けるロボットの相棒」「感情を失った、元相棒が襲いかかってくる」
……どうですか?この中2設定、たまらない人多いと思います。
オンナ編 第一位:「ちーちゃんはちょっと足りない」
阿部共実 先生が過去に描いていた作品
様々な人間のうまくいかない日常を描くオムニバス短編集。笑える話から、それわかるわーという話まであるんですが、特に心にガツンと来るのは結構な頻度で収録されている後味の悪い系の話です。
一見ハッピーエンドに見えるんだけど、あれ?これは主人公側の解釈で、こいつは不幸じゃね?とか、行き過ぎた愛情が自分の破滅を招いたりとか……。「空が灰色だから」というタイトル、なるほどね〜〜めちゃくちゃハマってるわ〜〜〜〜!
2014年の1位をとった漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「暗殺教室」
松井優征 先生が過去に描いていた作品
あの週刊少年ジャンプで大人気だったネウロ!説明は不要ですよね。っていうか松井先生の連載ってネウロと暗殺教室の2つなんですが、どっちもアニメ化してるってすごくないですか??
オンナ編 第一位:「さよならソルシエ」
穂積 先生が過去に描いていた作品
穂積先生のデビュー作。ほんでこれも「このマンガがすごい! 2013 オンナ編」で第2位とってますからね……すごいわ……。
これだけ短い読み切りで、かつ日常的な話でホロっとさせられちゃうのがこのマンガのすごいところなんですけど、それにはショートショート的なオチの付け方のうまさもあるからじゃないかなぁと思いました。特に「式の前日」「あずさ2号で再会」はぜひ読んでほしいと思います。
2013年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「テラフォーマーズ」
貴家悠先生が原作、橘賢一先生が作画となっています。貴家先生は橘賢一先生のアシスタントだったのですが、編集者にネームを評価され、そのままテラフォーマーズの原作者になっちゃったみたいです。
作画・橘賢一 先生が過去に描いていた作品
施設の虐待から逃げ出した銀次と皐月。15年の時が経ち、銀次は凄腕のギャンブラーとなり、皐月が店長のパチンコホールの用心棒になるところからストーリーは始まります。
毎回店にはゴト(パチンコでのイカサマ行為)を仕掛ける奴らがやってくるんですが、そいつらを銀次が圧倒的なギャンブルの腕と頭脳でとっちめるのが主な展開です。ギャンブルだけではなく、最終的にスロットの目押しで鍛えた親指で相手を突いて暴力で解決するのも面白いです。
オンナ編 第一位:「俺物語!!」
河原和音先生が原作、アルコ先生が作画の作品です。
原作・河原和音 先生が過去に描いていた作品
中学時代までソフトボール部一筋で行きてきた主人公の晴菜は、高校こそ恋をするぞ!ってんで部活をせずにモテのことばかり考えてるんだけど、さっぱりモテません。そこで超イケメン&男ウケをよく知る同じ学校の先輩・ヨウにモテのコーチを依頼し……?
……って、そんな展開あるかいアホンダラァァァ!!って思いながら読んでたんですが、もう続きが気になって仕方ないです。ヨウの友達(いいヤツ)がいるんですけど、そこらへんとゴチャゴチャしちゃわないか心配だし、ヨウが結構なクールキャラなので、晴菜に失言かまさないかも心配……晴菜は天然でいいコやから余計さぁ……。
ちなみにこの漫画、2011年に映画化されてます。
作画・アルコ 先生が過去に描いていた作品
主人公の康子が同じ塾に通ってる椿くんを好きになって、なんやかんやあって家に遊びに行くくらい仲良くなるんですけど……。
この康子のお兄さん・健児と椿くんのお姉さん・エリカが、昔バリバリのヤンキーでバチバチだった事が発覚。しかも康子と健児は元々仲が悪いしで話がめちゃめちゃもつれるんですけど、こうね、ちょっとずつお互いがお互いを理解していく感じ?打ち解けて素直になる瞬間?いいよね〜〜〜。
少女漫画だけど半分ギャグ漫画みたいな展開でおもしれぇ〜と思ってたら、TOKIOの松岡くん主演でドラマにもなってたんですね。
2012年の1位を撮った漫画と、その作者が過去に描いていた漫画
オトコ編 第一位:「ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス)」
原作・宮崎克 先生が過去に描いていた作品
若貴兄弟を主人公にした相撲漫画です。懐かしいわ〜〜〜これ、作画がデスノートやバクマン、そしてあやつり左近でお馴染みの小畑健先生なんですよね。
強烈に覚えているのは、若貴兄弟が夜通し稽古するんですけど、汗が乾いて塩となり、兄弟の体が朝日に照らされてキラキラ光るというシーン。当時小学生だった僕はこれを見て「めっちゃ臭そうやん」って思ってました。許してよ、そのへんの機微がまだわからない年齢だったんだからさぁ〜〜〜。
作画・吉本浩二 先生が過去に描いていた作品
超簡単に言うと「昭和時代の中学生がなんとかエロ本を見ようとする話」です。時代設定が1977年なので今みたいにインターネットもなく、とにかく当時の中学生にはエロの情報が足りない。がむしゃらにエロを求める青春物語です。
特にすごいのがB組の竹光(たけみつ)くん。「そういえば、B組の竹光のやつ……」という形で、主人公の回想の中でしか登場しないんですが、「エロ本の自動販売機の見本欲しさにコンクリートブロックを投げつけたら、頭に跳ね返ってきて4針縫う」「河原に埋めていたエロ本を夜中取りに行ったら、野犬の群れに襲われる」「本屋の人に叱られてもエロ本の立ち読みやめないから、町の全部の本屋出禁になる」といった、エロに関する数々の伝説を持つ猛者。面白いので是非……。
オンナ編 第一位:「花のズボラ飯」
久住昌之先生が原作、水原悦子先生が作画の作品です。
原作・久住昌之 先生が過去に描いていた作品
みなさんご存知の超人気作品!今さら説明は不要ですよね。ここ数年でヒットしている印象がありますが、実はこの作品が発表されたのは1997年!20年ほど前の話なんです。
そして2015年には続編「孤独のグルメ2」のコミックスが発売されています。
作画・水沢悦子 先生が他に描いていた作品
花のズボラ飯がデビュー作なので、この後に描かれたマンガです。漫画家のヤコと、アシスタントロボットのポコの日常を描く漫画です。2人の心が温まるような温まらないような、なんとも言えない心の交流をほんわかしながら読んでいたら、突然「50年前の革命」って言葉が出てくるんですよ。
たとえば、この世界ではパソコンの検索は「検索堂」という場所で人力で行われるというアナログな一方、ポコみたいに漫画のアシスタントができちゃうような超高性能なロボットが普通にそのへんにいっぱいいるという、テクノロジーのアンバランスさ……。さらっと出てくるけど、その「革命」で何が起こったのよ……気になるじゃんよ……。
おわりに
以上です。いや〜〜全部読んでみたけどどれも面白いです。賞を獲れる人ってやっぱすごいんやな……と思いました。
個人的には「昭和の中坊」がオススメです。竹光が良すぎる。それでは!